親愛なる公僕諸君
今日から一週間の間に、7人の命を頂戴する。いつ、どこで、誰を、どのように殺すかは教えない。だがまあ、安心したまえ。警察関係者には一切手を出さないと約束しよう。
君達の永遠の友 リッチ・ザ・プアーより
「ビン・ボウ警部補・・・」中・流刑事は、本日、リキッド警察署宛てに届いたぶっそうな紙片を見つめながら、隣のデスクのビン・ボウ警部補に言った。
B5サイズの白い用紙に、タイプライターで打ち込んであるそれは、今から約1分前、中・流刑事が暇つぶしにポストを覗きにいったら、赤い封筒に入れられて、チラシと一緒に交ざっていたのだ。赤い封筒には何も書かれていない。
「どうします?これ・・・」
「いや、どうするったて・・・」ビン・ボウ警部補は葉巻を吹かしながら、やはり同じようにこの紙片を見つめている。「・・・阻止するしかないだろう」
「そうですよね。・・・まあ、当たり前ですか」
「怖いのか?刑事のくせに」
「自分こそ」
「・・・にしても、この手紙の差出人は、金持ちなのか貧乏なのかいまいち分からん名前だな」
「まあ、警部補よりかはサイフに余裕があるんでしょうがね・・・」
「だから、それは禁句なんだって・・・」
「でも、びっくりしましたよ。まさかこんな手紙が来るなんて。・・・まあ、この件は、署の全員が一団となって当たる必要がありますね」中・流刑事は紙片を折りたたみ、ひとつ大きな溜息をいた。「早めに皆に知らせたほうががいいですね。今日から犯行開始らしいんで、時間ないですよ」
「なんか、他人事みたいな言い方じゃないか」
「他人事じゃないですか。少なくとも我々警察官は、射程距離外です」
「いや、まあ、そうなんだけどさ・・・」ビン・ボウ警部補は、赤い封筒を手にとって、ひらひらさせながら、早くも二本目の葉巻を口にくわえた。「にしても、差出人も大胆なことだな。こんな目立つ封筒に入れて出すなんてね」
「まあ、間違って捨てられちゃ嫌だから、わざと目立つようにしたんじゃないですか?」中・流刑事はライターの火を、警部補の口元にもっていく。
「だが、この警察署のポストは赤色じゃなかったか?中に入れたら、逆に目立たなくなるだろうに・・・。差出人は、この手紙を直接ポストに入れている。そこらへんは、考えなかったのか・・・?」
「これはこれは、どうしましたかな?」
やけに陽気な声を響かせ、男がオフィスに入ってきた。同僚の、ドルダカ刑事だ。
「お二人ともそんなに難しい顔をして」
陽気な声がさらにもうひとつ、別の男があとに続く。同じく同僚の、円安刑事だ。
「おやおや、それはなんですかな?」と、ドルダカ刑事が紙片と封筒に目を遣った。
「犯行予告ではないですか」と円安刑事が叫んだ。
「なんだとそれは大変だ!」とドルダカ刑事。
「捜査本部をたてましょう!」と円安刑事。
「天網恢恢疎にして―――」ドルダカ刑事がなにやら意味不明なポーズをとった。
「漏らさずぅぅぅぅ!!」円安刑事がドルダカ刑事のポーズに合わせるようにして、同じく意味不明なポーズを取った。
「中・流・・・」ビン・ボウ警部補がぼそりと呟いた。
「何です?」
「差出人がわかった・・・」
「え・・・?」
さて、差出人は誰なのか?
そしてその根拠とは?
「ビン・ボウ警部補・・・」中・流刑事は、本日、リキッド警察署宛てに届いたぶっそうな紙片を見つめながら、隣のデスクのビン・ボウ警部補に言った。
B5サイズの白い用紙に、タイプライターで打ち込んであるそれは、今から約1分前、中・流刑事が暇つぶしにポストを覗きにいったら、赤い封筒に入れられて、チラシと一緒に交ざっていたのだ。赤い封筒には何も書かれていない。
「どうします?これ・・・」
「いや、どうするったて・・・」ビン・ボウ警部補は葉巻を吹かしながら、やはり同じようにこの紙片を見つめている。「・・・阻止するしかないだろう」
「そうですよね。・・・まあ、当たり前ですか」
「怖いのか?刑事のくせに」
「自分こそ」
「・・・にしても、この手紙の差出人は、金持ちなのか貧乏なのかいまいち分からん名前だな」
「まあ、警部補よりかはサイフに余裕があるんでしょうがね・・・」
「だから、それは禁句なんだって・・・」
「でも、びっくりしましたよ。まさかこんな手紙が来るなんて。・・・まあ、この件は、署の全員が一団となって当たる必要がありますね」中・流刑事は紙片を折りたたみ、ひとつ大きな溜息をいた。「早めに皆に知らせたほうががいいですね。今日から犯行開始らしいんで、時間ないですよ」
「なんか、他人事みたいな言い方じゃないか」
「他人事じゃないですか。少なくとも我々警察官は、射程距離外です」
「いや、まあ、そうなんだけどさ・・・」ビン・ボウ警部補は、赤い封筒を手にとって、ひらひらさせながら、早くも二本目の葉巻を口にくわえた。「にしても、差出人も大胆なことだな。こんな目立つ封筒に入れて出すなんてね」
「まあ、間違って捨てられちゃ嫌だから、わざと目立つようにしたんじゃないですか?」中・流刑事はライターの火を、警部補の口元にもっていく。
「だが、この警察署のポストは赤色じゃなかったか?中に入れたら、逆に目立たなくなるだろうに・・・。差出人は、この手紙を直接ポストに入れている。そこらへんは、考えなかったのか・・・?」
「これはこれは、どうしましたかな?」
やけに陽気な声を響かせ、男がオフィスに入ってきた。同僚の、ドルダカ刑事だ。
「お二人ともそんなに難しい顔をして」
陽気な声がさらにもうひとつ、別の男があとに続く。同じく同僚の、円安刑事だ。
「おやおや、それはなんですかな?」と、ドルダカ刑事が紙片と封筒に目を遣った。
「犯行予告ではないですか」と円安刑事が叫んだ。
「なんだとそれは大変だ!」とドルダカ刑事。
「捜査本部をたてましょう!」と円安刑事。
「天網恢恢疎にして―――」ドルダカ刑事がなにやら意味不明なポーズをとった。
「漏らさずぅぅぅぅ!!」円安刑事がドルダカ刑事のポーズに合わせるようにして、同じく意味不明なポーズを取った。
「中・流・・・」ビン・ボウ警部補がぼそりと呟いた。
「何です?」
「差出人がわかった・・・」
「え・・・?」
さて、差出人は誰なのか?
そしてその根拠とは?