クイズ大陸



履歴 検索 最新 出題

No. 6≫ No.7 ≫No. 8
?Another World 2006/05/31 17:21
保たれていた均衡を破り、最初に動きを見せたのはA。シュイイイィィィンと凄まじい速度で回転する2つのローラーの間にボールが押し出され、音速を遥かに凌駕する速度でボールが放たれる。どんなバッターも三振にするというのは誇張ではないようだ。超音速のボールは一瞬でミットに吸い込まれ、Bはピクリとも動かない。だが、Bは動けなかった訳ではない。Bは今のボールを捉え、それに黒い物体(バット…なのか?)を合わせることも出来た。だが、あえて分析に集中していた。そう。勝負は3球。焦って動きを見せる必要はない、まずはボールの衝撃を黒い物体で受け止められるか判断する事に専念していたのだ。

シュイイイィィィン… !! 超音速で放たれた2球目は、1球目と同じように一瞬でミットに吸い込まれた。分析を終えたはずのBはまたもや動かない。それは何故か?製造メーカーであるギルゼアドの広報によると「衝撃を黒い物体で受け止めることが物理的に可能だという事は1球目の分析で分かっていた。だが、勝利をより確実なものにするため、必要動作をシミュレーションしていたのだ」との事、続けて「Bの中では既にある結論が出ている。そう、黒い物体でボールを捉える事は可能である…と」とも言った。しかし…

シュイイイィィィ……イイイイ゙イ゙イ゙
!?

ローラーの回転速度が上がっているではないか!?Aの販売元であるアンソニーによると「分析→対処というアルゴリズムで動くロボットに対抗するため、球速は常に変化させている」とのこと。だが、Bはシミュレーションに専念していたためそれに気づいていなかった。誤った情報を基に分析していたB、そして相手が分析する事を見越し、球速を変化させていたA。Aの勝利は間違いない。誰もがそう思った。しかし…

ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ…バキュ、ガシャッ
!!!?

なんと、BがAに向かって走り出したかと思うと、黒い物体でAを何度も殴打している。やがてAは沈黙し、Bもその動きを止めた。後日、ギルゼアドのB開発担当は、これについて次のように語っている「どうやら、あの段階でようやく敵であるAを補足したみたいだね。」と。

こうして球史とロボット史に刻まれた迷勝負は、Bの製造メーカーであるギルゼアドが、Aの販売元であるアンソニーに損害賠償を支払うことで幕を閉じ…勝負は、Bの反則負けと記録された。
一応、皆の予想は当たったようだ。

Bのボールを捉えるための分析は何のために行われていたのか。そもそも、そんな機能が実在していたのか。多くの謎を残したまま、生活補助ロボット専門メーカー「ギルゼアド」はロボット市場から姿を消した。
なお、この勝負以降、ロボット同士の野球対決は行われていない。

以上。長文失礼しました。
やってみたかっただけです。はい。
返信 編集