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yard
2019/10/06 01:31
・解答集1(ほとんど同じ意味の組み合わせ)
<入る(いる、はいる)>
どちらも、基本は「内に移動する」意味。
古くは「はいる」を「這入る」と表現していたが、後に、這の字を省いた「入る(いる)」の表現が広がった。また、「這入る」と同じ読み、同じ意味として「入る(はいる)」の表現が生じた。
複合語や慣用句、文語として使う時は「いる」、単語、口語として使う時は「はいる」と読む傾向があるか。
例)
いる - 日の入り、入り口、気に入る
はいる - 手に入る、部屋に入る
両方 - ひびが入る、力が入る
<叩く(たたく、はたく)>
どちらも、基本は「打つ、当てる」意味。
「叩く(たたく)」が原型の言葉として存在し、「払い叩く」動作のことを「叩く(はたく)」と表現するようになったという説や、「叩く(たたく)」の方言として「はたく」の表現が使われていて、同じ字を当てて全国に広まった説などがある。
動作やその目的が「打つ、当てる」その物であれば「たたく」、「打つ、当てる」の延長にあれば「はたく」と読む傾向があるか。
例)
たたく - 手を叩く、口を叩く(顎を打つ→「喋る」の意味)、
意見が叩かれる(批判を当てる→「非難、攻撃」の意味)
はたく - 埃を叩く、顔を叩く(手を顔に当てた後、手を止めずに引く)
財布の底を叩く(財布の底を打ち、金を全て落とす→「有り金を使い果たす」の意味)
<包む(つつむ、くるむ)>
どちらも、基本は「物を覆う」意味。
「包める」の文語系であることを除けば、「くるむ」の意味は「包み巻き込む」ことのみである。一方、「つつむ」の意味は多くあるが、前提として「物を覆って中に入れる」ニュアンスを含む。ここで、「つつむ」の意味に「巻き込む」ことが含まれないとは言えない。
覆いかたが均一、もしくは覆う対象が抽象的であれば「つつむ」、覆う対象が具体の物で、覆いかたが不均一であれば「くるむ」と読む傾向があるか。
例)
つつむ - オブラートに包む、霧が包む、熱気に包まれる
くるむ - 毛布で包む、身を包む
両方 - 風呂敷で包む
? - ラップでご飯をくるむ
<汚す(よごす、けがす)>
どちらも、基本は「きたなくする」意味。
このうち、「けがす」の読みは「穢れ(けがれ)」から来ている。(「汚れ(けがれ)」、「穢す」(けがす)の読みはあるが、「穢す」を「よごす」とは読まない)穢れは不浄な状態の事であり、内面的な要素(死、病、その他)が挙げられる。一方、「よごす」に対する「汚れ」は、目で見える部分について言われる。
汚い原因やその状態が目に見えるのであれば「よごす」、目に見えないのであれば「けがす」と読む傾向があるか。
例)
よごす - 衣服を汚す、手を汚す
けがす - 名を汚す、末席を汚す、晩節を汚す(名誉のある人が、晩年に失態を犯す)
? - よごれ仕事
<行く(いく、ゆく)>
口語なら「いく」、文語や複合語なら「ゆく」。
ただし、「ゆく」が連用形「ゆい(イ音便)」で用いられるときは、「いっ(促音便)」で代用される。
例)
いく - 行ってくる
ゆく - 消え行く、立ち行く
両方 - 見に行く、行く先
<来る(くる、きたる)>
どちらも、基本は「対象が近づいてくる」意味。
「きたる」は元々「来到る」の形で使われていた。「きいたる」を「きたる」と約した表現が生じたとき、漢字では到を省いて「来る」と表記された。元々は漢文訓読の際にこの読みが当てられていた。
基本的には「くる」を用いるが、意味の強調の際に「きたる」が用いられる傾向があるか。
例)
くる - 帰って来る
きたる - 来るべき事態
両方 - 冬が来る
<抱く(だく、いだく)>
どちらも、基本は「抱え込む」意味。
具体的に腕で抱え込むなら「だく」、抽象的な意味でなら「いだく」が用いられる傾向があるか。ただし、文語で「だく」はあまり見られない。
例)
だく - 赤ん坊を抱く
いだく - 自然に抱かれる、疑問を抱く
平安、鎌倉時代にのみ、「うだく」と読む例がある。
<注ぐ(つぐ、そそぐ)>
