クイズ大陸



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昨日の友は今日の敵!? ≫No. 1
?pekoe 囁き
*** 某月某日 橙市立大学・学生食堂にて ***

「そういえば、この前遊びに行った時に桜ちゃんに聞いたよー。何か、殺人事件を解決したんだって?」
「!? ゴホゴホッ…」

 椿に話しかけてきたのは、黒木真珠美だ。椿が大学に入ってから初めてできた友達で、今ではお互いの家を行き来するほどの仲良しだ。
 いつものように学生食堂で2人で昼食をとっていた時に、いきなり話しかけられた椿は、飲んでいたお茶をあやうく吹き出すところだった。

「きゃ…ちょっと大丈夫?」
「もーいきなりヘンなこと言わないでよ…」

 呼吸を落ち着けてから、椿が話し出す。

「桜に何を聞いたのかは知らないけど、事件を解決したっていうのは大げさよ」
「え? でもダイイング・メッセージの謎を解いたんでしょ?」

 真珠美はいかにも興味津々といった様子で身を乗り出して訊いてくるが、対する椿はあくまでクールに、細身のジーンズの脚を組みなおして言う。

「謎、でもなかったと思うけど…。でも、後から刑事さんに聞いた話だと、かなり衝動的な犯行だったらしくて、犯人はかなり痕跡を残していたみたいだから、科学捜査をすれば、簡単に犯人はわかったはずよ」
「ふうーん…」

 真珠美は、つまらなそうに体を背もたれに預けた。
お構いなしに椿は定食のお味噌汁を飲んでいる。そんな椿を真珠美はしばらく眺めていたが、やがてまた身を乗り出して訊いた。

「……でもさ、名探偵になれる素質はあるってことでしょ?」
「いや、別に名探偵になるつもりもないけど…」

 そのとき、キーンコーン…と昼休み終了5分前を告げるチャイムが鳴った。
 チャイムを聞いた真珠美は、食べ終えたオムライスプレートの乗ったお盆を持って立ち上がって言った。

「またまた、素直じゃないんだから〜」
「いや、人の話を聞こうよ」

 椿の発言をさらりと無視して真珠美は、ブーツの靴音も軽やかにチャイムの鳴る食堂を歩いていった。
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