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s_hskz
2015/09/15 13:28
(承前)
§《壊れた天秤が信頼できない計測結果を示したときのニセ金貨の特定方法》
まず計測結果を並べて書き出しますます。下図で、いろ、は、に、ほ、はそれぞれ計測結果で、○や●や−を示します。
@ABCD
いろはにほ
次に、これらを、ひとつづつ右に詰めて、ぐるっと回したものの、一覧をつくります。
@ABCD
いろはにほ
D@ABC
ほいろはに
CD@AB
にほいろは
BCD@A
はにほいろ
ABCD@
ろはにほい
要は、省略記法でいうところの、
[いろはにほ]5
を作ってみるのです。
するとこの一覧のなかのどれかひとつは、必ず下記のどれかひとつと、〈良く似ている〉ことになります。
[−−−−−]1
[●○−○●]5
[○−●−○]5
[−●○●−]5
〈良く似ている〉とは、天秤1台分だけ異なっていて、残りの4台分については同じである、という意味です。壊れた天秤が1台あるからこうなります。 つまり壊れた天秤を特定できるのです。従いましてニセ金貨の特定も可能となります。
ひとつ具体的に例示します。計測の結果が以下の通りだとします。
@ABCD
●○○○−
これらをぐるっとまわして一覧表をつくります。
@ABCD
●○○○−
D@ABC
−●○○○
CD@AB
○−●○○
BCD@A
○○−●○
ABCD@
○○○−●
これらと以下の一覧
[−−−−−]1
[●○−○●]5
[○−●−○]5
[−●○●−]5
とを比べれば〈良く似ている〉のは、
CD@AB
○−●○○
と
[○−●−○]5
とになります。Aの部分だけが異なっています。このことから、Aの天秤が壊れた天秤とわかります。元の計測結果に戻れば、
@XBCD
●?○○−
となります。ここでXは壊れた天秤、?は信頼出来ない計測結果で、本当は − であるとさきほどわかりました。 本来の姿に復旧するならば、
@ABCD
●−○○−
となります。【判定図】から、
CD:●−○○−
を引き当てて、ニセ金貨はC、Dの2枚であるとわかりました。
こうしたやりかたで必ずニセ金貨が特定できる理由について考えておかなければなりません。上記の特定方法で誤って本物の金貨をニセ金貨として、他人のそら似で、捕まえてしまい冤罪になってしまう危険性はないのか、調べておくべきです。次に説明します。
§《判定図の性質》
省略記法を使います。判定図には以下の16パターンが含まれているのでした。
[−−−−−]1
[●○−○●]5
[○−●−○]5
[−●○●−]5
さて、今お読みになっている解説では、16パターンについて調べる際に、以後「異なり度数」という考え方を使います。異なり度数とは、2つのパターンのあいだで、どれほど不一致があるかを数えたものです。
例えば、
[○●●○○]1
と
[○●●○○]1
とは完全に一致していますから、異なり度数は 0 です。
また、さきほどまでの説明で〈よく似ている〉と云っていたものは、異なり度数が 1 のことです。
また、
[○●●●○]1
と
[−●○●○]1
とでは、異なり度数は 2 です。
仮に、先程まで使っていた【判定図】に、異なり度数が 2 の[○●●●○]1と、[−●○●○]1とが含まれていたとしましょう。これでは壊れた天秤やニセ金貨を特定できません。それはなぜかと云うと、両者に対して丁度異なり度数が 1 のもの、例えば、[○●○●○]の存在が邪魔をするからです。どちらにも〈よく似ている〉ことになります。
(仮の)【判定図】
\\\@ABCD
いろ:○●●●○
はに:−●○●○
だとして、計測結果が、
\\\@ABCD
:○●○●○
だとすると、Xを壊れた天秤として
\\\XABCD
はに:○●○●○
であるのか、
\\\@AXCD
いろ:○●○●○
であるのか、区別がつきません。これではニセ金貨が特定できずに不都合なのですが、この原因はそもそも、(仮の)【判定図】に、異なり度数が 2 のパターンが含まれているからです。両者に〈よく似ている〉ものがニセ金貨の特定を邪魔してしまいます。