どちらも、基本は「流し入れる」意味。
直線的に送るニュアンスがあるときは「そそぐ」、容器を満たすニュアンスがあるときは「つぐ」が用いられる傾向があるか。ただし、ここの「つぐ」の意味で「そそぐ」を使っても誤用とはならなそうである。
例)
そそぐ - 濁流が注ぎ込む、降り注ぐ、視線を注ぐ
両方 - 水を注ぐ、酒を注ぐ
<怒る(おこる、いかる)>
どちらも、基本は「腹を立てる」意味。
「おこる」の語源は、「起こる」と同じである。感情が起こる(生じる)ことを、腹を立てる意味を込めて同訓異字で「怒る」と表現した。一方、「いかる」は元々「角が立つ」の意味。感情が角立つことから、この語が「怒る(おこる)」と同義に使われるようになった。なお、現在も「いかる」は「角が立つ」の意味で使われる。
名詞で使う時や対象が抽象的である時は「いかる(いかり)」、対象が具体的であるときは「おこる」が用いられる傾向があるか。
例)
おこる - 怒られる、結果に怒る
いかる - 怒り心頭、怒りを買う
両方 - 烈火のごとく怒る
? - おこり上戸
<得る(える、うる)>
どちらも、基本は「取る」意味。
「うる」は、「える」の文語「う」の連体形。終止形として「うる」を使う事も出来る。
終止形なら「える」、連体形なら「うる」。ただし、複合動詞に例外あり。
例)
える - 利益を得る、容量を得ない
うる - 起こり得るパターン
あり得る(文語「ありう」の連体形を終止形として使う。「える」は誤用)
<描く(かく、えがく)>
どちらも、基本は「絵や図に表す」意味。
目的が絵や図に表す作業その物であれば「かく」、絵や図に表すことで何かを表現する意図があるならば「えがく」が用いられる傾向があるか。
例)
かく - 図形を描く、設計図を描く
えがく - 変化を描く、心に描く
両方 - 花を描く
? - 放物線をえがく
<温い(ぬるい、ぬくい)>
どちらも、基本は「あたたかい」意味。
「ぬるい」の漢字表記は、「温い」の他に「微温い」がある。「ぬるい」には、少し温かい(温かさが十分ではない)というニュアンスがある。一方、「ぬくい」はそのまま「温かい」の意味で用いられる。
温度が想定よりも低ければ「ぬるい」、想定通りなら「ぬくい」が用いられる傾向があるか。
例)
両方 - お湯が温い、空気が温い
<違う(ちがう、たがう)>
どちらも、基本は「合わない、外れる」意味。
比較した結果合わない時は「ちがう」、想定から外れる、または合わないような言動を取る時は「たがう」が用いられる傾向があるか。ただし、複合動詞に例外あり。
例)
ちがう - 話と違う、答えが違う、すれ違う
たがう - 法に違う、予想に違う、仲違い
<誘う(さそう、いざなう)>
口語なら「さそう」、文語なら「いざなう」。
例)
さそう - 誘いを受ける
いざなう - 夢へ誘う
両方 - 旅に誘う
<難い(かたい、にくい)>
どちらも、基本は「容易でない」意味。
対象が認識によるものであれば「かたい」、言動によるものであれば「にくい」が用いられる傾向があるか。なお、「にくい」は必ず動詞の連用形に付く。
例)
かたい - 理解し難い、想像に難くない
にくい - 破れ難い、言い難い
<幼い(おさない、いとけない)>
どちらも、基本は「年が小さい」意味。
「おさない」の言葉は、「長(おさ)無し」から来ている。「長」は成長を示し、成長が無いことから「幼い」に「年が小さい」の意味が生じた。「いとけない」の語尾「ない」は甚だしいことを示す接尾語。「いとけ」は文脈から「幼気(いたいけ)」の事と予想できるが、調べた範囲では不明。
単純に年少であることを示すなら「おさない」、年少特有のあどけなさを意味として含むなら「いとけない」が用いられる傾向があるか。
例)
おさない - 幼い恰好
両方 - 幼い子ども
<歪み(ひずみ、ゆがみ)>
どちらも、基本は「変形する」意味。
変形した物のうち一部に注目する時は「ひずみ」、変形した物全体に注目する時は「ゆがみ」が用いられる傾向があるか。
例)
ひずみ - 社会の歪み、せん断歪み(せん断応力(物体内部に生じる、物体を割くような作用)による変形)
