クイズ大陸



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?error 2007/02/04 04:39
それでは、解答編です。

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夕方。西日が入り込んでオレンジ色の部屋に、正誤君が入ってきた。
「やぁ、正誤君。…結論は、見つかったかね?」
「……ええ。正しければ良い結論と、誤っていて欲しい結論が。」
私の目を見て、言い切る。私以上の、探偵の目。
「…で、どちらから話す?」
「…誤っていて欲しい結論から、話します。」
「聞かせて、もらおうか。」
正誤君が、私の座るデスクに近づいてくる。
ドアを開け放したままで閉め忘れているのは、流石に余裕がないからか。
そうして正誤君が、デスクに両手をついて、私の顔を見た。
「誤っていて欲しい結論ですが…ドックさん……貴方が、犯人です。」


「私が犯人、か……して、その理由は?」
「…消去法、です。ヒースさんとメルさんでは、出来ません。」
正誤君が、私の顔を見て言葉を紡ぐ。
椅子を勧めようかとも思ったが、雰囲気にはそぐわないのでやめておいた。
「ヒースさんは、朝。あの芝生を、靴を汚さずに歩くことはできません。」
「歩いた後に洗った、もしくは裸足で歩いた、という可能性は?」
「前者は、乾燥機が使えなければ靴は湿ったままでしょう。」
「では後者は?」
「ヒースさんが湿った・汚れたタオルを持っていれば、ファイルに記入されるでしょう?」
…そう、来るか。反論の仕方としては、少々強引だが。
「…だろうな。」
「それが無いということは、足は洗っていない、ということです。」
「なるほど。…少々強引だが、理解は出来る。」
正誤君が目を閉じ、一呼吸を置く。

が、すぐにまた目を開いて私を見た。
「メルさんは夜です。僕と別れてから、3階に先回りして父さんを殺すことは出来ません。」
「では、自動殺人装置のような物なら?私は見つけられなかったが、あったかも知れんぞ?」
「貴方がそれを仰るんですか?…貴方が居る限り、それは不可能でしょう。」
「…その心は。」
「部屋を間違えた…という偶然が無い限り、貴方がそれに掛かってしまうからです。」
正誤君が、私を睨みつける。そして、少しだけ笑った。
「本当は貴方を狙っていた…というのなら、死体を隠す必要はありませんよね。」
「自動殺人の装置を見つけられないように、ならどうだ?」
「それなら、死体を下ろして回収してしまう方が、一応の正当性が通ります。」
「簡単に回収できないものだった、なら?」
「それなら、僕たちと2階で別れてから回収する前に貴方が見つけるでしょう?」
「見つけにくいものだったとしたら?」
「それなら、ブラウン管の全員で部屋を調べよう、とでも言ってこっそり回収できます。」
「私が一人で調べる、と言い出す可能性だってあっただろう。」
「それなら検死のときだってそうでしょう?」
「あれは、死体の状態を見逃さないために全員で、だろう。」
「それなら部屋だって、証拠を見逃さないために、と言えば全員で調べることにしたでしょう?」
ああ言えばこう言う、というのはこういう状態だろうか。
こうもすぐに回答が返って来るのを見ると、全て考えたのだろうな。

「貴方が犯人なら、死体の隠し方も簡単です。」
「ほう…聞かせてもらおうか?」
「僕が死体を見たとき、貴方は309の表札のプレートを持って307に居た。」
「…なるほど。そう考えたか。」
「僕が去ると同時に307の扉を開け、09のプレートを08に、08を07に付けて、08に入って扉を閉める。」
頭の中で、映像を形作る。その中の『私』の行動は…
「僕は見るとしても08までですし、メルさんも、開いてるドアが08だと思うでしょう。」
「つまり、君の考えでは…君達の目の前で私が開けたドアの中に、聖歌が居たと、いうわけだ。」
「…ええ、そうなります。」
「一つだけ、聞きたい。ヒースが夜、メルが朝を担当したという、二人の共犯説はどうだ?」
「理論上は可能でした、が…リスクが高すぎますし、貴方が部屋を調べる順番によっては死体を発見されます。」
さらりと言い切る。その解も、きちんと頭の中で出来てはいるらしい。
そして…彼なりの結論を述べ始めてから初めて、彼が迷った顔を見せた。
「どうした?」
「貴方でも、メルさんとヒースさんでも……どちらにしろ、部屋の誤認トリックが必要なんです。」
「……それが?」
「その部屋があまりにも階段から近すぎたり遠すぎたりしては、すぐに気付けますよね。」
「…何が言いたいのか判らんが……。」
「正しければ良い結論です。……この観点から、犯人は部屋割りを決められる人間。つまり、この館の主……」
正誤君が、言いよどむ。その直後に、後ろから音が聞こえた。
開き放しのドアを、正誤君が振り向く。そして、いつのまにかそこにいた人影に微笑んだ。

「この事件の首謀者は貴方…だよね、父さん!!」

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と、いうわけで、皆さん御正解の通り、犯人はドックであり…。
そして、聖歌、引いては検死を行ったブラウン管全員の狂言でした。
意外…に思ってくださると良いのですが…。
(寒來さんのコメントを見るに、どうも見抜かれていたような気が… (^^;)

訂正:聖歌の名前が聖火になってました。
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