女優の卵殺人事件 ≫No. 1
寒來
2007/02/20 02:13
あるホテルの一室で刺殺体が発見された。被害者は如月 初香、小さなタレント事務所に所属する女優の卵だそうだ
遺体が発見されたのは午後8時半頃で、第一発見者はホテルの従業員であった
死因は果物ナイフのようなもので刺された左胸部刺創による失血死で、死亡推定時刻は午後7時前後数分であるそうだ
凶器は持ち去られており、床の血の量から見ても犯人は恐らく返り血を浴びていると思われた
事件の起きたこの日は如月の誕生日であり、それを祝う為に事務所の社長と先輩俳優の長嶺、そして長嶺と如月の掛け持ちで
マネージャーを担当していた羽田の3人が同じホテルに泊まっていた
誕生会は午後8時から開かれる予定であったが、如月が予定の時刻より30分近く経っても現れない為、従業員を呼びにやったところ
返事がなく、室内電話に掛けてみても応答がなかったので、社長の了承を得て3人立会いのもと如月の部屋を開けたところ、
部屋で亡くなっているところを発見されるに至ったらしい
来栖「寒さん、関係者3名には上の部屋に集まってもらいました」
寒郡「ふむ、未だ若いのに可哀想にな。バスローブ姿で刺されて死ぬとは悲惨な末路だな」
と呟きながら窓の方へと歩み寄ると10cmほど開いた窓から潮風が香り、もう少し開けようとしてみたがそれ以上は開かなかった
来栖「ああ、それ以上は開きませんよ、全部屋そうで安全上の問題だそうです。それより聴取始めませんか?」
寒郡「そうか・・・さて行くとするか」と何時に無く重い足取りで上の部屋へと辿り着いた
話に拠れば、7時頃には全員屋上レストランに先に集まり、誕生会の事前打ち合わせとリハーサルをしていたとのことだった
そして8時半になっても現れない如月を心配し従業員を使いにやったそうだ
来栖「皆さんはレストランに集まる少し前の7時頃には何処で何を?」
社長「私は6時半頃に風呂に入ってそれから着替えて7時10分頃にはレストランに着いていたよ」
長嶺「私も支度を終え7時少し前に彼女(羽田を見て)を呼びに部屋に行ったんですが、居ないので先に行ったのかと思い
エレベーターに乗ろうと向かおうとしたら、彼女がエレベータで降りてきたので、彼女が忘れ物を取って来るのを待って
一緒にレストランまで来たんです。時間は7時ちょっと過ぎだったと思います」
羽田「はい。エレベーターに乗っている途中で気付いて部屋に戻ったんです。その時に部屋の前に清二さん(長嶺の名前)が居ました。
それで、直ぐに忘れ物のメッセージカードを持って、それから一緒に来たんです」
寒郡「どうやらお二方にはアリバイがあるようですね。」と言い社長の方に目線をやると、慌てた様子で
社長「き、君ぃ、まさか私を疑っとるのかね!?冗談じゃない!仮にも姪であるあの子を手に掛けるなど」と言うと、長嶺が割って入り
長嶺「社長、あの話本当なんですか?英子(如月の本名)に保険金を掛けてるって」
社長「な、ばかな、そんな話し誰から聞いたんだ!」と動揺を隠せないようであった
来栖「社長さん、そのあたりの事も含めて署の方でお話をお聞かせ願いますかね」
社長「わ、私じゃない!私はやってないんだ!!」と騒ぐ社長を捜査員が押さえて連行することとなった
「それじゃ戻りましょうか」と言う来栖に対し「もう一度部屋を見てくる」と言い現場へと戻った
寒郡「おい、確かこの窓、開いてたそうだな?」 来栖「はい、誰も窓には触ってないそうですよ。指紋もなかったようですし」
窓周辺は特に変わった所もなく、窓枠に手を置き、若干爪先立ちになりながら下を見ても、薄明かりの外灯に照らされた地面が見えるだけであった
地面の先、大よそ壁から10m程離れた所に柵があり、その先には砂浜が広がっていた
「各人の部屋割りは?それぞれ何号室だ?」と言い、聞き忘れていた来栖を嗜めつつフロントで確認した
フロント「如月様が220号室で、社長様が真上の320号室、長峰様がそのお隣の321号室で羽田様が120号室でございます」
寒郡「おかしな部屋割りだな?社長と先輩俳優が上の階としてもだ、せめて被害者とマネージャーは同じ階じゃゃないのか」
フロント「如月様達には去年も当ホテルにお泊りいただきまして、その時も如月様の誕生日である2月20日にちなんで
220号室を、とリクエストされました。確か羽田様は、お高いところが苦手だそうで1階をご希望されまして、
去年も1階の部屋をご用意させて頂きました。」
来栖「去年も真下の120号室だったんですか?」と聞くと、フロントは「いいえ」と答えた
寒郡「つまり、たまたま今回は真下の部屋になったって訳か」
来栖「と言うことは、去年もあのレストランでお祝いされたんですか?」
フロント「はい、当ホテル自慢の展望レストランでございまして、眺めをとても気に入られたそうで、ご好評頂いております」
来栖「そこそこ”はぶり”は良さそうに見せて、その実、資金不足のため裏では保険金を掛けてたんですかね」