ゆがみ - 物が歪んで見える、画像の歪み
<尊い/貴い(とうとい、たっとい)>
「尊い」は、崇高であること。「貴い」は、価値があること。 "尊"敬、"貴"重 といった熟語から意味が分かりやすい。 それぞれ、「とうとい」と「たっとい」で意味としての違いはない。
語源は、どちらも「たふとし」である。「とうとい」の原型「とうとし」は「たふとし」の現代仮名遣い。「たっとい」は、「たふとし」が変形した語「たつとし」から来ている。
口語なら「とうとい」、文語なら「たっとい」。
例)
両方 - 尊い存在、貴い経験
<埋まる(うまる、うずまる)>
どちらも、基本は「他の物の中に物が没する」意味。
「うまる」の方が意味は広い。満遍なく没していることを強調する際は「うずまる」が用いられる傾向があるか。
例)
うまる - 欠員が埋まる、
両方 - 火山灰に埋まる、人で埋まる
<疎か(おろか、おろそか)>
どちらも、基本は「いい加減である」意味。
現代ではほとんど「おろそか」、または異字同訓の「愚か」が使われる。今では、「おろか」は専ら「まだしも」の意味。
例)
おろか - Aは疎か、Bも…
おろそか - 勉学が疎かになる
<捻る(ねじる、ひねる)>
どちらも、基本は「まわして動かす」意味。
力が掛けられる物体に注目した時、回転方向が一律であれば「ひねる」、一律でなければ「ねじる」が用いられる傾向があるか。
例)
ねじる - 針金を捻る
ひねる - 蛇口を捻る、ドアノブを捻る
両方 - 手首を捻る
・解答例2(意味がやや違うものの組み合わせ)
<止める(とめる、とどめる、やめる)>
「とめる」は、動いているものに対して、その動きを絶やす意味。
「とどめる」は、動こうとしているものに対して、動かさないで置く意味。
「やめる」は、動作や状態に対して、その動きを絶やす意味。
留める(とめる、とどめる)も、概ね同じ。
<辛い(つらい、からい)>
「つらい」は、仕打ちが酷い、または苦しい意味。
「からい」は、激しく舌を刺激する味、または危うい意味。
<空く(あく、すく)>
「あく」は、元々埋まっていた部分に空間ができる意味。
「すく」は、全体的に見て密度が低くなる、まばらになる意味。
<退く(しりぞく、ひく、のく)>
「しりぞく」は、後ろに下がる、または役職から身を引く意味。
「ひく」は、「しりぞく」の意味の他、その場を去る意味がある。
「のく」は、その場所から移動する意味。後ろとは限らない。
<臭い(におい、くさい)>
「におい」は名詞。臭気や雰囲気のこと。
「くさい」は形容詞。「におい」がする、または疑わしい意味。
<栄える(はえる、さかえる)>
「はえる」は、立派に見える、目立つ意味。
「さかえる」は、勢いが盛んになる、繁盛する意味。
<強い(つよい、こわい)>
「つよい」は、力が優れている、または頑丈である意味。
「こわい」は、かたい、頑固である、堅苦しいなどの意味。
<悪い(わるい、にくい)>
「わるい」は好ましくない、または劣っている意味。
「にくい」は、多く「憎い」か「難い」、もしくは平仮名表記で代用される。意味はこれらと共通だが、現在はあまり使われない。
<弾く(ひく、はじく)>
「ひく」は、楽器を奏でる意味。
「はじく」は、はね返る力で打つ、または撥ねる意味。
そろばんの珠の動きから、「計算する」の意味もある。
<解く(とく、ほどく)>
「とく」は、広義には緩めてほぐす意味。凝り固まったものをほぐすことから「晴らす(例:緊張を解く)」とか、不明なものを緩めほぐすことから「明らかにする(例:方程式を解く)」とかの意味を持つ。
「ほどく」は、結んであるものを放す、または理解する意味。
<垂れる(たれる、しだれる)>
「たれる」は、重みで下がる意味。
「しだれる」は、意味としては「たれる」と同じだが、主に植物に対して使われる。
<潜る(もぐる、くぐる)>
「もぐる」は、基準となる面(水平面)より下方に入り込む意味。
「くぐる」は、単に物の下を過ぎる、またはすり抜ける意味。
<被る(こうむる、かぶる)>
「こうむる」は、身に受ける意味。
「かぶる」は、頭の上から覆う、浴びる意味。
