クイズ大陸



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今年の夏は ≫No. 1
?Yossy 2007/09/08 16:36囁き
虎ノ門から地下鉄に乗り銀座で降りると例のピアノバーに向かった。数えてみると2週間以上もご無沙汰したことになる。まあ、夏期休暇明けで仕事がたまり、休日出勤やら残業続きで大忙しだったのだから仕方がないが…。

「いまもお噂をしていたところですよ。このところお見えにならないなあって。」
お絞りを差し出しながら酒井某によく似たマスターが如才なく云った。


カウンターにはすでに先客が二人いた。時間が早いせいかピアニストの姿はまだ見えない。
「こちらは『キョウ』さんと『カズ』さんと仰います。どこかの Web Siteでウチの噂をご覧になられたそうで、このところご贔屓にして頂いております。」とマスター。
 「やあ、どうも、はじめまして…。」
「どうも、どうも…。」などと型どおりの挨拶を交わしながらもピンと来た。
 “私の噂をしていたと云うくらいだから、あのサイトでこの店の話をしたのが私であることはとっくにバレているんだろうな。それにしてもどうやってこの店を見つけ出したのだろう。さすが、自称名探偵の二人だな。まあ、銀座と云っても裏通りの雑居ビルの2階にある小さな店に常連客が増えることはいいことだな。”などと一瞬のうちに様々な思いが疲れた頭を駆け巡る。

「ちょっとお疲れのご様子ですね。これは私の奢りです。」といいながら、マスターが早速例のスコーネとチェイサーのビールを差し出した。
 「うん!やっぱり元気づけはこれに限るな。ありがとう。」一口呑んでから礼をいった。この心づかいがなんとも嬉しい。


「夏休みはおとりになったんでしょう?どちらかにお出かけになりましたか?」とさっそくマスターが切り込んでくる。謎の催促だ。

 「ええ、先月ちょっとね。」といいながら、私はカウンターの端に置かれたカードを手にとり、手早く4枚のカード抜き出してカウンターに並べて見せた。

       クローバのA  スペードの2  ハートの3  ダイヤの4

「ほー、スーツが4種類で連番ですか。なるほど。でどちらへ?」とマスター。
「え!もうわかったんですか?」とキョウさんとカズさんは目を丸くしてマスターを見つめている。

私はもう一枚のカードを抜き出し、裏にしてカウンターに置いてから、おもむろにカードを裏返して見せた。そのカードは
            
               ハートの4

ほんの数秒間視線を虚空にさまよわせ、何かを考えていたマスターが
「今年は全国的に猛暑でしたから、そこでも暑かったでしょう?」と片目をつぶった。

また今回も私の負けらしい。

さて、私はこの夏休みにどこで何をしていたのだろうか?

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このストーリーはもちろんフィクションで登場人物も実在の方とは関係ありません。 (^o^)

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