ｸｲｽﾞ大陸

沖カエデはまたも後輩を詰（なじ）っていた。
「前の御手洗さんの事件や動物園のことはまだ置いておいて、今回の夏美姉さんの事件はおかしいんじゃないの？　何故庵郷が知ってて、それも捜査の手伝いまでしていて、妹の私が知らないのよ！」
「それは僕が怒られることなんですか？」
トキオは文庫本を読んでいる体勢のまま、顔も上げずに答えた。
「だって姉さんはいつも私に仕事の話をしないから！」
「そんなこと僕に言われても困りますよ」
「ちょっとは私の話にも耳を傾けなさいよ。・・・いいわよ、そんなこともあろうかと今日はこれを用意してきたから」
そう言ってカエデは一枚の紙を取り出し、トキオに渡した。


　たかい　ガム　はもけんこう
　ザクザク　タルト　たべきれない　あめ
　はちみつの　あまさ　かんじゅく　かじつ
　さあ　ならべようよ　サラミハムと　あの　ナツメグ


「何ですか？　これ」
「もちろん暗号よ。暗号にでもしないと庵郷は興味持たないからね」
「そんなことないですよ」
そう言いながらトキオは、沖先輩といい麻衣子といい、女って鋭いなあ──と感心した。


■暗号にはなんと書いてあるのでしょうか？