重なる、重複するという意味での「かぶる」は、いわゆる俗語。
yard 2019/10/06 01:31
・解答集1(ほとんど同じ意味の組み合わせ)
<入る(いる、はいる)>
どちらも、基本は「内に移動する」意味。
古くは「はいる」を「這入る」と表現していたが、後に、這の字を省いた「入る(いる)」の表現が広がった。また、「這入る」と同じ読み、同じ意味として「入る(はいる)」の表現が生じた。
複合語や慣用句、文語として使う時は「いる」、単語、口語として使う時は「はいる」と読む傾向があるか。
例)
いる - 日の入り、入り口、気に入る
はいる - 手に入る、部屋に入る
両方 - ひびが入る、力が入る
<叩く(たたく、はたく)>
どちらも、基本は「打つ、当てる」意味。
「叩く(たたく)」が原型の言葉として存在し、「払い叩く」動作のことを「叩く(はたく)」と表現するようになったという説や、「叩く(たたく)」の方言として「はたく」の表現が使われていて、同じ字を当てて全国に広まった説などがある。
動作やその目的が「打つ、当てる」その物であれば「たたく」、「打つ、当てる」の延長にあれば「はたく」と読む傾向があるか。
例)
たたく - 手を叩く、口を叩く(顎を打つ→「喋る」の意味)、
意見が叩かれる(批判を当てる→「非難、攻撃」の意味)
はたく - 埃を叩く、顔を叩く(手を顔に当てた後、手を止めずに引く)
財布の底を叩く(財布の底を打ち、金を全て落とす→「有り金を使い果たす」の意味)
<包む(つつむ、くるむ)>
どちらも、基本は「物を覆う」意味。
「包める」の文語系であることを除けば、「くるむ」の意味は「包み巻き込む」ことのみである。一方、「つつむ」の意味は多くあるが、前提として「物を覆って中に入れる」ニュアンスを含む。ここで、「つつむ」の意味に「巻き込む」ことが含まれないとは言えない。
覆いかたが均一、もしくは覆う対象が抽象的であれば「つつむ」、覆う対象が具体の物で、覆いかたが不均一であれば「くるむ」と読む傾向があるか。
例)
つつむ - オブラートに包む、霧が包む、熱気に包まれる
くるむ - 毛布で包む、身を包む
両方 - 風呂敷で包む
? - ラップでご飯をくるむ
<汚す(よごす、けがす)>
どちらも、基本は「きたなくする」意味。
このうち、「けがす」の読みは「穢れ(けがれ)」から来ている。(「汚れ(けがれ)」、「穢す」(けがす)の読みはあるが、「穢す」を「よごす」とは読まない)穢れは不浄な状態の事であり、内面的な要素(死、病、その他)が挙げられる。一方、「よごす」に対する「汚れ」は、目で見える部分について言われる。
汚い原因やその状態が目に見えるのであれば「よごす」、目に見えないのであれば「けがす」と読む傾向があるか。
例)
よごす - 衣服を汚す、手を汚す
けがす - 名を汚す、末席を汚す、晩節を汚す(名誉のある人が、晩年に失態を犯す)
? - よごれ仕事
<行く(いく、ゆく)>
口語なら「いく」、文語や複合語なら「ゆく」。
ただし、「ゆく」が連用形「ゆい(イ音便)」で用いられるときは、「いっ(促音便)」で代用される。
例)
いく - 行ってくる
ゆく - 消え行く、立ち行く
両方 - 見に行く、行く先
<来る(くる、きたる)>
どちらも、基本は「対象が近づいてくる」意味。
「きたる」は元々「来到る」の形で使われていた。「きいたる」を「きたる」と約した表現が生じたとき、漢字では到を省いて「来る」と表記された。元々は漢文訓読の際にこの読みが当てられていた。
基本的には「くる」を用いるが、意味の強調の際に「きたる」が用いられる傾向があるか。
例)
くる - 帰って来る
きたる - 来るべき事態
両方 - 冬が来る
<抱く(だく、いだく)>
どちらも、基本は「抱え込む」意味。
具体的に腕で抱え込むなら「だく」、抽象的な意味でなら「いだく」が用いられる傾向があるか。ただし、文語で「だく」はあまり見られない。
例)
だく - 赤ん坊を抱く
いだく - 自然に抱かれる、疑問を抱く
平安、鎌倉時代にのみ、「うだく」と読む例がある。
<注ぐ(つぐ、そそぐ)>
どちらも、基本は「流し入れる」意味。