寒郡「ふむ・・・」
果たして犯人は一体・・・
遺体が発見されたのは午後8時半頃で、第一発見者はホテルの従業員であった
死因は果物ナイフのようなもので刺された左胸部刺創による失血死で、死亡推定時刻は午後7時前後数分であるそうだ
凶器は持ち去られており、床の血の量から見ても犯人は恐らく返り血を浴びていると思われた
事件の起きたこの日は如月の誕生日であり、それを祝う為に事務所の社長と先輩俳優の長嶺、そして長嶺と如月の掛け持ちで
マネージャーを担当していた羽田の3人が同じホテルに泊まっていた
誕生会は午後8時から開かれる予定であったが、如月が予定の時刻より30分近く経っても現れない為、従業員を呼びにやったところ
返事がなく、室内電話に掛けてみても応答がなかったので、社長の了承を得て3人立会いのもと如月の部屋を開けたところ、
部屋で亡くなっているところを発見されるに至ったらしい
来栖「寒さん、関係者3名には上の部屋に集まってもらいました」
寒郡「ふむ、未だ若いのに可哀想にな。バスローブ姿で刺されて死ぬとは悲惨な末路だな」
と呟きながら窓の方へと歩み寄ると10cmほど開いた窓から潮風が香り、もう少し開けようとしてみたがそれ以上は開かなかった
来栖「ああ、それ以上は開きませんよ、全部屋そうで安全上の問題だそうです。それより聴取始めませんか?」
寒郡「そうか・・・さて行くとするか」と何時に無く重い足取りで上の部屋へと辿り着いた
話に拠れば、7時頃には全員屋上レストランに先に集まり、誕生会の事前打ち合わせとリハーサルをしていたとのことだった
そして8時半になっても現れない如月を心配し従業員を使いにやったそうだ
来栖「皆さんはレストランに集まる少し前の7時頃には何処で何を?」
社長「私は6時半頃に風呂に入ってそれから着替えて7時10分頃にはレストランに着いていたよ」
長嶺「私も支度を終え7時少し前に彼女(羽田を見て)を呼びに部屋に行ったんですが、居ないので先に行ったのかと思い
エレベーターに乗ろうと向かおうとしたら、彼女がエレベータで降りてきたので、彼女が忘れ物を取って来るのを待って
一緒にレストランまで来たんです。時間は7時ちょっと過ぎだったと思います」
羽田「はい。エレベーターに乗っている途中で気付いて部屋に戻ったんです。その時に部屋の前に清二さん(長嶺の名前)が居ました。
それで、直ぐに忘れ物のメッセージカードを持って、それから一緒に来たんです」
寒郡「どうやらお二方にはアリバイがあるようですね。」と言い社長の方に目線をやると、慌てた様子で
社長「き、君ぃ、まさか私を疑っとるのかね!?冗談じゃない!仮にも姪であるあの子を手に掛けるなど」と言うと、長嶺が割って入り
長嶺「社長、あの話本当なんですか?英子(如月の本名)に保険金を掛けてるって」
社長「な、ばかな、そんな話し誰から聞いたんだ!」と動揺を隠せないようであった
来栖「社長さん、そのあたりの事も含めて署の方でお話をお聞かせ願いますかね」
社長「わ、私じゃない!私はやってないんだ!!」と騒ぐ社長を捜査員が押さえて連行することとなった
「それじゃ戻りましょうか」と言う来栖に対し「もう一度部屋を見てくる」と言い現場へと戻った
寒郡「おい、確かこの窓、開いてたそうだな?」 来栖「はい、誰も窓には触ってないそうですよ。指紋もなかったようですし」
窓周辺は特に変わった所もなく、窓枠に手を置き、若干爪先立ちになりながら下を見ても、薄明かりの外灯に照らされた地面が見えるだけであった
地面の先、大よそ壁から10m程離れた所に柵があり、その先には砂浜が広がっていた
「各人の部屋割りは?それぞれ何号室だ?」と言い、聞き忘れていた来栖を嗜めつつフロントで確認した
フロント「如月様が220号室で、社長様が真上の320号室、長峰様がそのお隣の321号室で羽田様が120号室でございます」
寒郡「おかしな部屋割りだな?社長と先輩俳優が上の階としてもだ、せめて被害者とマネージャーは同じ階じゃゃないのか」
フロント「如月様達には去年も当ホテルにお泊りいただきまして、その時も如月様の誕生日である2月20日にちなんで
220号室を、とリクエストされました。確か羽田様は、お高いところが苦手だそうで1階をご希望されまして、
去年も1階の部屋をご用意させて頂きました。」
来栖「去年も真下の120号室だったんですか?」と聞くと、フロントは「いいえ」と答えた
寒郡「つまり、たまたま今回は真下の部屋になったって訳か」
来栖「と言うことは、去年もあのレストランでお祝いされたんですか?」
フロント「はい、当ホテル自慢の展望レストランでございまして、眺めをとても気に入られたそうで、ご好評頂いております」
来栖「そこそこ”はぶり”は良さそうに見せて、その実、資金不足のため裏では保険金を掛けてたんですかね」
寒郡「ふむ・・・」
果たして犯人は一体・・・