クイズ大陸



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ささやかなる悪戯 ≫No. 1
?空蝉 2012/05/12 15:04囁き
 K中学、授業間休憩の10分間・・・・・・。
 普段と変わらぬかのように思える教室の賑わいの中、三人の学生が頭を寄せ合い、秘密の談合に興じていた・・・・・・。

A:「・・・・・・だからさ、今回の中間考査、全部、俺たちの名前を偽ろうぜ」

B:「偽る?」

A:「ああ。つまり、俺がBの名前を書いてテストを提出し、BがCの名前を書いて出す。同じように、Cが俺の名前を書いて出す」

C:「つまり、テストを実際に解いた人間を、教師に誤解させるわけだな。だが、その行為にどんな意味があるんだ?」

A:「意味なんて得にはないさ。強いていうならば、我が青春時代におけるささやかな暇つぶしといったところかな」

B:「物好きだな、貴様も・・・・・・。まあいい、なんとなく面白そうだ。付き合ってやるぜ」

A:「幸いにも、うちの学校のテスト回収のやり方は、『後ろから集める』形式ではなく、『できた人から前に出す』形式だから、集められたテストの並びから偽名がばれるってことはない。筆跡も俺たちは似ているから、そこから発覚することもないだろう。普段から無駄に偉そうにしてやがる教師どもに、密やかな不正をもって報いてやろうや」

 こうして三人は、その後一週間に渡り行われた中間考査の全てのテストで、名前を偽って提出した。

 さらに一週間後。職員室――。

教師X:「貴様ら三人を呼び出したのは他でもない。名前を偽ってテストを提出した件だが、身に覚えはあるな」

A:「ちっ、ばれたのかよ。だが、気づいたのがテストの後ではね――」

教師X:「確かに、我々が貴様らの不正に気づいたのは、テストが終わってからだ。我々としても、後の祭り感に打ちひしがれていたところだよ」

B:「ざまあみやがれ。確か、この学校の校則では、不正をしたからといって0点には出来ないんだったよなあ」

C:「あんたたちは、不正の事実は掴んでいても、誰が誰の名前を偽ったかまでは知らないようだ。もっとも、こっちは教えてやるつもりは毛頭ないがね。困ったなあ、先公よ・・・・・・。誰がどのテストを解いたか分からないのでは、成績の付けようもあるまい。どうするよ?くっくっく・・・・・・」

 教師Xの目が光った。

教師X:「残念だが、どうやら幸運の女神は、今回は俺たち教師の味方だったらしい。実はそんなに困らないんだよなあ」 

 さて、どういうことだろう?
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