No. 23≫ No.24 ≫No. 25
寒來
2007/02/16 18:00
添箕「それで、私に聞きたいこととは?」と取調室の添箕はいぶかしげに私の顔を見上げる
来栖「実はですね、大河原さんが死の間際にこんなものを残していたんです」と来栖が写真を差し出すと
添箕「あぁ覚えてますよ、確か去年の暮れだったかな〜みんなで一緒に競馬場の前で撮ったんですよ。懐かしいな〜」
寒郡「まぁ思い出話は後で聞くとして、問題は裏でね」と言って写真を横向きに裏返した
添箕「はぁ?何も書かれていないようですが」と添箕が思わず口にすると
寒郡「えっ書いてある?何故そう思ったんですか?」とわざとらしく返すと、少し動揺した感の添箕がすかさず口を開き
添箕「えっ、あぁ、ほら良く写真の裏に書いたりするじゃないですか日付とか誰と撮ったかとか」
と言う添箕を見つめ「ふ〜ん」と言う顔をしてみせると、来栖が今度は被害者の持っていたシャーペンを差し出し
来栖「それとこれは大河原さんが死に際まで持っていたシャーペンです」と言って机の上に置いた
寒郡「まぁ今からちょっとした懐かしいものを見せるとしようか、子供の頃に一度はやったことあるだろ?」
と言いながらシャーペンの芯を出し、白紙を写真の上に置きなぞっていくと文字が浮かび上がる
添箕「これは・・・?『江』と『人』ですか?あっ江馬のことじゃ無いですか、これ!?」
寒郡「ふっ、何も書いて無いと思って置いて行った写真に、実は跡だけが付けられていた
その跡をなぞって見れば江馬を連想させる字が浮かび上がる、とそうは容易く問屋が卸さなくてね」
目が点になっている添箕を確認すると、私は写真にこめられた本当の意味を説明し始めた
寒郡「さっき私が写真を真横に裏返したでしょ、写真を手にとって裏返した場合と同じように
初めはそうやって裏返して字をあぶりだしてみたのが実に良くなかった」と言い写真を逆さにすると
寒郡「さぁて何に見えるかな?」と言うと、添箕の顔が見る見る青ざめた
添箕「は、はは、確かに私の名前にも見えますよね、でもだからって、そうだ確かな証拠はあるんですか?」
来栖「添箕!」と往生際の悪い添箕に対し声を荒げた来栖を制しこう続けた
寒郡「確かそのジャンパー何時も着てるんですよね?事件の有った日も着てたんじゃないですか?結構寒かったからね」
添箕「えっ、えぇまぁこれしかないですから。そ、それが何か関係あるんですか?」
寒郡「実は事件のあった時刻にコートのようなものを着た男が目撃されてましてね。って以前にもお話しましたよね,」
添箕「だから、それが私と何の関係があるんですか!?」と今度は添箕が少し声を荒げるのみて
寒郡「あの日もそのジャンパーを着て大河原さんに会いにいったんでしょう?でもコートなんか着てたら怪しまれるから
部屋に入る前には脱いで、何時も通りの格好で相手を油断させ、後ろからグサり」
と続ける私の話を聞きながら添箕は、目を見開きじっと聞いたままで居る
寒郡「多分その時にその”ジャンパー”にも血が付いたと思うんだがね」と言うと添箕が搾り出すように
添箕「そ、そんな跡なんか、ど、どこにも無いでしょ」と言うのが精一杯のようであった
寒郡「跡が消えたからって洗ったくらいじゃ血ってのは取れないんだが、本当は分かってたんじゃないのか?」
そう言うと下を向いたままになっている添箕に私は最大の疑問をぶつけた
寒郡「あんたは返り血まで計算し、人の少ない時間まで見計らい”事”におよんだ。そのあんたが何故今もその、
証拠となるような物を身につけているのかがどうしても腑に落ちなくてな」
と聞くとしばらくして、その重たい口を開きぽつりぽつりと事の真相を語り出した
添箕「初めは楽しかったのになぁどこで間違えたのかなぁ・・・素直に金さえ渡してくれてたら」
どうも大河原に頼まれて買った馬券が大当たりをしたらしいのだが、添箕の金で買ったため取り分を要求したところ、
「俺が予想したんだから金は全部俺のもんだろ」ときっぱりと断られ、さらに横柄な態度が重なり犯行に至ったらしい
添箕「これさぁ選手時代から愛用してて冬は何時も着てるんですよ、引退しても未練がましくずっとね。
そんな何時も着てる物をさぁ突然着なくなったらそれこそ怪しいでしょ?それが私の最大の失敗ですよ・・・」
と、力が抜け椅子にもたれ掛かる添箕に対し、私は机に手を着いてこう返した
寒郡「あんたの最大の失敗は・・・人を殺めたことだろう・・・」
添箕「ふっ・・・そうですね」とつぶやき、うな垂れるだけであった
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