では、(仮の)判定図から離れて、No.36で提示しておいた判定図に話を戻します。
この判定図に含まれる下記の全16パターンのうち任意の2つを取り出しますと、そのふたつのあいだの異なり度数は最小でも 3 となっていて、 2 以下にはなっていません。
[−−−−−]1
[●○−○●]5
[○−●−○]5
[−●○●−]5
そのことの確認はいったん後回しにしますが、この、良い性質により、天秤がひとつ壊れていても、計測結果は、せいぜいで異なり度数が 1 のニセのパターンになるだけで、本来のパターンとは〈よく似ている〉ことになりますし、それ以外のパターンとのあいだでは異なり度数が 2 以上となり、絶対に〈よく似ている〉ことにはなりません。計測結果に〈よく似ている〉ものが必ずひとつだけみつかる仕組みになっています。これで、ニセ金貨および壊れた天秤の特定の仕組みがわかりました。
最後に、異なり度数が 3 以上であることを確認する作業が残っていますが、比較的に簡単で手数が少ない方法を説明するのみと致します。
(1)[−−−−−]1と、他の15パターンのそれぞれとのあいだの異なり度数は目視で確認できます。
(2)[●○−○●]5、と[○−●−○]5とのあいだの異なり度数、およびに、[●○−○●]5、と[−●○●−]5とのあいだの異なり度数については、[●○−○●]1、と[○−●−○]5とのあいだの異なり度数、およびに、[●○−○●]1、と[−●○●−]5とのあいだの異なり度数のみを確認するだけで完了します。
(なぜでしょうか?パターンを、まわして詰めて作ってあるからです)
(3)[○−●−○]1と[−●○●−]5との異なり度数を確認します。
異なり度数の確認を全パターンについてまじめに確認するよりは楽にできることでしょう。
以上で、解法2 についての説明を終わります。
===
注。上記では、「異なり度数」と言いましたが、「ハミング距離」という用語を言い換えたものです。
s_hskz 2015/09/15 13:28
§《壊れた天秤が信頼できない計測結果を示したときのニセ金貨の特定方法》
まず計測結果を並べて書き出しますます。下図で、いろ、は、に、ほ、はそれぞれ計測結果で、○や●や−を示します。
@ABCD
いろはにほ
次に、これらを、ひとつづつ右に詰めて、ぐるっと回したものの、一覧をつくります。
@ABCD
いろはにほ
D@ABC
ほいろはに
CD@AB
にほいろは
BCD@A
はにほいろ
ABCD@
ろはにほい
要は、省略記法でいうところの、
[いろはにほ]5
を作ってみるのです。
するとこの一覧のなかのどれかひとつは、必ず下記のどれかひとつと、〈良く似ている〉ことになります。
[−−−−−]1
[●○−○●]5
[○−●−○]5
[−●○●−]5
〈良く似ている〉とは、天秤1台分だけ異なっていて、残りの4台分については同じである、という意味です。壊れた天秤が1台あるからこうなります。 つまり壊れた天秤を特定できるのです。従いましてニセ金貨の特定も可能となります。
ひとつ具体的に例示します。計測の結果が以下の通りだとします。
@ABCD
●○○○−
これらをぐるっとまわして一覧表をつくります。
@ABCD
●○○○−
D@ABC
−●○○○
CD@AB
○−●○○
BCD@A
○○−●○
ABCD@
○○○−●
これらと以下の一覧
[−−−−−]1
[●○−○●]5
[○−●−○]5
[−●○●−]5
とを比べれば〈良く似ている〉のは、
CD@AB
○−●○○
と
[○−●−○]5
とになります。Aの部分だけが異なっています。このことから、Aの天秤が壊れた天秤とわかります。元の計測結果に戻れば、
@XBCD
●?○○−
となります。ここでXは壊れた天秤、?は信頼出来ない計測結果で、本当は − であるとさきほどわかりました。 本来の姿に復旧するならば、
@ABCD
●−○○−
となります。【判定図】から、
