ｸｲｽﾞ大陸

ここは、香取探偵事務所。
午後一で、中年の女性が来客していた。
あまり趣味のいいと言えないヒラヒラしたワンピースを着て、同じくヒラヒラした日傘を持っている。
「わたくし大或（だいある）と申します。
　娘の加奈が今朝家出をしたんです。意味の解らない手紙を残して。
　わたくし先ほど、大急ぎで警察に行って捜索願いを出してきたんですが、難しい顔をされてしまいましたの。
　やりとりを見ていた刑事さんが、こちらを紹介してくださったんですわ。
　何でも香取先生は、今まで様々な暗号を解かれて難しい事件に貢献なさったと聞いております。」

「あ・・いや、先生って・・僕は探偵ですから・・」
多分、その刑事ってのは翔だろうなぁ、と香取は思った。
また、大風呂敷を広げたんだろう。こういう客は苦手だ。早いとこ帰って貰いたいもんだ。

「娘は高校進学も決まってますし、家庭に不満があったとも思えません。
　非行に走るような子供でもありませんし、何か事件に巻き込まれたりでもしたらと思うと・・」
「ご心配なさるお気持ちはよくわかりますよ、奥さん。
　まずは、その置手紙を見せてください。行き先や家出の理由が書いてあるかも知れませんから」

今にも泣きそうな顔をしていた大或は、パッと顔を上げると、可愛いキャラクターの描かれた封筒をテーブルに置いた。
中を見ると封筒と同じキャラクターの便箋が出てきた。

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太陽　魔術師 　 星　　　魔術師　　塔　　　戦車　力
月　 　悪魔　　魔術師　吊し人　魔術師　力　　塔　　戦車　力　吊し人　力
女帝　　皇帝　　塔　　　戦車　　力　　　力　　悪魔　力
塔　 　月　　　悪魔　　月　　　吊し人　皇帝
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「ほほぅ・・。娘さんは占いに興味があったようですね。」
「は？占いですか？加奈が占いを？さぁ・・
　わたくしの主人の妹は占い師をしているようですが・・」
やった・・！と香取は心でガッツポーズをした。
「では、そのご主人の妹さんに今お電話してみてはいかがでしょう？お嬢さんの居所をご存知かと思いますよ」
香取はまだ湯気の立つコーヒーに口をつけると、聞こえないように小さく「フー」っと溜息をついた。