これにて予想や殺人レース終着
寒來 2007/02/16 18:00
来栖「実はですね、大河原さんが死の間際にこんなものを残していたんです」と来栖が写真を差し出すと
添箕「あぁ覚えてますよ、確か去年の暮れだったかな〜みんなで一緒に競馬場の前で撮ったんですよ。懐かしいな〜」
寒郡「まぁ思い出話は後で聞くとして、問題は裏でね」と言って写真を横向きに裏返した
添箕「はぁ?何も書かれていないようですが」と添箕が思わず口にすると
寒郡「えっ書いてある?何故そう思ったんですか?」とわざとらしく返すと、少し動揺した感の添箕がすかさず口を開き
添箕「えっ、あぁ、ほら良く写真の裏に書いたりするじゃないですか日付とか誰と撮ったかとか」
と言う添箕を見つめ「ふ〜ん」と言う顔をしてみせると、来栖が今度は被害者の持っていたシャーペンを差し出し
来栖「それとこれは大河原さんが死に際まで持っていたシャーペンです」と言って机の上に置いた
寒郡「まぁ今からちょっとした懐かしいものを見せるとしようか、子供の頃に一度はやったことあるだろ?」
と言いながらシャーペンの芯を出し、白紙を写真の上に置きなぞっていくと文字が浮かび上がる
添箕「これは・・・?『江』と『人』ですか?あっ江馬のことじゃ無いですか、これ!?」
寒郡「ふっ、何も書いて無いと思って置いて行った写真に、実は跡だけが付けられていた
その跡をなぞって見れば江馬を連想させる字が浮かび上がる、とそうは容易く問屋が卸さなくてね」
目が点になっている添箕を確認すると、私は写真にこめられた本当の意味を説明し始めた
寒郡「さっき私が写真を真横に裏返したでしょ、写真を手にとって裏返した場合と同じように
初めはそうやって裏返して字をあぶりだしてみたのが実に良くなかった」と言い写真を逆さにすると
寒郡「さぁて何に見えるかな?」と言うと、添箕の顔が見る見る青ざめた
添箕「は、はは、確かに私の名前にも見えますよね、でもだからって、そうだ確かな証拠はあるんですか?」
来栖「添箕!」と往生際の悪い添箕に対し声を荒げた来栖を制しこう続けた
寒郡「確かそのジャンパー何時も着てるんですよね?事件の有った日も着てたんじゃないですか?結構寒かったからね」
添箕「えっ、えぇまぁこれしかないですから。そ、それが何か関係あるんですか?」
寒郡「実は事件のあった時刻にコートのようなものを着た男が目撃されてましてね。って以前にもお話しましたよね,」
添箕「だから、それが私と何の関係があるんですか!?」と今度は添箕が少し声を荒げるのみて
寒郡「あの日もそのジャンパーを着て大河原さんに会いにいったんでしょう?でもコートなんか着てたら怪しまれるから
部屋に入る前には脱いで、何時も通りの格好で相手を油断させ、後ろからグサり」
と続ける私の話を聞きながら添箕は、目を見開きじっと聞いたままで居る
寒郡「多分その時にその”ジャンパー”にも血が付いたと思うんだがね」と言うと添箕が搾り出すように
添箕「そ、そんな跡なんか、ど、どこにも無いでしょ」と言うのが精一杯のようであった
寒郡「跡が消えたからって洗ったくらいじゃ血ってのは取れないんだが、本当は分かってたんじゃないのか?」
そう言うと下を向いたままになっている添箕に私は最大の疑問をぶつけた
寒郡「あんたは返り血まで計算し、人の少ない時間まで見計らい”事”におよんだ。そのあんたが何故今もその、
証拠となるような物を身につけているのかがどうしても腑に落ちなくてな」
と聞くとしばらくして、その重たい口を開きぽつりぽつりと事の真相を語り出した
添箕「初めは楽しかったのになぁどこで間違えたのかなぁ・・・素直に金さえ渡してくれてたら」
どうも大河原に頼まれて買った馬券が大当たりをしたらしいのだが、添箕の金で買ったため取り分を要求したところ、
「俺が予想したんだから金は全部俺のもんだろ」ときっぱりと断られ、さらに横柄な態度が重なり犯行に至ったらしい
添箕「これさぁ選手時代から愛用してて冬は何時も着てるんですよ、引退しても未練がましくずっとね。
そんな何時も着てる物をさぁ突然着なくなったらそれこそ怪しいでしょ?それが私の最大の失敗ですよ・・・」
と、力が抜け椅子にもたれ掛かる添箕に対し、私は机に手を着いてこう返した
寒郡「あんたの最大の失敗は・・・人を殺めたことだろう・・・」
添箕「ふっ・・・そうですね」とつぶやき、うな垂れるだけであった
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
これにて予想や殺人レース終着