クイズ大陸



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?月光 2006/11/20 20:35
刑事に呼び出された男、秋本啓介は青ざめた顔で取調室の椅子に座っていた。警部は秋本を見据え口を開く。
「君が勤めていた探偵事務所の所長、橋本隆彦が殺された。これはさっきの刑事から聞いたね。で、被害者はこんな物を握り締めていたんだ。」
警部はちぎられた名刺の裏を秋本に見せた。名刺に目を落とし秋本は叫ぶ。
「『けて。』?そうか!あの野郎『助けて。』って書いてたのか!」
警部の視線に秋本ははっとして口を塞ぐ。
「やはりこれを持ち去ったのは君か。被害者が犯人は君だと示す為に書き残したと思い込んだんだろう?」
秋本はがっくりと肩を落としぽつりぽつりと語り始めた。
「その通りです。僕は他人を蹴落としたり、弱者を踏みにじったりするあいつのやり方が許せなかった。こんな奴の下で働くより独立しようと決めたんです。信頼の置ける人達に話をして支援してもらう約束を取り付けました。だけどあそこを辞めて本格的に開業の準備にとりかかろうとした時、彼らは皆一斉に『君とは仕事は出来ない。』って言い出して手を引いてしまいました。話を聞くと橋本に卑劣な脅しを受けたようです。あいつを問い詰めたら『お前みたいな甘ちゃんは他人の下で這いつくばって働くのが似合いだ。』って・・・。それでカッとなって、あいつが背を向けた時に灰皿で殴りつけていました。逃げ出した後、だんだん恐ろしくなって戻ってみるとあいつは名刺に『助・・・』って書いて死んでいる。助手の僕が犯人だと書き残しやがったと思って持ち去ろうとしたんです。これさえ無ければ、あいつは敵が多かったから容疑者を絞るのに時間がかかるだろうと思いました。半分しか取れなくて焦りましたけど、凶器の指紋を拭いて外部の人間の犯行に見えるようにしておけば残り半分を見ても僕とは特定出来ないだろうと思ったんです。」
警部はうなだれる秋本を見つめ口を開いた。
「そうか・・・。名刺を持ち去らなければこんなに早く犯人を特定する事は出来なかったのに。それに橋本のやり方を許せないと言う君が、どうして自分の罪を他人に着せるような行動を取ったんだ。」
秋本は震える声で答える。
「僕は、あいつの言うとおり甘ちゃんだったんです・・・。」
俯く秋本の肩を慰めるようにそっと叩くと、警部は刑事を呼び秋本を連れ出させた。

劇終

以上で『ちぎられたメッセージ』終了でございます。いかだがったでしょうか?

>t2さん
>>5で「たすけて」と書かれているのを見て「ぎくっ」としたのですがその後遠ざかってしまわれましたね (^_-)
参加して頂きありがとうございました。

>カームさん
仕掛けを全て拾って頂きありがとうございます (^^)
>>2に早くも「助けて。」と書かれていて冷汗をかきました。参加して頂きありがとうございました。

>yossyさん
被害者は犯人を示す為にメッセージを書いたのではない、という解答を明確にして頂きたかったので「。」について伺いました。深い意味があった訳ではないんです (^^;)惑わせてしまったようですみません。>>16での推理完璧です (^^)参加して頂きありがとうございました。

>寒來さん
出題者の解答を上回る鋭い推理でした (^^;)「。」はおっしゃるとおり被害者の癖です (^^;)他の2人の容疑者を除外し犯人を秋本に固定する為に「。」をつけ、「正式な文章を書く人間の癖」と言う事で説得力を持たせようという意図でした。参加して頂きありがとうございました。

ご意見ご感想、ツッコミ等、聞かせて下さいませ (^^)
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