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s_hskz
2015/09/13 23:22
『壊れた天秤で……』の出題について、意図していた第1の解法を御説明するものです。用意していた、これ以外の解法については別途投稿させて頂きたく存じます。
§計測方法
@BE^CD
ACA^DE
BDB^EA
CEC^AB
DAD^BC
【見取図】
\\@ABCD
A:−LRRL
B:L−LRR
C:RL−LR
D:RRL−L
E:LRRL−
※Lは左に乗せる、Rは右に乗せる、−は乗せない、の意味です。
まずは@からDまでを量ってしまいます。
§計測結果の解釈方法
天秤1台が壊れていなかったとします。このとき、以下のことが言えます。とても大事な性質です。
全て正常な@からDまでの5台のうち、任意の3台の計測結果のみからニセ金貨が特定できます。
任意の3台の計測は、他の任意の3台の計測と本質的な差はありません。コインにつけた名前、天秤の番号、天秤に乗せるときの左右、これら3つの状況を適宜いれかえると同じものになってしまいます。ニセ金貨を特定する性能は全く等価です。(紙面の都合上、詳細を述べません。申し訳ありませんが、お確かめ下さいますようお願い申し上げます。実質的には10÷5=2通りくらいなものです。5台を円周上に均等にならべ、使わなかった天秤が隣どうしなのか、ひとつ間があいているか、の区別の2通りです。)なお、3台ひと組の計測は全部で10通りとなります。それぞれニセ金貨を特定しますから本投稿では以後、特定結果とも言います。
さて、1台は壊れていて当てにならないのでした。3台ひと組の全計測結果からもたらせられる10の特定結果のうち、信頼できるものは4つ、壊れた天秤のせいで汚染されたものは6つ、となります。多数決ではかなわないように見えますが、そうではなく、正しい4つの特定結果を見分けることが出来ます。
10通りの特定結果を以下の要領で紙に記します。
@からDまでをピラミッドの土台とみなし、適切な位置に特定結果の石を積み上げます。
次の図は、@BCの3つの天秤の計測結果から特定されるニセ金貨を記す場所を示しています。AとDは使わないのですが、そのAの右斜め上のラインとDの左斜め上のラインとが交わる場所に特定結果を書きます。oがその位置となります。特定結果は、たとえば、AEと書いたり、Cと書いたりすることになります。
===
◇
◇ O
◇ ◇ ◇
◇ ◇ ◇ ◇
@ 2 B C 5
===
全く同様にして他の9個の特定結果を、それぞれで使わなかった2つの天秤の斜め上のラインが交差するところに書きます。全部書き入れ終わった時には、壊れた天秤の番号により、以下の5通りのうちのどれかが出現します。Oは信頼できる4つの特定結果を示し、?は、壊れた天秤のせいで汚染された6つの結果が記されています。また、Xは壊れた天秤を意味します。なお?のそれぞれに同一の特定結果が書かれるとは限りません。Oのそれぞれには同一の特定結果が書かれます。?に書かれる内容は必ずOとは異なります。
===
Dが壊れている
O
? O
? ? O
? ? ? O
@ A B C X
===
Cが壊れている
?
O ?
? O ?
? ? O O
@ A B X D
===
Bが壊れている
?
? ?
O ? O
? O O ?
@ A X C D
===
Aが壊れている
?
? O
? O ?
O O ? ?
@ X B C D
===
@が壊れている
O
O ?
O ? ?
O ? ? ?
