ｸｲｽﾞ大陸

　俺の名は木更津誠。人呼んで、ショートメモリー木更津。記憶が10分間しかもたない人間なんだ。

　だから俺は、10分ごとに、自分がやったことのメモを取るのを習慣としている。問題に入る前に、まず君たちに俺のメモ帳を見せよう。以下は、今日俺が起こしたと思われる行動のリストだ。各項目は、それぞれ10分ごとの内容だと思ってくれ。

・コンビニでパンと牛乳を万引きする。監視カメラに映ったかもしれないが、ひょっとこのお面を被っていたので、素顔は映っていない。大丈夫だ。

・俺は今、大手銀行支店の裏口の前に立っている。銀行強盗をやらかそうかどうしようか迷っているのだ。手には、なぜかひょっとこのお面が握られている。前の項目を見て、万引きの小道具だったと知る。

・下校中の小学生のスカートを捲る。ひょっとこのお面を被っていたので、素顔がばれることはなかっただろう。

・宇宙人と握手する。この時、俺はひょっとこのお面を被っていたので、宇宙人は俺に親近感を抱いたようだ。俺をUFOに案内しようとしたが、俺は振り切った。

〜〜〜（中略）〜〜〜

・ひょっとこのお面がひったくりにあった。俺は犯人を追いかけたが、逃げ切られた

・誰かに道を訊ねられたが、あえて嘘を教えた。ただで親切が受けられるほど、世の中甘くはないんだぜ

・俺は今ペットショップにいる。店員の目を盗んで、金魚鉢の中に塩素を大量に入れた

・目の前に、ドアがあった。少しして、自分の家の玄関ドアだと気づく。隣人の田中さんが俺に挨拶してきたが、俺は颯爽と無視してやった

・俺は今、寝室にいる。今日も、おそらく色々なことがあったのだろうな。俺の口からあくびが三回ほど漏れた

　
　・・・・・・それで、最期の項目から10分経った現在に至るわけだが、困ったことに、俺には嘘つきの性分がある。だから、実際になかった出来事まで書いてしまっている可能性があるんだ。俺は記憶が10分しかもたないから、このメモを見ても、果たしてひとつひとつの出来事が本当にあったことかどうか、判断がつかない。従って、俺が今日やったことは、何から何まで謎なわけだ。

・・・・・・と、言いたいところだが、さっきからメモを眺めているうちに、俺が今日、絶対にやったと確信できる出来事を見つけたんだ。それは何か、当ててみてほしい。