直線的に送るニュアンスがあるときは「そそぐ」、容器を満たすニュアンスがあるときは「つぐ」が用いられる傾向があるか。ただし、ここの「つぐ」の意味で「そそぐ」を使っても誤用とはならなそうである。
例)
そそぐ - 濁流が注ぎ込む、降り注ぐ、視線を注ぐ
両方 - 水を注ぐ、酒を注ぐ
<怒る(おこる、いかる)>
どちらも、基本は「腹を立てる」意味。
「おこる」の語源は、「起こる」と同じである。感情が起こる(生じる)ことを、腹を立てる意味を込めて同訓異字で「怒る」と表現した。一方、「いかる」は元々「角が立つ」の意味。感情が角立つことから、この語が「怒る(おこる)」と同義に使われるようになった。なお、現在も「いかる」は「角が立つ」の意味で使われる。
名詞で使う時や対象が抽象的である時は「いかる(いかり)」、対象が具体的であるときは「おこる」が用いられる傾向があるか。
例)
おこる - 怒られる、結果に怒る
いかる - 怒り心頭、怒りを買う
両方 - 烈火のごとく怒る
? - おこり上戸
<得る(える、うる)>
どちらも、基本は「取る」意味。
「うる」は、「える」の文語「う」の連体形。終止形として「うる」を使う事も出来る。
終止形なら「える」、連体形なら「うる」。ただし、複合動詞に例外あり。
例)
える - 利益を得る、容量を得ない
うる - 起こり得るパターン
あり得る(文語「ありう」の連体形を終止形として使う。「える」は誤用)
<描く(かく、えがく)>
どちらも、基本は「絵や図に表す」意味。
目的が絵や図に表す作業その物であれば「かく」、絵や図に表すことで何かを表現する意図があるならば「えがく」が用いられる傾向があるか。
例)
かく - 図形を描く、設計図を描く
えがく - 変化を描く、心に描く
両方 - 花を描く
? - 放物線をえがく
<温い(ぬるい、ぬくい)>
どちらも、基本は「あたたかい」意味。
「ぬるい」の漢字表記は、「温い」の他に「微温い」がある。「ぬるい」には、少し温かい(温かさが十分ではない)というニュアンスがある。一方、「ぬくい」はそのまま「温かい」の意味で用いられる。
温度が想定よりも低ければ「ぬるい」、想定通りなら「ぬくい」が用いられる傾向があるか。
例)
両方 - お湯が温い、空気が温い
<違う(ちがう、たがう)>
どちらも、基本は「合わない、外れる」意味。
比較した結果合わない時は「ちがう」、想定から外れる、または合わないような言動を取る時は「たがう」が用いられる傾向があるか。ただし、複合動詞に例外あり。
例)
ちがう - 話と違う、答えが違う、すれ違う
たがう - 法に違う、予想に違う、仲違い
<誘う(さそう、いざなう)>
口語なら「さそう」、文語なら「いざなう」。
例)
さそう - 誘いを受ける
いざなう - 夢へ誘う
両方 - 旅に誘う
<難い(かたい、にくい)>
どちらも、基本は「容易でない」意味。
対象が認識によるものであれば「かたい」、言動によるものであれば「にくい」が用いられる傾向があるか。なお、「にくい」は必ず動詞の連用形に付く。
例)
かたい - 理解し難い、想像に難くない
にくい - 破れ難い、言い難い
<幼い(おさない、いとけない)>
どちらも、基本は「年が小さい」意味。
「おさない」の言葉は、「長(おさ)無し」から来ている。「長」は成長を示し、成長が無いことから「幼い」に「年が小さい」の意味が生じた。「いとけない」の語尾「ない」は甚だしいことを示す接尾語。「いとけ」は文脈から「幼気(いたいけ)」の事と予想できるが、調べた範囲では不明。
単純に年少であることを示すなら「おさない」、年少特有のあどけなさを意味として含むなら「いとけない」が用いられる傾向があるか。
例)
おさない - 幼い恰好
両方 - 幼い子ども
<歪み(ひずみ、ゆがみ)>
どちらも、基本は「変形する」意味。
変形した物のうち一部に注目する時は「ひずみ」、変形した物全体に注目する時は「ゆがみ」が用いられる傾向があるか。
例)
ひずみ - 社会の歪み、せん断歪み(せん断応力(物体内部に生じる、物体を割くような作用)による変形)
ゆがみ - 物が歪んで見える、画像の歪み