X A B C D
===
どの天秤も壊れていないときには10個の特定結果は全て同じになりますので考察対象からはずします。
さて、上記5通りにて、正しい4つの特定結果、Oの配置は、斜めのラインからなっていて、それを上から下に辿って到着するところに壊れた天秤があります。このようなOには同一の特定結果が書かれていますから検出は容易でしょう。
また、?がいくら特定結果について嘘を示したとしても、それらの配置は、正しい4つの特定結果の配置に似ることはありません。?の配置はOにブロックされているからです。このようにして4つの正しい特定結果を6つの信頼できない特定結果と見分けることができます。
上のピラミッドは紙に簡単に図示できるものとしてこのたび用意しました。しかし、より本質的な図形的な理解もあります。正五包体を使う理解です。正五包体は5個の頂点と10個の正三角形の面からなる図形です。(本パズルの解説には直接には関係ありませんが辺の個数も10です)また、包と呼ばれる正四面体を5個含みます。正五包体は四次元空間上に存在する図形ですのでなかなか直感的な把握は難しいのですが三次元空間上に展開図を書いたものがGoogle画像検索で多量にみつかりますので展覧会でも見る気分になって御覧になってみてはいかがでしょうか。私が一番気に入ったものはカラー綿棒を10本用意して辺とみなし組み立ててあるものです。機会があれば自作したいと願っています。
さて繰り返しになりますが正五包体は5個の頂点と10個の正三角形の面からなる図形です。5つの頂点にはそれぞれ5台の天秤の比較結果(左が軽い、右側軽い、釣り合った)のラベルを貼り付けます。それにともない、10個の面、正三角形には、三つ組の比較結果からはじき出されたニセ金貨の特定結果を書き込みます。
頂点のひとつXが示す天秤が壊れていたとしましょう。Xを含む面(正三角形)に書かれる間違った特定結果?は合計6個ですが、それらの面は丁度Xを中心とした花びらのように広がっています。また、残りの頂点の4つは正四面体を構成しその4つの面(正三角形)には正しい特定結果が書かれています。それらは丁度、つぼみのようにしっかりと互いに支えあいくっついています。このつぼみの周囲を取り囲むようにして先程の花びらが寄り添っているイメージとなります。このような視点からも4つの正しい特定結果を6つの信頼できない特定結果と見分けることができます。
以下、投稿長制限にひっかかったため次の投稿に続きます。
s_hskz 2015/09/13 23:22
『壊れた天秤で……』の出題について、意図していた第1の解法を御説明するものです。用意していた、これ以外の解法については別途投稿させて頂きたく存じます。
§計測方法
@BE^CD
ACA^DE
BDB^EA
CEC^AB
DAD^BC
【見取図】
\\@ABCD
A:−LRRL
B:L−LRR
C:RL−LR
D:RRL−L
E:LRRL−
※Lは左に乗せる、Rは右に乗せる、−は乗せない、の意味です。
まずは@からDまでを量ってしまいます。
§計測結果の解釈方法
天秤1台が壊れていなかったとします。このとき、以下のことが言えます。とても大事な性質です。
全て正常な@からDまでの5台のうち、任意の3台の計測結果のみからニセ金貨が特定できます。
任意の3台の計測は、他の任意の3台の計測と本質的な差はありません。コインにつけた名前、天秤の番号、天秤に乗せるときの左右、これら3つの状況を適宜いれかえると同じものになってしまいます。ニセ金貨を特定する性能は全く等価です。(紙面の都合上、詳細を述べません。申し訳ありませんが、お確かめ下さいますようお願い申し上げます。実質的には10÷5=2通りくらいなものです。5台を円周上に均等にならべ、使わなかった天秤が隣どうしなのか、ひとつ間があいているか、の区別の2通りです。)なお、3台ひと組の計測は全部で10通りとなります。それぞれニセ金貨を特定しますから本投稿では以後、特定結果とも言います。
さて、1台は壊れていて当てにならないのでした。3台ひと組の全計測結果からもたらせられる10の特定結果のうち、信頼できるものは4つ、壊れた天秤のせいで汚染されたものは6つ、となります。多数決ではかなわないように見えますが、そうではなく、正しい4つの特定結果を見分けることが出来ます。
10通りの特定結果を以下の要領で紙に記します。
@からDまでをピラミッドの土台とみなし、適切な位置に特定結果の石を積み上げます。
