クイズ大陸



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?Yss 2015/10/20 23:02
計算間違いのままでは気持ち悪いので、No.92で提起した問題に対し、
コイントス基準(O派)で、「二日目または三日目である」という場合に、
どうなるのか、再計算してみました。(自分で始末をつけます(^^ゞ

A 2
B 2 3
C 2 3 4


O派の場合、あくまで確率はコイントス(改題した私の設定の場合はサイコロですが)
に紐付けされていて、以下のようなイメージ。

A1/3 ■
B1/3 ■ ■
C1/3 ■ ■ ■

「二日目である」ときには、ABCどの可能性もあることから、
確率は1/3,1/3,1/3となる。
「三日目である」ときには、BCの可能性のみなので、
確率は0,1/2,1/2となる。
「四日目である」ときには、Cの可能性のみなので、
確率は0,0,1となる。

このとき、
問16「さぁ、あなたは目覚めた。今は二日目または三日目であると知らされた。場合Bである確率は?」
これを再計算してみました。

まず、普通に計算すると、ABC全ての可能性があることから、1/3。
あとは、ちゃんと整合性があるかどうかの確認です。


記号は・・・とりあえず確率はQを使って表すことにします。

「目覚めたら、二日目であると知った」を事象S
「目覚めたら、三日目であると知った」を事象T
「目覚めたら、二日目または三日目であると知った」を事象ST
※事象STは S∪T と同義。
場合Bであるを 事象B

事象SとTは、コイントス確率空間では、排反ではないので、
以下のような計算になります。

「二日目または三日目であると知ったとき、場合Bである確率」を、
コイントス基準で求める。

QST(B)・Q(ST)
=Q((S∪T)∩B)
=Q(S∩B)+Q(T∩B)-Q(S∩T∩B)
= QS(B)・Q(S) + QT(B)・Q(T) -QS∩T(B)・Q(S∩T)

と、なります。
全て値は求められるので、
QS(B)=1/3 (二日目である→ABC全ての可能性のうちのBの確率→1/3)
Q(S)=1  (二日目である→ABCのうち「二日目がある」場合→全部なので1)
QT(B)=1/2 (三日目である→BCの可能性のうちのBの確率→1/2)
Q(T)=2/3 (三日目である→ABCのうち「三日目がある」場合→BCなので2/3)
QS∩T(B)=1/2 (二日目かつ三日目→ABCのうちこの二日で目覚めるのはBC。うちBの割合は1/2)
Q(S∩T)=2/3 (二日目と三日目の両方が起こる→ABC中のBC。→2/3)
Q(ST)=1 (二日目または三日目に目覚める→ABC全てにおいて→1)


QST(B)・Q(ST)
=(1/3)(1)+(1/2)(2/3)-(1/2)(2/3)
=1/3

Q(ST)=1であるから、

QST(B)=1/3   ←問16の答えと整合する
となり、整合性がとれていて、計算上も、矛盾はありません。
(No.94の計算は違ってました。失礼しました。)


ここまで考えて来て、

■1/3派の考え方<目覚め基準・目覚め確率空間>
「全ての目覚めを別々の事象として扱い、目覚め基準で確率を計算する」
■O派の考え方<コイントス基準・コイントス確率空間>
「コイントスを基準に考え、目覚めの中で起きたことは、
 コイントス基準の、場合の数に影響するかどうかだけを考える」

のいずれも、無矛盾で、確率を計算できることが分かりました。


私が勝手に設定した設問の方ではなく、本来の問題に戻って・・・
たっくん4さんのNo.100の記述、
> コイン基準を貫けば  問2−4は 1/2, 3/2万円 が解で、
> 目覚め基準を貫けば  問2−4は 1/3, 5/3万円 が解。
>そのほかは全部 1/2, 3/2万円が解になって、
>それ以外の答えは「はっきり間違い」と考えています。
そういうことですね。同意します。


