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ごみ
2010/06/17 17:47
整数範囲に限るだけならば、そこらへんに落ちている問題だと思うのですが、
(正の)有理数範囲に問題を拡大したとすれば、
そんなには見ない問題になるとおもいます。
実はそのように拡張した問題はギリギリ綺麗に解くことができるのです。
(ギリギリというのはたとえば、片方の指数を2xとかにしたら、
不対称にはなりますが、いっきに難問になるのです。もちろん、正の有理数の範囲に拡大した場合であって、整数範囲にかぎるならば、その場合も単なる易問です)
ギリギリ解くことができるといいましたが、算数的な解答が存在しますので、
それをここに紹介したいとおもいます。
まずは簡単な補題を2つ用意したいとおもいます。
いずれも必要ならば各自解けばよいとおもいます。
いずれの証明も単なるルーチンワークになるはずです。
[補題A]
任意に、互いに素な正整数m,nと、正の有理数rを与える。
r^(m/n)∈Q であると仮定すれば、r=q^nを満たす正の有理数qが取れる。
[補題B]
任意に正整数A,B,k(A>B)の組を与える。
このとき、A^k-B^k≧2^k-1 が成立する。
準備が整いました。次の命題が正しいことを証明します。
(命題)
x^y=y^xを満たす任意の正の有理数x,y(x<y)に対して、
x=(1+1/m)^m, y=(1+1/m)^(m+1)を満たす正整数mが取れる。
逆に、そのように表される有理数x,yは解となっている。
(『逆に...』の部分は各自代入して確かめてください)
(証明)
x^y=y^x ・・@を満たす正の有理数x,y(x<y)の組を任意に取る。
r=y/xを満たす有理数r>1を取る。s=r-1を満たす正の有理数sを取る。
@の両辺を1/x乗することで、x^r=y を得る。
これの両辺をxで割ることで、x^s=r ・・A を得る。
s=m/nを満たす互いに素な正整数m,nの組を取ると、
補題Aより、x=q^nを満たす正の有理数qが取れる。
よって、それらのことと、Aより、q^m=r ・・B を得る。
s=r-1だったから、r=s+1=(m+n)/n であるが、
gcd(m+n,n)=gcd(m,n)=1 であるから、Bと既約分数表示の一意性から、
m+n=A^m, n=B^mを満たす正整数A,B(A>B)の組が取れる。
(qを既約分数表示すると、q^mがどうなるかに留意してください)
よって、とくに、m=A^m-B^mがいえる。
ここで補題Bを使えば、m≧2^m-1 の成立がいえる。
これから、m=1であることがいえる。
m=1であるから、q=rであり、r=(n+1)/n=1+1/nであるので、
x=r^n=(1+1/n)^n, y=rx=r^(n+1)=(1+1/n)^(n+1) が成立している。
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(正の)有理数範囲に問題を拡大したとすれば、
そんなには見ない問題になるとおもいます。
実はそのように拡張した問題はギリギリ綺麗に解くことができるのです。
(ギリギリというのはたとえば、片方の指数を2xとかにしたら、
不対称にはなりますが、いっきに難問になるのです。もちろん、正の有理数の範囲に拡大した場合であって、整数範囲にかぎるならば、その場合も単なる易問です)
ギリギリ解くことができるといいましたが、算数的な解答が存在しますので、
それをここに紹介したいとおもいます。
まずは簡単な補題を2つ用意したいとおもいます。
いずれも必要ならば各自解けばよいとおもいます。
いずれの証明も単なるルーチンワークになるはずです。
[補題A]
任意に、互いに素な正整数m,nと、正の有理数rを与える。
r^(m/n)∈Q であると仮定すれば、r=q^nを満たす正の有理数qが取れる。
[補題B]
任意に正整数A,B,k(A>B)の組を与える。
このとき、A^k-B^k≧2^k-1 が成立する。
準備が整いました。次の命題が正しいことを証明します。
(命題)
x^y=y^xを満たす任意の正の有理数x,y(x<y)に対して、
x=(1+1/m)^m, y=(1+1/m)^(m+1)を満たす正整数mが取れる。
逆に、そのように表される有理数x,yは解となっている。
(『逆に...』の部分は各自代入して確かめてください)
(証明)
x^y=y^x ・・@を満たす正の有理数x,y(x<y)の組を任意に取る。
r=y/xを満たす有理数r>1を取る。s=r-1を満たす正の有理数sを取る。
@の両辺を1/x乗することで、x^r=y を得る。
これの両辺をxで割ることで、x^s=r ・・A を得る。
s=m/nを満たす互いに素な正整数m,nの組を取ると、
補題Aより、x=q^nを満たす正の有理数qが取れる。
よって、それらのことと、Aより、q^m=r ・・B を得る。
s=r-1だったから、r=s+1=(m+n)/n であるが、
gcd(m+n,n)=gcd(m,n)=1 であるから、Bと既約分数表示の一意性から、
m+n=A^m, n=B^mを満たす正整数A,B(A>B)の組が取れる。
(qを既約分数表示すると、q^mがどうなるかに留意してください)
よって、とくに、m=A^m-B^mがいえる。
ここで補題Bを使えば、m≧2^m-1 の成立がいえる。
これから、m=1であることがいえる。
m=1であるから、q=rであり、r=(n+1)/n=1+1/nであるので、
x=r^n=(1+1/n)^n, y=rx=r^(n+1)=(1+1/n)^(n+1) が成立している。
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