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たいふ
2006/11/06 22:46
(BAR『終の棲家』)その夜…
マスター「どうかしましたか?若先生、浮かない顔をしていらっしゃいますね」
たいふ「いいえ…何でも…いや、そうですね…嫌な事件を1つ解いてきたものですから」
マスター「そうですか…詳しくは聞きませんが…注文はいつもので?」
たいふ「いや、今日は『ギムレット』を・・・頼みます」
(マスターは全てを悟ったかのように、静かに頷き)
マスター「…分かりました…」
(カチャ)
若刑事「やはりここにいらっしゃいましたか、たいふさん。実は事件の報告をと思いまして…」
(太傅は何も語らず、視線で促す…)
若刑事「あ、はい。あの後すぐに四辻の家に踏み込みましたが、そこには浴室で手首を切り
自殺している四辻が…発見されました。衣服から硝煙反応が出ましたので仲原を殺害
したのは確実かと。このまま、被疑者死亡のまま書類送検されることになると思いま
す。『死神事件』の方もたいふさんの推理通りの形で幕を下ろしそうです」
たいふ「そうですか…」
若刑事「そういえばたいふさん、仲原の見る『夢』とは何だったんですか?お聞きするのを
忘れていました」
たいふ「今となっては…ですが、萩原朔太郎の『夢』という詩、とだけ言って
おきましょう」
若刑事「…あれは、恋人の…つまりは『夢』に夢を抱いた…ということなんですね」
たいふ「そういうことです…」
若刑事「今回の事件ですが、たいふさんならどんな詩で締め括りますか?」
たいふ「ふぅ…」
(太傅は『ギムレット』を一気に飲み干すと、彼には応えずそのまま店を後にした)
若刑事「あれ?何か変なこと言っちゃったかな」
マスター「いいえ、ちゃんと答えて行かれましたよ」とニヤリと笑う
若刑事「???…どういうことです?」
(こんな御都合な世の中に歌なぞ歌わない…中原中也『詩人は辛い』)
皆知っていると思うが…『本当のことを云おうか 私は詩人ではない』…しがない探偵だ
マスター「どうかしましたか?若先生、浮かない顔をしていらっしゃいますね」
たいふ「いいえ…何でも…いや、そうですね…嫌な事件を1つ解いてきたものですから」
マスター「そうですか…詳しくは聞きませんが…注文はいつもので?」
たいふ「いや、今日は『ギムレット』を・・・頼みます」
(マスターは全てを悟ったかのように、静かに頷き)
マスター「…分かりました…」
(カチャ)
若刑事「やはりここにいらっしゃいましたか、たいふさん。実は事件の報告をと思いまして…」
(太傅は何も語らず、視線で促す…)
若刑事「あ、はい。あの後すぐに四辻の家に踏み込みましたが、そこには浴室で手首を切り
自殺している四辻が…発見されました。衣服から硝煙反応が出ましたので仲原を殺害
したのは確実かと。このまま、被疑者死亡のまま書類送検されることになると思いま
す。『死神事件』の方もたいふさんの推理通りの形で幕を下ろしそうです」
たいふ「そうですか…」
若刑事「そういえばたいふさん、仲原の見る『夢』とは何だったんですか?お聞きするのを
忘れていました」
たいふ「今となっては…ですが、萩原朔太郎の『夢』という詩、とだけ言って
おきましょう」
若刑事「…あれは、恋人の…つまりは『夢』に夢を抱いた…ということなんですね」
たいふ「そういうことです…」
若刑事「今回の事件ですが、たいふさんならどんな詩で締め括りますか?」
たいふ「ふぅ…」
(太傅は『ギムレット』を一気に飲み干すと、彼には応えずそのまま店を後にした)
若刑事「あれ?何か変なこと言っちゃったかな」
マスター「いいえ、ちゃんと答えて行かれましたよ」とニヤリと笑う
若刑事「???…どういうことです?」
(こんな御都合な世の中に歌なぞ歌わない…中原中也『詩人は辛い』)
皆知っていると思うが…『本当のことを云おうか 私は詩人ではない』…しがない探偵だ