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吉備団子工場出荷係の苦悩 ≫No. 1
?千夜一夜 2022/01/10 23:22囁き
 
「あまい吉備団子の重さは10グラム、しょっぱい吉備団子の重さは10.1グラムだ。その味と重量における高品質!我らが工場の、それが誇りだ。」

吉備団子製造工場の工場長ががなりたてた。

「しかるに!…しかるに!」

工場長は泣き崩れた。

「最近になって鬼退治訓練高等学校からクレームが頻繁にはいっている。学校からは、あまい吉備団子と、しょっぱい吉備団子とが、混ざって納入されていると!!!……鬼のような怒気で叱られるのだ!!!!!……おーおーおー……(泣く)」

出荷係は冷や汗をかきっぱなしであった。なぜだかわからないが、 【あまい吉備団子10個パック】と、【しょっぱい吉備団子10個パック】とで、混在の事故がおこっているのだった。

製造ラインの鉄則がある。先代の社長の遺言では、【あまい吉備団子と、しょっぱい吉備団子とは必ずそれぞれ一個づつペアで生産するように】とあるのだった。

それゆえに、あまい吉備団子を1個つくるラインと、しょっぱい吉備団子を1個つくるラインとを並行させ、タイミングを同期させながら、両者を同時に1個づつペアにして作るのである。

同期しながら、あまい吉備団子を10個つくるラインとしょっぱい吉備団子を10個つくるラインとは、工場が誇る自慢の最新鋭の製造機械なのであった。

製造された10個づつの団子は、それぞれ、【あまい吉備団子10個パック】と、【しょっぱい吉備団子10個パック】になる、その筈だったのである。

ところが、しばしば、あまい団子としょっぱい団子とが、同時に製造される二つのパックにおいて、数個…入れ違って出荷されてしまう事故が頻発するのである。つまり、あまい団子パックに数個しょっぱい団子が混ざってしまう事故と同時に、しょっぱい団子パックにあまい団子が、同数、混ざってしまうのである。あるいは平行して走るベルトコンベアのせいなのだろうか。

無論のこと出荷係の責任ではないのだが、工場長は出荷係に厳命した。
「2度と混在がないように。」と。

出荷係が音頭をとって業務改善チームが発足した。

あまい団子の製造ラインの最終尾に10グラムの分銅を用意して天秤で団子10個それぞれをいちいち分銅と比べる、しょっぱい団子の製造ラインの最終尾に10.1グラムの分銅を用意して天秤で団子10個それぞれをいちいち分銅と比べる、そのような検査を行うべきなのではないかと、業務改善チームが考えたのである。検査に合格できなければ出荷しないものにしたいと出荷係は訴えた。

業務改善チームからの提案を聞いて「天秤を使う回数が20回!?」と工場長は激怒した。いわく。

「無駄な製造コストをかけるな!【あまい吉備団子10個パック】と、【しょっぱい吉備団子10個パック】のそれぞれを1パックづつ混在のないように製造するためには、天秤を使う回数は20回ではなく3回ですむ筈では?  てか、そもそも分銅、いらなくね?」

出荷係は悩みこんでしまった。


【問題】いったいどういうことなのでしょうか。工場長の考えについて御説明いただきたいと思います。

ただし、さすがに【しょっぱい吉備団子10個パック】の全てがあまい団子になっていることは絶対にないとお考えください。
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