H派は・・・今となってはちょっと微妙です。
穿った見方をすれば、参考資料の中の1/2派(≒H派)の解説は、
わざと微妙な考え方を紹介して、1/3派を有利に見せるための、
ポジショントークだったのではないか・・・とも見えます。
少なくとも、
目覚め基準vsコイントス基準
なら、どちらも、おかしなところはなく、あとは本当に、
問題文をどう解釈するか(国語的な問題)、
物事をどう捉えるか(哲学的問題)、
の話になったと思います。


参考資料よりも、本スレッドは内容が濃く、
深い理解ができたと、感動しております。


s_hskzさんの出題に感謝です。
返信 編集
?s_hskz
 
Yssさん御出題のスレで私が気まぐれに《酔っぱらい鉄道》について雑談を書き込んだときには、まさかこのような展開になろうとは思ってもみませんでした。Yssさんから、眠り姫について私から出題するようにとお勧め頂いたことが、《始まり》になりました。ありがとうございます。
《酔っぱらい鉄道》時点では私は1/3派、YSSさんは1/2派でしたね。今となってはふたりとも遠くへ来たものだと思われてなりません。

さて、よくよく振り返ってみますと《酔っぱらい鉄道》では乗り越したときのタクシー代負担というペナルティが書いてあります。あのときは、今自分がどちら終点の列車に乗っているのかを知りたいといった心理的な動機付けを演出するためだけの小道具に過ぎませんでした。タクシー代の期待値など真剣に検討すべき課題とは思ってもいなかったのが実情です。鉄橋の轟音で目覚めるウタタの私と、タクシーに乗り財布の中身を見る私と、どちらも本当の私なのでした。
悩みに悩んだ末、あいまいな語義の問題としてとらえ直したく、場合Aには二種類の概念がある、これをなんとか分離したいと願って被験者にはチョーカーをはめてもらうことにしました。
ところが、語義の問題ではないことが本スレッドのみなさんの討論により浮き彫りになって参りました。いちばん悩んだのがあれれさんによる筋の通った御主張でした。「場合Aのとらえかたにふたつの語義の混在の問題がある」のではなく、「場合Aのとらえかたにみっつ以上の【語義??…それは語義なのか?】の問題がある」ことが、あれれさんと1/2派の方々、1/3派の方々との討論から推定されました。問6〜7で確率改訂を必要とする立場と、そもそもそんなの視座にはいらない立場と。もはや出題時に考えていた二項対立ではなくなってしまいました。

ぜんぜん予想しなかった展開です。

おかげさまで私は眠り姫問題で、あらたな検討課題を得ることとなりました。

詳しくはwikipediaのベルトランのパラドックスの項をご覧いただきたいのですが、哲学・国語の問題の枠組みとしてではなく、複数の確率空間が与えられたときに、数学的にどれが適切かを決められる基準をあらたにぶちこむこと…ベルトランの問題の場合には、測度についての好き嫌いを許容してなんでもアリとする現代確率論の公理に、さらになにものか…客観的な基準を加えて、複数ある確率空間を絞り込む方向で解決をはかっている研究者がいます。眠り姫は、単一の確率空間を要請するベルトランの問題よりも複雑で、複数の確率空間が混在しているように(私には)みえます。確率空間を渡り歩くことは、私もそうですし、1/3派の方々もそうなさっておいでです。仮に渡り歩くことはダメだと数学的に禁止されたら、コイントス確率空間でのみ処理すべきか、1/2派確率空間でのみで処理すべきか、目覚め確率空間でのみで処理すべきか、私には選べません。そもそも複数の確率空間がみえかくれする眠り姫や森の射手は、確率論の問題としては(数学者にとっては)成立していないのかもしれません。

いつだったかもう忘れましたが、眠り姫問題が月刊誌『数学セミナー』で紹介されていて、恐ろしいことに、回答未掲載だったことを思い出しました。

私にとって、いろいろ未解決な難問の眠り姫ですが、みなさんからのご助力により、新たな展望が開けたことに深く感謝しております。道半ばですが、この散歩道の風景は豊穣で彩りに満ちています。風を感じながらぶらぶら歩いていきたいと思います。