『コマ―』と鳥川の事件簿#42≫ No.1 ≫No. 2
駒一
2012/03/01 19:56
「……ということがあったんだ」
串坂らに説明を迫られ三日前の事から順々に今までの経緯を話し終えると
串坂は困ったようにソファーへ深く座りなおした。
「なるほど、確かに何かあったようにしか考えられねえ。
でも一二三さん、なんでコマーが記憶喪失だとそう感じたんだ?」
それには僕も驚いていた。『コマー』が記憶喪失? 忘れるのはいつも、僕へのありがたみだけだろ。
「よく考えてみてくれ、
鳥川君、君の知っているコマーはクイズ熱狂馬鹿で
ビンゴ好きの馬鹿で運動音痴にもかかわらず、
すぐ動きだしてはマヌケなことをする馬鹿でキザ馬鹿で
文明の利器に頼ってばかりいるゴロゴロ自堕落馬鹿野郎で
世界に一匹しか存在しない絶滅危惧馬鹿種というか、
とりあえずもう絶滅してくださいと言いたくなるような変人、いや馬鹿だろう?」
「まさにその通りですね」
反論の余地、というか反論しようとも思えない。
馬鹿がしつこいくらい何度出てこようがまさにその通りである。
「そんな馬鹿がたかだか少しの間失踪しただけでそこまで変わるとは思えないだろう」
クイズの紙を破り捨てたときの発言。海造達に向けたあの冷酷な眼差し。
たしかに、あれは『コマー』ではなかった。
「これは憶測ではあるが、誰かに記憶を消され、再教育されたのではないかと思っている」
「再教育……ですか?」
それ以前に別の意味で再教育させた方がいいと思ったことなら沢山あったが。
「いやいや、でもわざわざ無人島まで連れて行って記憶を消して再教育するなんてバカな話が……」
「そうとも限らないんだよ……」
今まで聞いたこともないような一二三さんの暗い声にリビングが静まり返った。
一二三の口から出てきた言葉に今まで笑顔を絶やしていなかった串坂の表情までもが固くなっていく。
「僕は、あの無人島で記憶を失ったんだ」
串坂らに説明を迫られ三日前の事から順々に今までの経緯を話し終えると
串坂は困ったようにソファーへ深く座りなおした。
「なるほど、確かに何かあったようにしか考えられねえ。
でも一二三さん、なんでコマーが記憶喪失だとそう感じたんだ?」
それには僕も驚いていた。『コマー』が記憶喪失? 忘れるのはいつも、僕へのありがたみだけだろ。
「よく考えてみてくれ、
鳥川君、君の知っているコマーはクイズ熱狂馬鹿で
ビンゴ好きの馬鹿で運動音痴にもかかわらず、
すぐ動きだしてはマヌケなことをする馬鹿でキザ馬鹿で
文明の利器に頼ってばかりいるゴロゴロ自堕落馬鹿野郎で
世界に一匹しか存在しない絶滅危惧馬鹿種というか、
とりあえずもう絶滅してくださいと言いたくなるような変人、いや馬鹿だろう?」
「まさにその通りですね」
反論の余地、というか反論しようとも思えない。
馬鹿がしつこいくらい何度出てこようがまさにその通りである。
「そんな馬鹿がたかだか少しの間失踪しただけでそこまで変わるとは思えないだろう」
クイズの紙を破り捨てたときの発言。海造達に向けたあの冷酷な眼差し。
たしかに、あれは『コマー』ではなかった。
「これは憶測ではあるが、誰かに記憶を消され、再教育されたのではないかと思っている」
「再教育……ですか?」
それ以前に別の意味で再教育させた方がいいと思ったことなら沢山あったが。
「いやいや、でもわざわざ無人島まで連れて行って記憶を消して再教育するなんてバカな話が……」
「そうとも限らないんだよ……」
今まで聞いたこともないような一二三さんの暗い声にリビングが静まり返った。
一二三の口から出てきた言葉に今まで笑顔を絶やしていなかった串坂の表情までもが固くなっていく。
「僕は、あの無人島で記憶を失ったんだ」