クイズ大陸



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?水時計 2005/01/25 20:02
では、解答編を。

「この暗号を解読する人として、秋子ちゃんを選んだ理由、それは2つある。」
そういうと、片山警部は紙と鉛筆を取り出した。
「1つは、春江さんのキャラクターの命名法を知っていること。秋子ちゃんの証言で、彼女はキャラクターに国語辞典に載っている名前をそのまま使うことが分かった。ということは、不自然なのは…」
「そうか!」
夏美が片山警部の説明を遮るように叫んだ。
「この4人ね。」
というと、「奏良」「百々」「由美」「由紀」の名前を指差した。
「その通り。この4人の名前を、春江さんの命名法として、自然な表記に直すと…」
と言って、紙に「空」「桃」「弓」「雪」と書いた。
「続いてポイントになるのは、タイトルの変更だ。これは、『日本語から英語に直せ』という指示だ。」
「どこを?」
夏美がまた話を遮る。
「分からないかい?お姉さんは、なぜ自分のこだわりを曲げたんだと思う?」
「あ、暗号と関係あるから、ですね?」
秋子が目を輝かせながらそう答える。
「なるほど、名前を英語に直すわけね。お姉ちゃんがこだわりを曲げたのは、普通名詞だとバレたら暗号を見破られる可能性が高いから。」
夏美も負けじと答える。
「2人とも冴えてきたじゃないか。全くその通りだ。」
片山警部はそう言いながら、紙に

sky
peach
bow
apricot
heart
snow
festival
rabbit

と書いた。
「そう言えば、まだ秋子が指名された2つ目の理由を聞いてないわよ。」
夏美が不思議そうに尋ねる。
「いい質問だね。それが次のポイントだ。秋子ちゃん、たとえばこの『4cmのタチキリをする』ってどんなことをするんだと思う?」
「え?そんなこと聞かれても…。」
秋子は困った顔をした。
「いや、私も知らないから自分の想像でいいよ。」
片山警部は、真面目に悩む秋子を見て少し笑ってしまった。
「想像できないよ。分かるのは、何かを4cm分やるってことくらい。」
「聞きたかったのはそれなんだ。漫画を知っている人には間違いだらけの指示に見えるけど、知らない人にとっては意味不明だ。でも、『4cm』という部分だけは分かる。人間、意味不明の文章に自分の分かる単語が入っていると、それに目が行くものだよ。それを踏まえて見てみると…」
「わかった!」
夏美がパッと手を挙げた。
「数字が鍵になってるんですね。」
「ご名答。」
片山警部はにっこり笑った。
「1行目の指示は、『"sky"の2文字目を取れ』という暗示なんだ。2行目の指示は『"peach"の1文字目を取れ』という指示。」
片山警部は、1つ1つ説明しながら、紙に

kpboe

と書いたところで、珍しく秋子が「すみません」と声を上げた。
「6行目はキャラクターの名前が無いんですけど。」
「たぶん、指示の内容から考えて『スペース』を意味してるんだろう。」
片山警部は、その質問を予期していたかのようにそう答え、残りを書いて

kpboe otr

とした。
「さあ、後はページ順に並べるだけだ。」
そう言って、片山警部は文字をページ順に並べた。
「あっ!」
夏美と秋子は同時に叫んだ。片山警部のメモには

kobe port

と書いてあった。
「もう兵庫県警に連絡は取ってあります。間もなく連絡が…」
そのとき、部下の1人が部屋に飛び込んできた。
「警部!今兵庫県警から連絡が入って、神戸港の貨物倉庫にて被疑者を確保、被害者の方も無事保護したとのことです!」
家族はそれを聞いて歓喜に沸いた。
「さあ皆さん、こんな暗号を送ってきた聡明で果敢なお嬢さんを迎えに行きましょう。」
片山警部は、事件を最高の形で終えた満足感に顔を緩ませながらそう言った。

今、この家族は平穏無事に暮らしているという。秋子はこの事件がきっかけで、漫画の道に目覚めたらしい。
「聡明なお嬢さん、もうこの暗号は使えないよ。」
片山警部は誰もいないデスクで独り言を言って微笑んだ。

#ちょっと分散してしまって分かり難いかも知れませんが、正解は「神戸港」です。
しばらくロックはしませんので、感想・文句・その他ある方は書き込みよろしくお願いします。
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