朱雀
厳密に解くには,氷塊を浮かべた瞬間から,水と氷の間で対流熱伝達が起こり,水中の温度分布は一様ではありません。したがって,そうすると密度分布も一様ではなくなります。また,氷と空気間でも熱移動は発生し,その一様ではない温度場中で氷が融けていくわけですから,その融け方も非常に複雑なものになると考えられます。しかも,氷が融けるにしたがって均衡点が変わるので,沈む深さが変化し,周囲の温度はその影響を受けますし,その影響を受けた温度場で氷はさらに融けていくので,非常に複雑な微分方程式を解くことになるでしょう。
もちろん,今回の問題はこれらを要求するのではなく,強い仮定を課すことで非常に簡単に解けるようにしてあるものです。その仮定を全く不備がないようにすべてを記述することは不可能なので,ここは逆に,記述されていないことは考慮する必要はない,と捉えていただきたいと思います。つまり,密度ρsやρlは温度の関数ではなく,定数として与えてあるので,温度変化は無視する,あるいは(温度が変化すると考えたとしても)密度は一定である,と考えてください。
河野真衣 2012/06/07 19:52