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永久駆動
解決編 エピローグ
脱走した捕虜は捕まらなかった。
彼は本国に絶対持ちかえるべき情報をもっていたのだろう。
彼は我軍が考えていたよりも重要な人物だ。
一般兵士の軍服を着ていたがおそらく情報部所属の士官ではないか。
そしてタフでガッツがある本当に偉大な英雄だ。
私は視察をした時、捕虜たちの奇妙な行動に気がついていた。
29人の捕虜は、動かない1人を隠すようにして作業をしていた。
しかしそれでもその捕虜は倒れてムチ打たれる。
新しい捕虜たちが来たときに、抱き起こされたその捕虜は、
しゃきっと体を伸ばし、そのまま平気な顔で作業をはじめた。
そして新しく来たばかりの捕虜の中の1人が、
急にノロノロとした歩き方をして収容所に戻っていった。
あの捕虜は、そうやって過酷な労働を24時間1年以上続けたのだ。
疲れて倒れたふりをして短い睡眠をむさぼり、
仲間の手の中からわずかな食料と水をもらって。
ひたすら首輪のバッテリーが切れるまで。
《END》
脱走した捕虜は捕まらなかった。
彼は本国に絶対持ちかえるべき情報をもっていたのだろう。
彼は我軍が考えていたよりも重要な人物だ。
一般兵士の軍服を着ていたがおそらく情報部所属の士官ではないか。
そしてタフでガッツがある本当に偉大な英雄だ。
私は視察をした時、捕虜たちの奇妙な行動に気がついていた。
29人の捕虜は、動かない1人を隠すようにして作業をしていた。
しかしそれでもその捕虜は倒れてムチ打たれる。
新しい捕虜たちが来たときに、抱き起こされたその捕虜は、
しゃきっと体を伸ばし、そのまま平気な顔で作業をはじめた。
そして新しく来たばかりの捕虜の中の1人が、
急にノロノロとした歩き方をして収容所に戻っていった。
あの捕虜は、そうやって過酷な労働を24時間1年以上続けたのだ。
疲れて倒れたふりをして短い睡眠をむさぼり、
仲間の手の中からわずかな食料と水をもらって。
ひたすら首輪のバッテリーが切れるまで。
《END》