いかさまギャンブルに勝つ方法 ≫No. 1
木有恵尊
2011/08/04 21:37
「先輩、助けて下さい!」
いきなり泣きついてきた猫宮を、犬谷は慌てて引き剥がし、「どうしたんだ?」と訊いた。
「手研のやつら相手に、ギャンブルで一万円負けちゃったんです」
犬谷は小さく溜息を吐いた。また手品研究会関係のいざこざか。
手品研究会とは、文字通り手品を研究している普通のグループのことだ。ただ、彼らは格好の鴨を見つけると、ギャンブルを吹っ掛けてくる。いかさまギャンブルだ。
「手研の奴らの勝負には絶対に乗るなとあれほど忠告しただろ?」犬谷は猫宮を叱った。
「でも、こっちが勝てるギャンブルだと思ったんです」
「ほう、説明してみろ」
猫宮が挑んだギャンブルとは、三つのカップの中に隠されたスポンジ球を当てる、というゲームだった。
まず、横一列に並べられているカップの一つに球を入れ、三つのカップをゆっくりと互いの居場所に交代していく。移動し終えたら、それを見ていたプレイヤーが球が入っているであろうカップを当てる。そんなゲームだ。
「だって手研のやつら、馬鹿みたいにゆっくりとカップを動かすんですよ? 小学生でも分りますよ、あんなの。なのに、球が入っている筈のカップに毎回球は入っていないんです」
犬谷は再び溜息を吐いた。「そりゃパームだ」
「ぱーむ?」
「カップに球を入れたと見せかけておいて、実は手に握りこんでいるんだよ。で、お前がカップを選んだ後、別のカップに握っていた球を入れて、騙してたんだよ」
「そんな」猫宮が悲痛な声を上げる。「それじゃあ、絶対に勝てないじゃないですか」
「……いや」顎に手を当て、犬谷は笑った。「勝てる」
「へ?」
「そのいかさまギャンブル、相手の裏をかけば、100%勝てる。安心しな。一万円取り戻してきてやるよ」
さて、このいかさまギャンブルに勝つ方法とは、一体何なのか?
いきなり泣きついてきた猫宮を、犬谷は慌てて引き剥がし、「どうしたんだ?」と訊いた。
「手研のやつら相手に、ギャンブルで一万円負けちゃったんです」
犬谷は小さく溜息を吐いた。また手品研究会関係のいざこざか。
手品研究会とは、文字通り手品を研究している普通のグループのことだ。ただ、彼らは格好の鴨を見つけると、ギャンブルを吹っ掛けてくる。いかさまギャンブルだ。
「手研の奴らの勝負には絶対に乗るなとあれほど忠告しただろ?」犬谷は猫宮を叱った。
「でも、こっちが勝てるギャンブルだと思ったんです」
「ほう、説明してみろ」
猫宮が挑んだギャンブルとは、三つのカップの中に隠されたスポンジ球を当てる、というゲームだった。
まず、横一列に並べられているカップの一つに球を入れ、三つのカップをゆっくりと互いの居場所に交代していく。移動し終えたら、それを見ていたプレイヤーが球が入っているであろうカップを当てる。そんなゲームだ。
「だって手研のやつら、馬鹿みたいにゆっくりとカップを動かすんですよ? 小学生でも分りますよ、あんなの。なのに、球が入っている筈のカップに毎回球は入っていないんです」
犬谷は再び溜息を吐いた。「そりゃパームだ」
「ぱーむ?」
「カップに球を入れたと見せかけておいて、実は手に握りこんでいるんだよ。で、お前がカップを選んだ後、別のカップに握っていた球を入れて、騙してたんだよ」
「そんな」猫宮が悲痛な声を上げる。「それじゃあ、絶対に勝てないじゃないですか」
「……いや」顎に手を当て、犬谷は笑った。「勝てる」
「へ?」
「そのいかさまギャンブル、相手の裏をかけば、100%勝てる。安心しな。一万円取り戻してきてやるよ」
さて、このいかさまギャンブルに勝つ方法とは、一体何なのか?