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推理マニアのクリスマス ≫No. 1
?Yossy 2007/12/25 14:16囁き
12月25日6時過ぎ。一歩外に出るとひんやりとした冷気が顔をなでる。行き交う人々の顔も心なしか晴れやかに見えるクリスマス。「クリスチャンでもないのに何で…?」などという野暮な考えは捨て去って、町の喧噪と色とりどりの光の海に身を委ねながら例のバーに向かう。メインストリートから一本裏通りに入っただけでクリスマスの喧噪は嘘のように消え、通りはさしていつもとかわらない佇まいを見せている。と、店の前で和服姿の美人を伴ったスーさんとバッタリ。
 「おや、スーさんじゃないですか。お久しぶりです。」
 「やあ、ヨッシーさん、しばらくご出張だったそうで…。どちらへ?」
 「ええ、まあ。その話は後ほど。とにかく入りましょう。」

クリスマスのデコレーションがほどよく施され店内にはもう静かにピアノの音が流れている。
ボックス席には数人の先客があるが、カウンターにはまだ誰もいない。
 「おや、皆さんお揃いで。いらっしゃいませ。」
いつもと変わらぬマスターの出迎えに心が和む。

 「ところで、スーさん、そちらの美人は奥様ですか?」と待ちきれずに尋ねる私。
 「おっと失礼、紹介が遅れましたがこれは私の秘書です。」
 「スエと申します。かねてからこのお店の噂を伺っておりまして、是非一度連れて行って欲しいと社長にお願いしておりました。どうぞよろしくお願いいたします。」
 「とおっしゃると、スエさんも推理好きなんですね。」とマスターも嬉しそう。

マスターと私の自己紹介も終わったところで
 「それでは、クリスマスらしいカクテルで乾杯といこうか。」
スエさん、私、マスターの3人を見回しながらとスーさんが切り出す。

 「スエさん、儂が何をオーダーするかわかるかな?」

 「いきなりそんなことを云われてもわかりませんわ。何でしょう?」
と私に助けを求める。

 「クリスマスらしいカクテル?」
どうもスーさんとスエさんに試されている感じがする。もしかして、あれかな?
 「マスター、この流れからするとアレじゃないかと思うんだけど。」とマスターに振ってみる。
 「なるほど、今日のテーマはこれということでよろしいでしょうか。」とマスターは常備のトランプを手に取り、ダイヤの2、5、ハートの4のカードを並べてみせる。

 「さすがじゃな。儂はソレ。スエさんには和服に似合うカクテルを頼みますぞ。」
スーさんはボトル棚の隅に置かれた小さな地球儀を指さし、両手で大きな輪を作りながら満足そうにオーダーしている。

 「とすると、私は最後に残ったアレしかないということになりますね。」

 と云うわけで、無事3人で乾杯にこぎ着けることができた。


そうこうしているうちに噂のマジシャンの亜土さんや推理作家の椎良さんなど、常連さんも現れ、何やら忘年会の様相を呈してきた。亜土さんの熟練の技を堪能し、

 「『日曜日と月曜日ではどっちが強い?』というなぞなぞは知ってますよね。では
 『7と9ではどっちが強い?』」だとか

 「『一番長い英単語は?』というのは知ってるじゃろ?では『一番長い文章は?』」

などというスエさんやスーさんの“なぞなぞ”に興じ、椎良さんの推理談義に耳を傾けていると

 「ところでしばらくご出張だったと伺いましたが、今回はどちらへ?」とマスターが話を振ってきた。
 「おお、儂もさっきそれを尋ねたところじゃった。」

 「そうですね、その地方を飲み物で表せば、このカクテルにコレを加えたものということになりますね。カードの端を折るのはやめにして…。」
私は手元のカクテルを指し示しながら、箸袋に書き込んだ「クラブのA」をマスターに手渡した。
 「あ、もっともハートの5はダイヤの5に変えなければなりませんが。」

 「う〜ん、かなり無理矢理ですね。」と苦笑するマスター。
無理矢理だって何だって…。またもやあっさり解かれてしまったのが悔しい。



さて、アレだとかコレだとかわけのわからないクリスマスになりそうですが、何のことを話しているのか、今夜繰り広げられるはずの会話を読み解いて、会話の輪に参加してください。

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このストーリーはフィクションで実在の人物とは関係ありません。(^-^;




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