都会の雑踏を避けるようにひっそりと佇む紅探偵事務所。
閑古鳥が常駐して鳴いていると評判のその事務所に、今日は珍しく1人の来客があった。
「紅、邪魔するぞ」
それは俺の旧友である赤井だった。
「邪魔するなら帰ってくれ」
俺は軽口を叩く。赤井は笑みを零しながら、
「まあまあそう言わず相談に乗ってくれよ」
「相談って?」
俺は腐っても探偵だ。相談と言われれば大人しく聞く。
「近くの青緑君が働いてるコンビニで万引きがあったらしくてな」
「万引きねえ」
青緑君は赤井の同級生なのだが、どうも赤井とは折り合いが悪い。この二人が会う度に口論になることは当時の知り合いの間では有名だった。
ただ俺から見ると本当に険悪な仲というわけでもないと思う。俺が赤井と会うと高確率で軽口を叩くのと意味合いはあまり変わらないのだろう。
「俺がそのコンビニで張り込みすればいいのかな」
「いや、そうじゃない。犯人は既に捕まっているんだ」
「なんだ。じゃあもう事件は解決じゃないか」
拍子抜けである。久し振りに探偵の技量を遺憾なく発揮しようと思ったのだが。
「犯人を捕まえるんじゃなくて、何が万引きされたのかを突き止めてほしいんだ」
何を言ってるんだこいつは。
開いた口が塞がらないという感情が表情にも出ていたのか赤井は聞いてくれと言わんばかりに、
「いやいや、青緑君に聞いてみたんだが教えてくれないんでな」
「そんなの分かるわけないだろ」
情報もなしに何が万引きされたでしょう、なんてクイズ大陸に出題してみろ。満場一致で知らんがな、となるに違いない。
「いや、ヒントは貰ったんだ。青緑君が書いてくれた」
「ヒントか。よし、見せてみろ」
暗号のようなものだろうか。とりあえず現物を見てから判断しよう。
「いや、持ってきてはいない」
「持ってきてないのかよ!」
この流れで持ってきてない、なんてクイズ大陸でやってみろ。今度は満場一致でないんかい、となるに違いない。
「覚えているから問題ない。そのヒントにはレモンと書かれていたんだ」
何を言ってるんだこいつは。だったら万引きされたのがレモンで問題ないじゃないか。
開いた口が塞がらないという感情が表情にも出ていたのか赤井は聞いてくれと言わんばかりに、
「それが、そのコンビニにはレモンなんて元々置いていないんだよ」
「レモンジュースやレモンティーは?」
「その類もない。レモン味の何かもレモンに関係する名前の何かもなかった」
「ふーん」
やっと赤井が言いたいことが理解できた。
正解だと思っていたレモンに裏切られて迷走しているわけだ。『レモンは嘘をつかない』ならぬ、『レモンは嘘をつく』。これにはグロフィールドもびっくりだろう。
さて、レモンは一体何を告げているのか……。
俺は思考を巡らせた。
ここで問題。
青緑君が働いているコンビニで万引きされたものは?
>>32 ヒント追加
>>39 大ヒント追加
閑古鳥が常駐して鳴いていると評判のその事務所に、今日は珍しく1人の来客があった。
「紅、邪魔するぞ」
それは俺の旧友である赤井だった。
「邪魔するなら帰ってくれ」
俺は軽口を叩く。赤井は笑みを零しながら、
「まあまあそう言わず相談に乗ってくれよ」
「相談って?」
俺は腐っても探偵だ。相談と言われれば大人しく聞く。
「近くの青緑君が働いてるコンビニで万引きがあったらしくてな」
「万引きねえ」
青緑君は赤井の同級生なのだが、どうも赤井とは折り合いが悪い。この二人が会う度に口論になることは当時の知り合いの間では有名だった。
ただ俺から見ると本当に険悪な仲というわけでもないと思う。俺が赤井と会うと高確率で軽口を叩くのと意味合いはあまり変わらないのだろう。
「俺がそのコンビニで張り込みすればいいのかな」
「いや、そうじゃない。犯人は既に捕まっているんだ」
「なんだ。じゃあもう事件は解決じゃないか」
拍子抜けである。久し振りに探偵の技量を遺憾なく発揮しようと思ったのだが。
「犯人を捕まえるんじゃなくて、何が万引きされたのかを突き止めてほしいんだ」
何を言ってるんだこいつは。
開いた口が塞がらないという感情が表情にも出ていたのか赤井は聞いてくれと言わんばかりに、
「いやいや、青緑君に聞いてみたんだが教えてくれないんでな」
「そんなの分かるわけないだろ」
情報もなしに何が万引きされたでしょう、なんてクイズ大陸に出題してみろ。満場一致で知らんがな、となるに違いない。
「いや、ヒントは貰ったんだ。青緑君が書いてくれた」
「ヒントか。よし、見せてみろ」
暗号のようなものだろうか。とりあえず現物を見てから判断しよう。
「いや、持ってきてはいない」
「持ってきてないのかよ!」
この流れで持ってきてない、なんてクイズ大陸でやってみろ。今度は満場一致でないんかい、となるに違いない。
「覚えているから問題ない。そのヒントにはレモンと書かれていたんだ」
何を言ってるんだこいつは。だったら万引きされたのがレモンで問題ないじゃないか。
開いた口が塞がらないという感情が表情にも出ていたのか赤井は聞いてくれと言わんばかりに、
「それが、そのコンビニにはレモンなんて元々置いていないんだよ」
「レモンジュースやレモンティーは?」
「その類もない。レモン味の何かもレモンに関係する名前の何かもなかった」
「ふーん」
やっと赤井が言いたいことが理解できた。
正解だと思っていたレモンに裏切られて迷走しているわけだ。『レモンは嘘をつかない』ならぬ、『レモンは嘘をつく』。これにはグロフィールドもびっくりだろう。
さて、レモンは一体何を告げているのか……。
俺は思考を巡らせた。
ここで問題。
青緑君が働いているコンビニで万引きされたものは?
>>32 ヒント追加
>>39 大ヒント追加