クイズ大陸



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?寒來 2007/02/28 10:41
皆様、お付き合い頂きまして有難うございました。それでは締め括りを

来栖の中に一斉に情報が流れ込む
来栖「う・・・う、気持ち悪い」 感郡「ん?何だ急に」 来栖「そうか、そうだったのか」と言うと一目散に走り出した
寒郡はフロントの人物と目を合わせ「はは、体育会系でねぇ、口より体が先に動くんですよ」と慣れない言い訳をしつつ互いに苦笑いであった

・・・コンコン、羽田の部屋の前で男が息荒く、しかし丁寧に扉をノックしている。普段とは意気込みの違う来栖がゆっくりと息を整える
羽田は覗き穴から訪問者の姿を確認する。羽田の表情に若干の緊張が走り暫しの沈黙が保たれた
来栖「○○県警の来栖ですが、お話をお聞かせ願えませんか」と言うと、ロックの音が聞こえゆっくりと扉が開いた
来栖「あ、度々すいませんね」 羽田「いえ」と来栖を招きいれ「それで」とあくまで平然を装うかに見えたが、来栖の一言に凍りつく羽田であった
来栖「あなたが如月初香こと柏田英子さんを殺害した犯人ですね?」
羽田「え?は?」と返しただけで相手の様子を伺う羽田、いや、もはやそれしか出来ないのかもしれない彼女に、来栖は畳み掛けるように
事の顛末を語り、改めて「あなたがやったんですね」と念押しをしたのだった
見透かされたことへの動揺か、下を向いたままじっと考え込んでいるようにも見えた羽田が(言葉で)反撃に移ろうかと言うその時
また扉の方からノックする音が聞こえ、来栖とフロントの従業員1名を加えて話し合いは続いた
来栖「・・・と、言う訳なんです。だから未だ凶器はこの部屋の何処かにあると思うんです」
寒郡「まぁ話は分かったが、兎に角調べてみるだけはするか。それでよろしいですか?」と羽田に了承を得ようとすると
「その必要はありません」と覚悟を決めた面持ちでベッドの下からビニール袋に入った、布を包(くる)んだものを引っ張り出した
来栖「すいません、こちらに捜査員を一名呼んできてもらえますか」と従業員に伝え、寒郡と来栖の二人で話しを聞くこととなった

羽田「あの子には本当に手を焼かされていました。社長の姪である事を持ち出してはわがままの言い放題で、
    と言っても、そこまで子供じゃありませんでしたから大抵は我慢できたんです、大抵はね」
来栖「長峰さんとの事ですか?」と聞くと 羽田「ええ、それもあるんですが」と言うとベッドに座り込み
羽田「普段の生活ではそれほど意識しなかったんですが、去年このホテルに泊まって、あのレストランに行った時に気分が悪くなったんです。
    それから高い所を意識するようになったんですが、それでも我慢出来ない程ではなかったんですよ。
    それで、今年もまたこのホテルに来る事になった時は内心嫌だなと思いつつも、誕生日だし仕方ないかなって思ってたんです」
羽田「でも、単にあの子がここのレストランを気に入ってたわけじゃなかったんです。単なる私へのあてつけ
    あの子は覚えてたんですよ、一年前私が気分が悪くなったことを。台詞覚えは悪かったくせに・・・」
来栖「それ・・だけの理由ですか?」と悲しき問いかけに対し羽田は力なくこう呟いた
羽田「だって思いついちゃったんだもの、あの子を殺す計画」暫しの沈黙が重くのしかかる
羽田「予約を入れた後に部屋割りを確認した時『あ〜これは神様の啓示なんだ』と思ったわ、そうこれは運命だったのよ!」
来栖「違うっ!」と来栖が声を張り上げた後ろから捜査員が現れ何事かという顔で目を丸くしていた
寒郡「あぁご苦労さん、これ(証拠品)持ってって被害者の血液と照合してくれ」 捜査員「は、はい、分かりました」
寒郡はポンッと来栖の肩を叩き一つため息をつき「さぁ行きましょうか」と羽田の手を掴み手錠は掛けぬまま連行した

ロビーまで行くと捜査員と話している長嶺が寒郡らに気付き、そのただならぬ雰囲気に疑問を抱かずにはいられなかった
長嶺「どう、したんですか?・・・(羽田)早苗?」と言う長嶺に対し顔を背ける羽田であったが、次の瞬間スッと両手を差し出した
訳が分からぬといった顔の長嶺を前に寒郡は「来栖」と一言だけ呟き背を向けると、下を向いたままの彼女の手に冷たい枷が嵌められた
長嶺「なんかの間違いでしょ!?ねぇ刑事さん!」と私に迫る長嶺に対し羽田が「許して清二さん」と搾り出すような声で言った
状況を飲み込めない長嶺をよそに羽田を連行しようとすると、長嶺が不意に羽田の手を掴み「信じてるから」とだけ呟くと
羽田はその手に力なく抵抗し「私に・・そんな資格無いから」と気持ちごと突っぱねようとすると、長嶺は「それでも」と力強く返した
それでも受け入れることは出来ないといった様子の羽田に対し、来栖は優しく語りかけた

来栖「罪は償えますから・・・必ず償えますから」 と

柔らかな波の音が囁き合うホテルの静かな空気を、サイレンの音がけたたましく引き裂くも、寂しく鳴り響くのであった
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