虹の洋館 ≫No. 1
カープフェン
2013/01/14 13:36
とある孤島に建つ『虹の洋館』に六人の男女が訪れた。
橙木、赤坂、黄部、緑川、水島、藍沢。彼らは某大学の推理小説研究会のメンバーだ。
この島と『虹の洋館』は三年生の緑川の父が所有しているものであり、合宿場として選ばれたのである。
そこで事件は起こった。
「大変だ。黄部が部屋で死んでる……」
夕食の時間になったことを黄部に知らせに行っていた橙木は、食堂に戻るなりそう口にした。
それを受けて、食堂にいた四人が橙木と共に黄部の部屋までかけつける。
「わあっ!」
「な、なんてこった」
部屋の中を見るなり赤坂と緑川が声をあげた。
「酷い……」
部屋の中で仰向けになって床に倒れているソレは紛れもなく黄部だった。
紫色に鬱血した顔で白目を向き、口からは唾液が垂れている。首には縄の跡がついていた。
「他殺ですね」
遺体を見て、すぐに会長の藍沢が呟いた。
「とりあえず遺体を調べましょう。何かわかるかも知れません」
遺体を調べた結果、以下のことがわかった。
・黄部の死因は首を縄で強い力で締められたことによる窒息死。
・死亡推定時刻は午後4時半〜5時頃。
・殺害される前に黄部は犯人に対して抵抗したが、押さえつけられた。
・凶器と思われる縄は遺体すぐ近くに残っていた。
「皆さん、4時半から5時の間に何をやっていたか話してください」
「おいおい、まさか僕たちの中に犯人がいるとでもいうのかい?」
藍沢が頷いた。
「この島には今私たち以外いないはずですね?」
「ええ、間違いありません。この島にはまともに食べられるものはないし、誰かが流れついたとしても長くもたないっすよ」
「つまり、殺人を行った人物は我々の中にいるということになります」
橙木はため息をついて、
「その時間なら部屋で作品を書いてたな」
「つまりアリバイ無しですね」
「お前こそどうなんだ?」
「島を散策していて、その間誰にも会いませんでしたから、私もアリバイはありません」
「僕も部屋で読書していましたから、アリバイはないです」
「わたしたちはアリバイがありますよね?」
水島が言った。
「ああ。みんな知っての通り、俺らは夕食を作っていた」
「なるほど、二人はアリバイ成立ということですね」
「ということは僕、会長、橙木先輩の誰かが黄部先輩を殺した犯人ってことになりますよね……?」
「さあ。それはどうでしょうか」
藍沢は微笑んでみせる。しかし、誰が犯人なのかすでに頭の中でわかっていた。
●備考●
・推理小説研究会の六人は全員二年生以上で、四年生の橙木と藍沢が最年長。
・全員で共に検死したため黄部の死亡推定時刻に偽りはないと思われる。
・赤坂は合宿に来る前から利き手に火傷を負っており、利き手の指を殆ど動かせなかった。
・夕食の時間はあらかじめ6時と決まっており、黄部が時間を過ぎてもなかなか食堂に来ないため橙木が呼びにいった。
・黄部は3ヶ月前に市内で起きた轢き逃げ事件の犯人として疑われていた。
【推理!】
全員のアリバイを聞いて藍沢は誰が犯人なのか気づきました。
犯人とその人物に特定できる理由を囁いてください。
カープフェン 2013/01/14 13:36
橙木、赤坂、黄部、緑川、水島、藍沢。彼らは某大学の推理小説研究会のメンバーだ。
この島と『虹の洋館』は三年生の緑川の父が所有しているものであり、合宿場として選ばれたのである。
そこで事件は起こった。
「大変だ。黄部が部屋で死んでる……」
夕食の時間になったことを黄部に知らせに行っていた橙木は、食堂に戻るなりそう口にした。
それを受けて、食堂にいた四人が橙木と共に黄部の部屋までかけつける。
「わあっ!」
「な、なんてこった」
部屋の中を見るなり赤坂と緑川が声をあげた。
「酷い……」
部屋の中で仰向けになって床に倒れているソレは紛れもなく黄部だった。
紫色に鬱血した顔で白目を向き、口からは唾液が垂れている。首には縄の跡がついていた。
「他殺ですね」
遺体を見て、すぐに会長の藍沢が呟いた。
「とりあえず遺体を調べましょう。何かわかるかも知れません」
遺体を調べた結果、以下のことがわかった。
・黄部の死因は首を縄で強い力で締められたことによる窒息死。
・死亡推定時刻は午後4時半〜5時頃。
・殺害される前に黄部は犯人に対して抵抗したが、押さえつけられた。
・凶器と思われる縄は遺体すぐ近くに残っていた。
「皆さん、4時半から5時の間に何をやっていたか話してください」
「おいおい、まさか僕たちの中に犯人がいるとでもいうのかい?」
藍沢が頷いた。
「この島には今私たち以外いないはずですね?」
「ええ、間違いありません。この島にはまともに食べられるものはないし、誰かが流れついたとしても長くもたないっすよ」
「つまり、殺人を行った人物は我々の中にいるということになります」
橙木はため息をついて、
「その時間なら部屋で作品を書いてたな」
「つまりアリバイ無しですね」
「お前こそどうなんだ?」
「島を散策していて、その間誰にも会いませんでしたから、私もアリバイはありません」
「僕も部屋で読書していましたから、アリバイはないです」
「わたしたちはアリバイがありますよね?」
水島が言った。
「ああ。みんな知っての通り、俺らは夕食を作っていた」
「なるほど、二人はアリバイ成立ということですね」
「ということは僕、会長、橙木先輩の誰かが黄部先輩を殺した犯人ってことになりますよね……?」
「さあ。それはどうでしょうか」
藍沢は微笑んでみせる。しかし、誰が犯人なのかすでに頭の中でわかっていた。
●備考●
・推理小説研究会の六人は全員二年生以上で、四年生の橙木と藍沢が最年長。
・全員で共に検死したため黄部の死亡推定時刻に偽りはないと思われる。
・赤坂は合宿に来る前から利き手に火傷を負っており、利き手の指を殆ど動かせなかった。
・夕食の時間はあらかじめ6時と決まっており、黄部が時間を過ぎてもなかなか食堂に来ないため橙木が呼びにいった。
・黄部は3ヶ月前に市内で起きた轢き逃げ事件の犯人として疑われていた。
【推理!】
全員のアリバイを聞いて藍沢は誰が犯人なのか気づきました。
犯人とその人物に特定できる理由を囁いてください。