クイズ大陸



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?ITEMAE 2011/02/26 19:59
上のコメントでも触れましたが、
基本的に、
「・・当該事件についてした公訴の提起によってその進行を停止する」(刑事訴訟法254条)の原則によって、
S子が起訴された段階で、「時効」は停止します。
A子が「共犯者」であるならば、もちろん、同様に時効停止になります。
さらに、「共犯ではないが、S子がA子を一方的にかばっただけ」でも同様です。

問題は、A子とS子がまったく無関係の場合ですが、

和久峻三作『時の剣』より。・・舞台設定が1980年だった。
「そもそも、なぜ、時効の進行が停止するのか?」
「・・捜査機関は、決して被告人を野放しにしたり、職務を怠っていたのではないという確固たる意志表示として、起訴状が提出される。それによって、犯人について進行していた時効期間が停止するのである。
 時効が完成したことによって犯人が罪を免れるのは、捜査機関が漫然と時を空費したことへの罰としての意味も加味されているはずだ。・・・」

 条文だけから見れば、起訴した相手が誰であろうと「時効停止」になる解釈が成り立ちます。
 (いわゆる「人違い」で起訴した場合にも適用されるかどうかについては、
  「注釈書」でも、両論あるけれど、「事項が停止する」が有力。 ・・だそうです。)

  著書は「小説」なので、「真犯人」が起訴されたところで終わっています。
  (まあ、裁判の中で、「時効だから無罪」になる可能性は低い・・の扱いですが)

公判の中では、「S子犯人説」に基づいて集められた証拠は、A子が真犯人であっても、そのまま採用されます。
(「S子の指紋がついた酒瓶」を凶器と断定して、「A子の指紋がついた酒瓶」を見逃していたら、
改めて証拠さがししても、みつかりっこありませんが)

 なお、時効は「停止」するだけなので、
S子が「私は無罪だ」と主張したのが認められず、そのまま裁判が進行して、
刑が確定してしまったら
「裁判の終了」とともに、「時効の停止」も消えますから、

あとになってA子が出頭して
「じつは私がやったんです」といって、
物証(隠し持っていた、被害者のDNAとA子の指紋のついた酒瓶とか)を提出したりしても、
A子は罪に問われず。

 S子の罪は確定してますが、
 こういう状況だと「再審請求」で裁判のやり直しで、S子の無罪を晴らす道はあります。
 (その場合も、真犯人のA子を罰することはできない)
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