バレンタイン殺人事件 ※正解発表 ≫No. 1
そう
2005/02/24 22:30
2月14日。東京湾を臨むホテルの一室で、浜谷 幸助(59)が死んでいた。
前もって依頼されていたルームサービスを届けにいったボーイによって、遺体が発見された。前日の午後に夫婦と名乗ってチェックインした女性、新屋 博美(26)は部屋にはいなかった。
直ちに110番通報がなされ、真田たち刑事が駆けつけた。
男の遺体はベットの上で苦しげな表情を浮かべてはいたが、外傷や抵抗の跡は発見されなかった。
部屋のテーブルには手作りの弁当の空になった容器と、二つ三つ食べかけた手作りのバレンタイン・チョコレートの小箱がのっていた。
騒ぎの最中、愛人だという博美が帰ってきた。
博美「持病で死んだのよ。」
事情を聞かれた博美は開口一番そう決め付けた。
博美の話によれば、被害者は医師で、重度の糖尿病を患っていたという。
その言葉を裏付けるように、ベットサイドのゴミ箱から血液中の糖をコントロールするインスリンの空のアンプルが発見された。
重度の糖尿病である浜谷の場合、常に二つの相反する死の恐怖に直面していて、愛人である博美にも口うるさく言っていたという。
一つはインスリンが不足した場合に起こる高血糖性昏睡で、至急インスリンを投与して血糖値を下げなければ死に至る。
もう一つは、反対に血糖値が下がりすぎた場合に起こる低血糖性昏睡だ。この場合も至急糖分を摂取して、血糖値をあげなければ命を失う。
博美「そのどちらかで私が留守の間に急変したんでしょう。」
博美が昨日の夕方にホテルを出てから今日までのアリバイは完全に裏づけが取れた。
変死の扱いで遺体は行政解剖にまわされ、弁当やチョコレートの残りは毒物検査にまわされ、部屋の検証が行われた。
それから一週間。結果、死亡推定時刻は午後10時ごろ。死因は糖尿病による低血糖性ショックであることが確認された。また毒物は一切検出されなかった。
真田「現場の状況からいったら事件性は限りなく0に近いな。」
後輩「でも先輩。新屋の身辺を洗った結果、心証は黒と見て間違いないですよ。」
真田「なぜ症状が発症したとき助けを呼ばなかったんだろうな。」
後輩「医者ですからね。自分で治そうとしたんじゃないですか?」
真田「低血糖は甘いものを食べればそれで治るそうだからな。」
後輩「すぐ横のテーブルにあったチョコレートを食べればよかったのに。何だ死んだんでしょうかね?何か食べられないわけでも…そうか!拘束されていて食べることが出来なかったんだ!」
真田「そんな報告はないだろう。遺体発見時には新屋のアリバイははっきりしているんだ。そんなことが出来るとは思えん。」
後輩「じゃあどうやって!」
真田「ただの事故に過ぎないのか…。待てよ?もしかして…。」
後輩「何か?」
真田「あれを使えば可能だな…。すぐ鑑識に連絡を取れ!」
後輩「は、はい!」
さて、被害者を殺害したトリックとは。
そう 2005/02/24 22:30
前もって依頼されていたルームサービスを届けにいったボーイによって、遺体が発見された。前日の午後に夫婦と名乗ってチェックインした女性、新屋 博美(26)は部屋にはいなかった。
直ちに110番通報がなされ、真田たち刑事が駆けつけた。
男の遺体はベットの上で苦しげな表情を浮かべてはいたが、外傷や抵抗の跡は発見されなかった。
部屋のテーブルには手作りの弁当の空になった容器と、二つ三つ食べかけた手作りのバレンタイン・チョコレートの小箱がのっていた。
騒ぎの最中、愛人だという博美が帰ってきた。
博美「持病で死んだのよ。」
事情を聞かれた博美は開口一番そう決め付けた。
博美の話によれば、被害者は医師で、重度の糖尿病を患っていたという。
その言葉を裏付けるように、ベットサイドのゴミ箱から血液中の糖をコントロールするインスリンの空のアンプルが発見された。
重度の糖尿病である浜谷の場合、常に二つの相反する死の恐怖に直面していて、愛人である博美にも口うるさく言っていたという。
一つはインスリンが不足した場合に起こる高血糖性昏睡で、至急インスリンを投与して血糖値を下げなければ死に至る。
もう一つは、反対に血糖値が下がりすぎた場合に起こる低血糖性昏睡だ。この場合も至急糖分を摂取して、血糖値をあげなければ命を失う。
博美「そのどちらかで私が留守の間に急変したんでしょう。」
博美が昨日の夕方にホテルを出てから今日までのアリバイは完全に裏づけが取れた。
変死の扱いで遺体は行政解剖にまわされ、弁当やチョコレートの残りは毒物検査にまわされ、部屋の検証が行われた。
それから一週間。結果、死亡推定時刻は午後10時ごろ。死因は糖尿病による低血糖性ショックであることが確認された。また毒物は一切検出されなかった。
真田「現場の状況からいったら事件性は限りなく0に近いな。」
後輩「でも先輩。新屋の身辺を洗った結果、心証は黒と見て間違いないですよ。」
真田「なぜ症状が発症したとき助けを呼ばなかったんだろうな。」
後輩「医者ですからね。自分で治そうとしたんじゃないですか?」
真田「低血糖は甘いものを食べればそれで治るそうだからな。」
後輩「すぐ横のテーブルにあったチョコレートを食べればよかったのに。何だ死んだんでしょうかね?何か食べられないわけでも…そうか!拘束されていて食べることが出来なかったんだ!」
真田「そんな報告はないだろう。遺体発見時には新屋のアリバイははっきりしているんだ。そんなことが出来るとは思えん。」
後輩「じゃあどうやって!」
真田「ただの事故に過ぎないのか…。待てよ?もしかして…。」
後輩「何か?」
真田「あれを使えば可能だな…。すぐ鑑識に連絡を取れ!」
後輩「は、はい!」
さて、被害者を殺害したトリックとは。