ｸｲｽﾞ大陸

　ある国でのお話。
　　
　その日、マゾリック中尉はなぜか上官に連行された。

　理由も分からないままに、彼は拷問室に連れて行かれた。彼をここに連れて来たのは、この国きっての嗜虐愛好家で知られる、サドーン中佐だ。

　マゾリック中尉は無理やり椅子に座らされ、鉄製の鍵付き手枷、足枷、首枷で体を完全に固定されてしまった。そんな中尉の様子を愉しむかのように、サドーン中佐は言った。
「座り心地はどうかね？　中尉。これから興奮と感激に満ちた素晴らしい時間が始まるぞ・・・・・・。どれだけ騒いでも無駄だよ。ここは私しか知らない特別な場所で、声が外に届くこともない」

「中佐、どうしてこんなことをするんだ。頼むからやめてくれ！」心身共に固くなった中尉は、声色弱々しく懇願した。

「私が君をここに連れて来たのは、私自身の快楽を追及するためなのだよ。前から君には目を付けていたのだ」そう言ってサドーン中佐は、白衣の内ポケットから、一枚の紙を取り出し、中尉の目の前に掲げた。「だが、私が一方的に君の運命を決定するのは、さすがに酷というものだ。だから君に、選択のチャンスをやる。
見て分かるとおり、この紙には、これから君に起こり得る四つの未来が描かれている。この中から一つを選べ。君がそれを選んだ瞬間から、その通りに、私は行動を実行しよう」

プランA
約15時間に渡るくすぐり。めん棒、綿付き耳かき、猫じゃらし、鳥の羽、刷毛、くすぐり人形などを使用する。ストレス社会を生きるあなたに、哄笑のひとときを・・・・・・。その後、君の地位を軍曹にまで降格させた上で、釈放。

プランB
約1時間に渡る鞭打ち。続いて、熱湯を頭からかける作業に入っちゃうのだ。2リットルを30杯×10セット。その後、君の背中に「拷問済み」と書いた紙を張り付け、君の家族が待つ家に送り届けよう。

プランC
君の今座っているのは、実は電気椅子で、一兆ボルトの電流が流れる。約30分間に渡り、電流を流す。死んじゃったらご・め・ん・ね(>,<)。多少なりとも理性的な人間なら、まずこれは選ばないはずだ。

プランD
君には指一本触れない。私、サドーンは、煙草を二三本吹かし、漫画を一冊読んだ後、すみやかにここを立ち去り、君には二度と会わないことを約束しよう。

マゾリック中尉の読み：
（いや、これはどう考えたって、Dだろう！　Dに決まっている！　Dだ！　DDDDDD！・・・・・・しかし――）

サドーン中佐の読み：
（・・・・・・笑）

マゾリック中尉の読み：
（――こいつのやけにひっかかる笑みは・・・・・・・そうか！　そういうことか！　畜生！）

中尉は力なく、「プランAが一番ましだから、Aを頼む・・・・・・」と言った。「そのかわり、ちゃんと優しくしてくれよな 」

　さて、どうしてマゾリック中尉はプランDを選ばなかったのだろう？