金庫室の罠 ≫No. 1
りむじん
2013/10/02 17:43
「やぁ新入り。今回君に与えられた任務は極めて簡単だ。
我が組織の秘密書類がライバル組織『銀の爪』のスパイによって盗まれた。君には銀の爪のアジトに潜入し、その書類を取り返して貰いたい。
書類は恐らくアジトの金庫室に隠されているはずだ。その扉を開けるにはまず指紋認証、声紋認証、虹彩認証を突破し、装置に3桁の暗証番号を入力した後、カードキーを通せばいい。ただし、どれか一つでも失敗すると直ちに警報が鳴り響く。その場合我々は君を容赦無く切り捨てるつもりだ。その後銀の爪が君をどう処理するかは君自身で自由に想像したまえ。健闘を祈る」
ボスの指令が頭をよぎる。
失敗…そんなものは最初から考えていない。
俺が今やるべき事はただ与えられた任務をこなす事だけだ。
そして俺は今銀の爪のアジトの金庫室の扉の前にいる。指紋認証、声紋認証、虹彩認証、カードキーの問題は既にクリアしている。こんなものは組織の技術を使えばどうにでもなるのだ。
そして、残す問題は一つ。3桁の暗証番号だ。
なに、これも大して難しい問題ではない。
俺は無線機を耳に当てる。
「「…同じ数字を二度押すな…」」
コードネーム:スネーク
組織一のハッカー…
相手が切り替わる…
「「…一つ前の数字よりも大きい数を押すな…」」
コードネーム:チーター
組織一の俊足…
相手が切り替わる…
「「…全ての数の和は14…」」
コードネーム:イーグル
組織一のガンマン…
相手が切り替わる…
「「…偶数を連続で押す時がある…」」
コードネーム:シャーク
組織一の怪力…
相手が切り替わる…
「「…連続した数を連続で押す時がある…」」
コードネーム:タイガー
組織唯一の女…
無線が切れる…
彼らは今アジト内の別の場所で暗証番号についての手掛かりを探してくれている。そうして得た断片的な情報が全て俺の耳に入ってくるという訳だ。これらの情報から3桁の暗証番号を特定する事が俺の最後の役目だ。
これまでの情報を整理しようとした時、再び無線が繋がった。
「「…気を付けろ…組織に裏切り者がいる…」」
組織に入る前から俺の知り合いである情報屋だ。組織の外の人間の中では最も信用できる存在であるが…
「裏切り者とはどういう意味だ」
「「…お前の組織の中の一人の人間が暗証番号についてわざと嘘の情報を言ってお前を陥れようとしている…そいつの言葉は信じるな…」」
「教えてくれ、そいつは誰だ」
「「…その裏切り者の名は…」」
次に情報屋から発せられた言葉に俺は一瞬驚いたが、すぐに冷静さを取り戻した。確かに、以前から俺の事を敵視していた″あいつ″ならやりそうな事だ…
俺は頭の中で即座に計算を始めた。
「…なるほど、しかし、″そいつ″の発言が嘘だったとしても、俺の計算上まだ5つ以上は暗証番号の候補がある。お前は他に何か知っていないのか」
「「…そうだねぇ…俺が言えるのは、お前のラッキーナンバーは含まれていない、ただそれだけだ…」」
俺のラッキーナンバー…
それは俺が何かを決める時には決まって当てにしていた数字だ。
さらに計算が進む。
「そいつは有難い。その一つの数字を除外するだけで候補が残り一つまでに絞れそうだ」
組織の人間の証言、その中の″あいつ″一人の嘘、俺のラッキーナンバー…
その全てを組み合わせれば、考えられる答えは一つしかない。
俺は無線を切ると、装置に手を伸ばした…
我が組織の秘密書類がライバル組織『銀の爪』のスパイによって盗まれた。君には銀の爪のアジトに潜入し、その書類を取り返して貰いたい。
書類は恐らくアジトの金庫室に隠されているはずだ。その扉を開けるにはまず指紋認証、声紋認証、虹彩認証を突破し、装置に3桁の暗証番号を入力した後、カードキーを通せばいい。ただし、どれか一つでも失敗すると直ちに警報が鳴り響く。その場合我々は君を容赦無く切り捨てるつもりだ。その後銀の爪が君をどう処理するかは君自身で自由に想像したまえ。健闘を祈る」
ボスの指令が頭をよぎる。
失敗…そんなものは最初から考えていない。
俺が今やるべき事はただ与えられた任務をこなす事だけだ。
そして俺は今銀の爪のアジトの金庫室の扉の前にいる。指紋認証、声紋認証、虹彩認証、カードキーの問題は既にクリアしている。こんなものは組織の技術を使えばどうにでもなるのだ。
そして、残す問題は一つ。3桁の暗証番号だ。
なに、これも大して難しい問題ではない。
俺は無線機を耳に当てる。
「「…同じ数字を二度押すな…」」
コードネーム:スネーク
組織一のハッカー…
相手が切り替わる…
「「…一つ前の数字よりも大きい数を押すな…」」
コードネーム:チーター
組織一の俊足…
相手が切り替わる…
「「…全ての数の和は14…」」
コードネーム:イーグル
組織一のガンマン…
相手が切り替わる…
「「…偶数を連続で押す時がある…」」
コードネーム:シャーク
組織一の怪力…
相手が切り替わる…
「「…連続した数を連続で押す時がある…」」
コードネーム:タイガー
組織唯一の女…
無線が切れる…
彼らは今アジト内の別の場所で暗証番号についての手掛かりを探してくれている。そうして得た断片的な情報が全て俺の耳に入ってくるという訳だ。これらの情報から3桁の暗証番号を特定する事が俺の最後の役目だ。
これまでの情報を整理しようとした時、再び無線が繋がった。
「「…気を付けろ…組織に裏切り者がいる…」」
組織に入る前から俺の知り合いである情報屋だ。組織の外の人間の中では最も信用できる存在であるが…
「裏切り者とはどういう意味だ」
「「…お前の組織の中の一人の人間が暗証番号についてわざと嘘の情報を言ってお前を陥れようとしている…そいつの言葉は信じるな…」」
「教えてくれ、そいつは誰だ」
「「…その裏切り者の名は…」」
次に情報屋から発せられた言葉に俺は一瞬驚いたが、すぐに冷静さを取り戻した。確かに、以前から俺の事を敵視していた″あいつ″ならやりそうな事だ…
俺は頭の中で即座に計算を始めた。
「…なるほど、しかし、″そいつ″の発言が嘘だったとしても、俺の計算上まだ5つ以上は暗証番号の候補がある。お前は他に何か知っていないのか」
「「…そうだねぇ…俺が言えるのは、お前のラッキーナンバーは含まれていない、ただそれだけだ…」」
俺のラッキーナンバー…
それは俺が何かを決める時には決まって当てにしていた数字だ。
さらに計算が進む。
「そいつは有難い。その一つの数字を除外するだけで候補が残り一つまでに絞れそうだ」
組織の人間の証言、その中の″あいつ″一人の嘘、俺のラッキーナンバー…
その全てを組み合わせれば、考えられる答えは一つしかない。
俺は無線を切ると、装置に手を伸ばした…