クイズ大陸



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?みゅーき 2007/07/30 12:18
 新しい書き込みも無いみたいですので、ここで回答編をば。

 ☆

 新聞部と写真部の部長は、副会長の言葉に顔色一つ変えなかった。
「さすがに、生徒会には通じないか」
「え? え? どういうこと?」
 ワケが分からず、生徒会長があたふたしている。
「副会長が言うように、実はこの写真には、実物では有り得ない欠陥があるの。欠陥と言うと、少し語弊があるけどね。つまり本物じゃなく、合成したものなのよ」
「ちょっと、じゃぁ私たちを騙していたの?」
 険悪な目付きで、部長たちを睨みつける会計。
「違う違う。単なるいたずらよ」
「いたずら?」
「そう。まず間違いなく、生徒会の誰かが見抜いてくれると確信した上での、ちょっとしたお遊びってわけ」
「随分と悪趣味ね。まぁそれはそうと、結局この写真のどこが欠陥なの?」
 生徒会長が、副会長に問い掛けた。
「つまりですね……」

・星に露光を合わせると、月が露出オーバーで真っ白に飛んでしまうため、海やクレーターが写るはずがない。
・月に露光を合わせると、背景の星は光が弱すぎるので絶対に写らない。
・仮に星が写っていたとしても、ただでさえ光度が低い星の写真を撮ろうとすると、長い露光時間が必要になる上、撮影に20分もかけると、星は移動するので線状に写らなければおかしい。

「諸条件を照らし合わせてみれば、こんな写真は絶対に撮ることが出来ないのです。月は月で、星は星で別々に撮影し、後に合成した。そういうことですよね?」
「ええ、まったくその通り」
「そんなわけで、こっちが正しいサンプルね」
 一面の写真以外は、先に見せた物と同じサンプルを差し出す新聞部部長。
 それには、白鳥座デネブ、琴座ベガ、鷲座アルタイルを結ぶと現れる、所謂“夏の大三角形”が、誇らしげに写っていた。

 ☆

 あまり知られていませんが、地球から撮影した月や、月面で撮影した写真等では、背景の星は工夫しない限りまず写りません。
 何故なら、対象物が明るいため、暗い星の光は拾いきれないからです。
 これは人の目も同じで、直前まで月(以外でも明るい光を放っている物)を見ていた目では、あるはずの星を見ることができません(実際にやってみればわかります)。
 都会では、夜でも周辺が明るいので、星が見えにくいのと同じなのです。
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