クイズ大陸



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?Yss 2015/10/06 00:43
応用問題の方の解答と解説です。

まず、大前提として、こちらはそもそも答えが一意に決まらない、
ということを申し上げておきます。
何を確定した情報と捉え、どこを前提とするかによって、答えが変わってきます。

まずは、ベイズの定理から式を整えていきます。
本問の本題と同じように、今度は「天使である比率」ですので、

事象A 彼が天使である (AngelのA)
事象D 彼が悪魔である (DevilのD)
事象B 彼が【天使】と判定される

と、おきまして(本問本題とは、Bの意味が違っているので注意)


PB(A)=PA(B)・P(A)/P(B)・・・(式1)
PB(D)=PD(B)・P(D)/P(B)・・・(式2)

同様に、式1を式2で辺々割り算して分母を消去して、

PB(A)/PB(D) = PA(B)・P(A) / (PD(B)・P(D))

同様に事前確率の比×情報による改定、の形に変形して、

PB(A)/PB(D) = (P(A)/P(D)) ・ (PA(B)/PD(B))

ここで、PA(B)/PD(B)は、問題文に与えられていますので、
(90/100)/(1/100) =90

これを代入して、

PB(A)/PB(D) = (P(A)/P(D)) ×90

と、なります。
天使判定が出たことで、事前に想定出来る天使の確率/悪魔の確率 の比が、
90倍、天使側に寄ったと考えられます。
(蛇足ですが、悪魔判定が出た場合は9.9倍でしたが、
 天使判定が出た場合は、90倍になるわけです。蛇足でした)

ここまではほぼ一本道で自明なのですが、
問題はここからです。


ここで、問題となるのが、
では、事前に想定出来る
P(A) チェッカーの判定前に、彼が天使であると想定出来る確率
P(D) チェッカーの判定前に、彼が悪魔であると想定出来る確率

を、いくらと見積もるのか、
という部分です。



本問へ寄せられた解答では、
【天使と悪魔は、結婚率に差がなく、(統計的に見れば)人口比率でランダムに結婚する】
ということを前提において、解答された方が多かったのですが、

実はこれは、妥当な仮定のひとつではありますが、
そんなことは問題のどこにも与えられていないので、若干勇み足だと考えています。

私が問題を作る段階において、ひとつの妥当な仮定として、
私自身が、上の仮定を置いて、世代を経たらどの程度の人口比率になるのか計算し、
その結果を用いて、問題の数値を作ったという経緯が、確かにあるのですが、
後述するように、ひとつの可能性であって、十分条件ではないんです。


本問では、この点について、たっくん4さんの慧眼により、
かなり早い段階で言及が行われておりまして(びっくりしたのですが・・・
と同時に設問の裏側まで読み取って頂けて嬉しくもあったのですが)

なんとなく、そっちの前提で、話が進んでいった感じがありましたが、


【天使、悪魔間の結婚比率については、十分な情報がない】
と考えるのが、いちばん「地に足の付いた」仮定であると考えています。

例外は結構簡単に、複数あげることができます。

たとえばですが、
この大陸では実は結婚差別が非常に厳しく、
ほとんど天使同士、悪魔同士でしか結婚が行われていなくて、
天使×悪魔の結婚は、子供の生まれる比率が計算出来る程度には存在するものの、
統計上無視出来るほど少数しか、行われていない。
但し、天使も悪魔も、それぞれ天使同士、悪魔同士で結婚していて、
結婚して子供を持つチャンスは、同等にある。
という仮定を置いても、天使の人口比率、悪魔の人口比率は、5/6、1/6で安定します。
この場合、彼の父親が天使である確率は、ほぼ1と考えるのが妥当です。

ほかにも、
天使同士はやや忌避し合う傾向があり、
悪魔同士は、かなり忌避し合う傾向があり、
天使×悪魔の組合せが結局好まれる傾向がある(自分と違う人に惹かれる)、
という仮定を置いても、
切りのいい数字にはなりませんが、天使、悪魔が5/6、1/6で安定する
天使・悪魔間の結婚比率が存在することは、計算してみると、確認出来ました。

したがって、天使と悪魔の結婚比率については、十分な情報がない、
というのが、第一に選択すべき、妥当な仮定であると考えます。
(字数制限のため、次の投稿へ続く)
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