ｸｲｽﾞ大陸

ＯＬ・卯月美智恵の他殺体が彼女のマンションで発見され、我々は色めきたった。
最近、管轄内で起こっている未解決の殺人事件が一本の線で結ばれ、「連続殺人」という新たな呼称を得たのだ。
ある程度予見していたこととは言え、この報告は私たちを驚愕させた。


第一の殺人は、Ｍ大のキャンパスで起こった。被害者は前田裕子、昭和59年生まれの20歳。Ｍ大の学生だ。
私はこの被害者の名前が記憶のどこかにあったような気がしたが、その時は思い出せずにいた。

第二の被害者は老人ホーム職員の古賀丑安、昭和24年生まれ、55歳。
数年前に仕事を辞め、嘱託で働いていた。後の捜査で彼もまたＭ大出身と判明。

三番目の被害者は、商社の管理職、須藤寅次郎。昭和37年生まれの42歳。
彼もまたＭ大の卒業生であった。
この頃になってようやく我々は、これは“干支”をモチーフにした無差別連続殺人なのではないかと疑い始めていた。

そして今朝、卯月美智恵──昭和51年生まれの29歳──の死体発見により、疑惑は確証に変化したのであった。
彼女も果たして、Ｍ大の卒業生だった。


我々はＡ、Ｂふたつのチームに分かれ、Ａ班は犯人捜査を、我々Ｂ班は次なる被害者の特定と保護を担当することになった。
Ａ班はＭ大の卒業名簿の配布ルートにまずは当たりを付けていくようだったが、膨大な量のはずだ。
こちらの、被害者候補の特定の方が急がれる。
私は早速メンバーに、Ｍ大卒業生で、近辺に住み、名前に「辰」の字の付く人間を調べるように指示した。

（↓続きます。）