a tiny story ≫No. 1
kaito
2005/01/05 23:14
今夜はクリスマスイヴ。
街にはジングルベルが鳴り響き、仲睦まじいカップル達が寄り添いながら歩いていく。
あちらこちらでメリークリスマスの声が聞こえる。
ケーキ屋の店先にはカラフルなクリスマスケーキが並んでいる・・・
ジャック・ランバートは、今年もまたステディのいないクリスマスを迎えて、すこし自棄ぎみになっていた。
こんな時はトムを道連れにするに限る。
トーマス・ジョーンズはジャックのハイスクール時代からの親友で、あまり冴えないタイプだが気のいい奴であり、特にこんな日には役に立つ。
ジャックはトムを電話で呼び出して、いつものように小振りなバー(カップルのいそうにない店を選んで)をハシゴした。
三軒目の店を出た時、30フィートほど先の路地から一人の男が出てきて、凍えそうに震えながらこそこそと立ち去るのが見えた。
ジャックとトムは顔を見合わせてお互いに眉を寄せ、どちらからともなく小走りにその路地に近づき、覗き見た。
そこには──その足許にはcoca-colaの黄色い木箱が置いてあり、その箱には黒い男物のショート丈のコートがかけてあった。トムがコートをどけてみると、その中にはちいさな仔猫がうずくまるように眠っていた。
さっきの男が、捨て猫を見かねてコートをかけていったのだろう。
ジャックは立ち上がって表通りに出てみたが、もうあの人影は無かった。
トムが小さな紙切れを持って近寄ってきた。
「ジャック、こんなモノが入ってたよ。」
そのカードには、
Merry Xmas!
とサインペンで走り書きがしてあった。
──日本人も案外いいところがあるな。
ジャックはトムにカードを元に戻すように示してから、「今夜はもうお開きだ」というように左手を上げ、振り返りもせずに地下鉄の駅への階段を下りていった。
【問】 ジャックはどうしてその男が日本人だと思ったのでしょう?
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みなさんにも素敵なクリスマスが訪れますように!
kaito 2005/01/05 23:14
街にはジングルベルが鳴り響き、仲睦まじいカップル達が寄り添いながら歩いていく。
あちらこちらでメリークリスマスの声が聞こえる。
ケーキ屋の店先にはカラフルなクリスマスケーキが並んでいる・・・
ジャック・ランバートは、今年もまたステディのいないクリスマスを迎えて、すこし自棄ぎみになっていた。
こんな時はトムを道連れにするに限る。
トーマス・ジョーンズはジャックのハイスクール時代からの親友で、あまり冴えないタイプだが気のいい奴であり、特にこんな日には役に立つ。
ジャックはトムを電話で呼び出して、いつものように小振りなバー(カップルのいそうにない店を選んで)をハシゴした。
三軒目の店を出た時、30フィートほど先の路地から一人の男が出てきて、凍えそうに震えながらこそこそと立ち去るのが見えた。
ジャックとトムは顔を見合わせてお互いに眉を寄せ、どちらからともなく小走りにその路地に近づき、覗き見た。
そこには──その足許にはcoca-colaの黄色い木箱が置いてあり、その箱には黒い男物のショート丈のコートがかけてあった。トムがコートをどけてみると、その中にはちいさな仔猫がうずくまるように眠っていた。
さっきの男が、捨て猫を見かねてコートをかけていったのだろう。
ジャックは立ち上がって表通りに出てみたが、もうあの人影は無かった。
トムが小さな紙切れを持って近寄ってきた。
「ジャック、こんなモノが入ってたよ。」
そのカードには、
Merry Xmas!
とサインペンで走り書きがしてあった。
──日本人も案外いいところがあるな。
ジャックはトムにカードを元に戻すように示してから、「今夜はもうお開きだ」というように左手を上げ、振り返りもせずに地下鉄の駅への階段を下りていった。
【問】 ジャックはどうしてその男が日本人だと思ったのでしょう?
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みなさんにも素敵なクリスマスが訪れますように!