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ビン・ボウ警部補の事件録・C『ニュー・フェイス』 ≫No. 1
?空蝉 2011/10/11 12:31囁き
「えー、諸君。本日から我々の仲間として共に治安を守ることになった、利子増太郎君だ。日本から来たそうだよ。まあ、色々と教えてやってくれ」
 リキッド警察署の朝の集いは、ルピー署長による新入署員の紹介で始められた。署長の傍らには、東洋系の、中性的な顔立ちの男が、ぱりっとしたスーツに身を包み、立っている。
「日本の警視庁から堕ちて来ました、利子増太郎です。別によろしくお願いされなくても構いませんが」
 この、利子の挑発とも言える挨拶に、オフィス内は騒然となった。あるものは顔を顰め、ある者は瞬きを繰り返し、そしてある者は利子と自分との経済的な差異を妬んでいる。

「おや・・・」乾いた表情で一同を見渡していた利子の目に、ビン・ボウ警部補の姿がとまった。「あなたはあの有名な・・・・・・」利子は彼に近づいた。「モン・ナシ警部補では?」
 中・流刑事が傍らで笑っていたが、ジョークならともかく、真意を突いた他人の不幸を、果たして笑えるものだろうか、と、ビン・ボウ警部補はいまさらながらに長年の部下の人間的な在り方を疑問した。
「いえ。カネアリスギテ・コマル警部補です。よろしく」
「ふふ、冗談ですよ」利子が言った。「ビン・ボウ警部補でしょう?噂はかねがね・・・・・・」
「ちなみに、冗談というのは、あくまでも名前を間違えたのが冗談という意味ですよね?身なりの本質はともかく・・・・・・」中・流刑事がいらない横槍を入れた。
「はは、まあ、そうですかね(←ショック!)。でも、頭の中は大変豊かな方らしいですね。いくつもの事件を解決してらっしゃるとか。早速ですが、私の挑戦状を受けていただけますか?噂だけでは了解しかねるもので」
「いいだろう(生意気な若造だ。あとで銀行通帳を見せてもらおう)」

「では、問題です。
 私は数年前、高層マンションに住んでおりました。ある日、何気なく窓の外を見ると、隣のビルの屋上の端に、男二人の姿がありました。それで気になってしばらく見ていたのですが、なんと、片方の男がもう片方の男を突き落したではありませんか!
 にもかかわらず、なんと、突き落とされた男は地面に激突して死ぬことはありませんでした。なぜでしょうか?もちろん、下にはクッションになるような物はありませんし、男はちゃんと地面に落ちました。ビルの屋上から地面までの高さも100メートル強はあったと思いますよ。
さて、ご回答いただきましょうか?ビン・ボウ警部補」

 新入署員、利子増太郎刑事の挑戦状に応えてほしい。
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