<尊い/貴い(とうとい、たっとい)>
「尊い」は、崇高であること。「貴い」は、価値があること。 "尊"敬、"貴"重 といった熟語から意味が分かりやすい。 それぞれ、「とうとい」と「たっとい」で意味としての違いはない。
語源は、どちらも「たふとし」である。「とうとい」の原型「とうとし」は「たふとし」の現代仮名遣い。「たっとい」は、「たふとし」が変形した語「たつとし」から来ている。
口語なら「とうとい」、文語なら「たっとい」。
例)
両方 - 尊い存在、貴い経験
<埋まる(うまる、うずまる)>
どちらも、基本は「他の物の中に物が没する」意味。
「うまる」の方が意味は広い。満遍なく没していることを強調する際は「うずまる」が用いられる傾向があるか。
例)
うまる - 欠員が埋まる、
両方 - 火山灰に埋まる、人で埋まる
<疎か(おろか、おろそか)>
どちらも、基本は「いい加減である」意味。
現代ではほとんど「おろそか」、または異字同訓の「愚か」が使われる。今では、「おろか」は専ら「まだしも」の意味。
例)
おろか - Aは疎か、Bも…
おろそか - 勉学が疎かになる
<捻る(ねじる、ひねる)>
どちらも、基本は「まわして動かす」意味。
力が掛けられる物体に注目した時、回転方向が一律であれば「ひねる」、一律でなければ「ねじる」が用いられる傾向があるか。
例)
ねじる - 針金を捻る
ひねる - 蛇口を捻る、ドアノブを捻る
両方 - 手首を捻る
・解答例2(意味がやや違うものの組み合わせ)
<止める(とめる、とどめる、やめる)>
「とめる」は、動いているものに対して、その動きを絶やす意味。
「とどめる」は、動こうとしているものに対して、動かさないで置く意味。
「やめる」は、動作や状態に対して、その動きを絶やす意味。
留める(とめる、とどめる)も、概ね同じ。
<辛い(つらい、からい)>
「つらい」は、仕打ちが酷い、または苦しい意味。
「からい」は、激しく舌を刺激する味、または危うい意味。
<空く(あく、すく)>
「あく」は、元々埋まっていた部分に空間ができる意味。
「すく」は、全体的に見て密度が低くなる、まばらになる意味。
<退く(しりぞく、ひく、のく)>
「しりぞく」は、後ろに下がる、または役職から身を引く意味。
「ひく」は、「しりぞく」の意味の他、その場を去る意味がある。
「のく」は、その場所から移動する意味。後ろとは限らない。
<臭い(におい、くさい)>
「におい」は名詞。臭気や雰囲気のこと。
「くさい」は形容詞。「におい」がする、または疑わしい意味。
<栄える(はえる、さかえる)>
「はえる」は、立派に見える、目立つ意味。
「さかえる」は、勢いが盛んになる、繁盛する意味。
<強い(つよい、こわい)>
「つよい」は、力が優れている、または頑丈である意味。
「こわい」は、かたい、頑固である、堅苦しいなどの意味。
<悪い(わるい、にくい)>
「わるい」は好ましくない、または劣っている意味。
「にくい」は、多く「憎い」か「難い」、もしくは平仮名表記で代用される。意味はこれらと共通だが、現在はあまり使われない。
<弾く(ひく、はじく)>
「ひく」は、楽器を奏でる意味。
「はじく」は、はね返る力で打つ、または撥ねる意味。
そろばんの珠の動きから、「計算する」の意味もある。
<解く(とく、ほどく)>
「とく」は、広義には緩めてほぐす意味。凝り固まったものをほぐすことから「晴らす(例:緊張を解く)」とか、不明なものを緩めほぐすことから「明らかにする(例:方程式を解く)」とかの意味を持つ。
「ほどく」は、結んであるものを放す、または理解する意味。
<垂れる(たれる、しだれる)>
「たれる」は、重みで下がる意味。
「しだれる」は、意味としては「たれる」と同じだが、主に植物に対して使われる。
<潜る(もぐる、くぐる)>
「もぐる」は、基準となる面(水平面)より下方に入り込む意味。
「くぐる」は、単に物の下を過ぎる、またはすり抜ける意味。
<被る(こうむる、かぶる)>
「こうむる」は、身に受ける意味。
「かぶる」は、頭の上から覆う、浴びる意味。
重なる、重複するという意味での「かぶる」は、いわゆる俗語。