次の図は、@BCの3つの天秤の計測結果から特定されるニセ金貨を記す場所を示しています。AとDは使わないのですが、そのAの右斜め上のラインとDの左斜め上のラインとが交わる場所に特定結果を書きます。oがその位置となります。特定結果は、たとえば、AEと書いたり、Cと書いたりすることになります。
===
◇
◇ O
◇ ◇ ◇
◇ ◇ ◇ ◇
@ 2 B C 5
===
全く同様にして他の9個の特定結果を、それぞれで使わなかった2つの天秤の斜め上のラインが交差するところに書きます。全部書き入れ終わった時には、壊れた天秤の番号により、以下の5通りのうちのどれかが出現します。Oは信頼できる4つの特定結果を示し、?は、壊れた天秤のせいで汚染された6つの結果が記されています。また、Xは壊れた天秤を意味します。なお?のそれぞれに同一の特定結果が書かれるとは限りません。Oのそれぞれには同一の特定結果が書かれます。?に書かれる内容は必ずOとは異なります。
===
Dが壊れている
O
? O
? ? O
? ? ? O
@ A B C X
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Cが壊れている
?
O ?
? O ?
? ? O O
@ A B X D
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Bが壊れている
?
? ?
O ? O
? O O ?
@ A X C D
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Aが壊れている
?
? O
? O ?
O O ? ?
@ X B C D
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@が壊れている
O
O ?
O ? ?
O ? ? ?
X A B C D
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どの天秤も壊れていないときには10個の特定結果は全て同じになりますので考察対象からはずします。
さて、上記5通りにて、正しい4つの特定結果、Oの配置は、斜めのラインからなっていて、それを上から下に辿って到着するところに壊れた天秤があります。このようなOには同一の特定結果が書かれていますから検出は容易でしょう。
また、?がいくら特定結果について嘘を示したとしても、それらの配置は、正しい4つの特定結果の配置に似ることはありません。?の配置はOにブロックされているからです。このようにして4つの正しい特定結果を6つの信頼できない特定結果と見分けることができます。
上のピラミッドは紙に簡単に図示できるものとしてこのたび用意しました。しかし、より本質的な図形的な理解もあります。正五包体を使う理解です。正五包体は5個の頂点と10個の正三角形の面からなる図形です。(本パズルの解説には直接には関係ありませんが辺の個数も10です)また、包と呼ばれる正四面体を5個含みます。正五包体は四次元空間上に存在する図形ですのでなかなか直感的な把握は難しいのですが三次元空間上に展開図を書いたものがGoogle画像検索で多量にみつかりますので展覧会でも見る気分になって御覧になってみてはいかがでしょうか。私が一番気に入ったものはカラー綿棒を10本用意して辺とみなし組み立ててあるものです。機会があれば自作したいと願っています。
さて繰り返しになりますが正五包体は5個の頂点と10個の正三角形の面からなる図形です。5つの頂点にはそれぞれ5台の天秤の比較結果(左が軽い、右側軽い、釣り合った)のラベルを貼り付けます。それにともない、10個の面、正三角形には、三つ組の比較結果からはじき出されたニセ金貨の特定結果を書き込みます。
頂点のひとつXが示す天秤が壊れていたとしましょう。Xを含む面(正三角形)に書かれる間違った特定結果?は合計6個ですが、それらの面は丁度Xを中心とした花びらのように広がっています。また、残りの頂点の4つは正四面体を構成しその4つの面(正三角形)には正しい特定結果が書かれています。それらは丁度、つぼみのようにしっかりと互いに支えあいくっついています。このつぼみの周囲を取り囲むようにして先程の花びらが寄り添っているイメージとなります。このような視点からも4つの正しい特定結果を6つの信頼できない特定結果と見分けることができます。
以下、投稿長制限にひっかかったため次の投稿に続きます。