CD:●−○○−
を引き当てて、ニセ金貨はC、Dの2枚であるとわかりました。
こうしたやりかたで必ずニセ金貨が特定できる理由について考えておかなければなりません。上記の特定方法で誤って本物の金貨をニセ金貨として、他人のそら似で、捕まえてしまい冤罪になってしまう危険性はないのか、調べておくべきです。次に説明します。
§《判定図の性質》
省略記法を使います。判定図には以下の16パターンが含まれているのでした。
[−−−−−]1
[●○−○●]5
[○−●−○]5
[−●○●−]5
さて、今お読みになっている解説では、16パターンについて調べる際に、以後「異なり度数」という考え方を使います。異なり度数とは、2つのパターンのあいだで、どれほど不一致があるかを数えたものです。
例えば、
[○●●○○]1
と
[○●●○○]1
とは完全に一致していますから、異なり度数は 0 です。
また、さきほどまでの説明で〈よく似ている〉と云っていたものは、異なり度数が 1 のことです。
また、
[○●●●○]1
と
[−●○●○]1
とでは、異なり度数は 2 です。
仮に、先程まで使っていた【判定図】に、異なり度数が 2 の[○●●●○]1と、[−●○●○]1とが含まれていたとしましょう。これでは壊れた天秤やニセ金貨を特定できません。それはなぜかと云うと、両者に対して丁度異なり度数が 1 のもの、例えば、[○●○●○]の存在が邪魔をするからです。どちらにも〈よく似ている〉ことになります。
(仮の)【判定図】
\\\@ABCD
いろ:○●●●○
はに:−●○●○
だとして、計測結果が、
\\\@ABCD
:○●○●○
だとすると、Xを壊れた天秤として
\\\XABCD
はに:○●○●○
であるのか、
\\\@AXCD
いろ:○●○●○
であるのか、区別がつきません。これではニセ金貨が特定できずに不都合なのですが、この原因はそもそも、(仮の)【判定図】に、異なり度数が 2 のパターンが含まれているからです。両者に〈よく似ている〉ものがニセ金貨の特定を邪魔してしまいます。
では、(仮の)判定図から離れて、No.36で提示しておいた判定図に話を戻します。
この判定図に含まれる下記の全16パターンのうち任意の2つを取り出しますと、そのふたつのあいだの異なり度数は最小でも 3 となっていて、 2 以下にはなっていません。
[−−−−−]1
[●○−○●]5
[○−●−○]5
[−●○●−]5
そのことの確認はいったん後回しにしますが、この、良い性質により、天秤がひとつ壊れていても、計測結果は、せいぜいで異なり度数が 1 のニセのパターンになるだけで、本来のパターンとは〈よく似ている〉ことになりますし、それ以外のパターンとのあいだでは異なり度数が 2 以上となり、絶対に〈よく似ている〉ことにはなりません。計測結果に〈よく似ている〉ものが必ずひとつだけみつかる仕組みになっています。これで、ニセ金貨および壊れた天秤の特定の仕組みがわかりました。
最後に、異なり度数が 3 以上であることを確認する作業が残っていますが、比較的に簡単で手数が少ない方法を説明するのみと致します。
(1)[−−−−−]1と、他の15パターンのそれぞれとのあいだの異なり度数は目視で確認できます。
(2)[●○−○●]5、と[○−●−○]5とのあいだの異なり度数、およびに、[●○−○●]5、と[−●○●−]5とのあいだの異なり度数については、[●○−○●]1、と[○−●−○]5とのあいだの異なり度数、およびに、[●○−○●]1、と[−●○●−]5とのあいだの異なり度数のみを確認するだけで完了します。
(なぜでしょうか?パターンを、まわして詰めて作ってあるからです)
(3)[○−●−○]1と[−●○●−]5との異なり度数を確認します。
異なり度数の確認を全パターンについてまじめに確認するよりは楽にできることでしょう。
以上で、解法2 についての説明を終わります。
===
注。上記では、「異なり度数」と言いましたが、「ハミング距離」という用語を言い換えたものです。