今回はミステリー調です。長文ですし、こういう形式がクイズ大陸の性格に合うか
どうかもわかりませんが、まずはお付き合い頂きたいと思います。「マッチはいりませんか、マッチを買ってくれませんか?」街ゆく人に声をかけ続ける少女。だが誰も買おうとしない。
(どうしよう、こんなはずじゃ…)
籠に残ったマッチを抱え、少女は途方に暮れていた。
〜○○売りの少女〜私には両親の記憶がない。私を育ててくれたのは、おじいちゃんとおばあちゃんだ。
おじいちゃんは優しい。
「お前は大きくなったら美人になるぞ。将来が楽しみだなぁ」いつも愛用のパイプを咥えながらそう言って、頭を撫でてくれる。
おばあちゃんはちょっと厳しいけど、放課後すぐに帰って家事の手伝いをしたりして、
一緒にいる時間はおばあちゃんのほうが多かった。
私が10歳の誕生日を迎えた日。
「お前ももう10歳か、ワシらの仕事を手伝ってもいい年頃だな」
私は喜んだ。大好きな二人の役に立てるのなら、こんなにうれしいことはない。
仕事はマッチを売ること。売り場は
閑静な住宅街の裏通り。人通りは少ないし、
時間も短いから、売れても10数個。それでも二人は私をほめてくれた。
でも今日はクリスマス!用意したマッチはいつもの倍だし、おじいちゃんにも
「今日は全部売れるまでがんばろうな」って念を押された。
(大丈夫、すぐ売れちゃうわ。終わったら、みんなでパーティだ♪)
なのに、今日は予報にもなかった大雪。客は全然来ない。早い時間から立っているのに、
マッチはまだ一箱も売れていない。
(こ、凍えちゃうよぅ。それに、売れなかったらおうちに帰れない…。おじいちゃんとは連絡
とれないし…あぁ、私、浮かれすぎてた) この雪では、迎えにくるのも難しいだろう。
(ここじゃダメだわ…そうだ!街にいけば、もっと多くの人がいるはず。)
(いつもすぐ売れちゃうんだもん。街行く人に声をかければ、あっと言う間だわ!)
…そう思って街に辿り着いたのが1時間前。それからまったく買う人は現れない。
「マッチ!マッチはいりませんか!!」 私の声は、ほとんど悲鳴に近かった。
もっとも、今まで私に声をかける人がまったくいなかったわけでもない。
「お?ちょうど火ぃ切らしてたんや。嬢ちゃん、ひとつくれ。それキャバレーの広告?」
「え?ち、違います…普通の売り物です」 「そうなん?まぁいいや、なんぼ?」
「5万円になります。」 「…はあ!? ふざけとんのか! ったく…!」
男の人は吐き捨てるようにして去っていった。
入れ替りに、そのやりとりを見ていた黒服の二人組が近づいてきた。
「誰に許しもらってうちのシマで商売しとんや、ああ?!」「あまり脅かしてやるな。…すまねぇな嬢ちゃん。そのマッチ見せてもらえるかな?」
こっちのおじさんは優しそうだけど、おじいちゃんの言っていた
「コワイ人」に違いない。
私は後ずさると、きびすを返して逃げ出した。
「まて、このガキ!」当然、追いかけてこようとする黒服の男たち。だけど、そこへ…
『そこの二人、止まりなさい!』さらにその後ろから、黒いコートの人たちが声を上げた。
黒服の人より柄は悪くないけど、あれも
「コワイ人」だ。私は構わず路地裏に逃げ込んだ。
はぁ、はぁ…。追いかけられる恐怖でいっぱいで、とにかく走った。
…ふと、扉の下に隙間のある建物を見つける。(私なら、この隙間から潜りこめるかも…)
這いつくばって隙間をくぐる。雪解けの水溜りで服が濡れるが、かまってはいられない。
どうにかくぐり抜け、ひざを抱えて息を潜める。
…どうやら、追ってこないようだ。外は静まり返っている。
私は震えていた。恐怖は収まったけど、汗や濡れた服が冷えて体温を奪う。
なにより、長時間外で風雪にさらされ、手足の先はもう感覚がなくなっていた。
(このままじゃ、凍え死んじゃう…!)周りを見渡すが、暗くて何も見えない。見えるのは、自分の抱えているマッチだけ。
(…仕方ないよね。このままじゃ死んじゃうもの)
そう自分に言い聞かせながら、籠の中のマッチ箱に火をつけた。
…暖かい。でも大事な商品を燃やしてしまった後悔の念から、涙がにじんできた。
(おじいちゃん、おばあちゃん、ごめんなさい…)
ひざを抱えて火を眺めていると、誰かから急に声をかけられた。
「気にすることはないさ」 (えっ?)
涙で滲んだ視界の先に、ぼんやりと浮かび上がる優しそうな笑顔。
(…おじいちゃん、おばあちゃん…?どうしてここへ…?)
意識が朦朧としている。よくわからないまま、目の前の二人にすがった。
(私を許してくれるの…?)
「…本当に、そう思うのかい?」 (えっ?!)
「マッチ1箱も売れなかった上、商品に手を付け、しかも全部燃やしちまうなんて!
ろくでもない娘だよ、お前は」 (だって、寒くて…)
「なぜ、周りをもっと探さなかった?…マッチを燃やしたのは、私たちを試そうとした
からだろう?」 (!!ち、違…)
「ばあさんや、あまり責めてやるな」 (おじいちゃん…)
「こいつは将来美人になる。高く売れるんだから、大切に育てないとな!」 (!!!)
「
…はっ!ハッ、ハッ…」 気付くと、やはりここには私しかいなかった。い、今のは…
ふと火を見ると、半分焼けたマッチ箱に、
何かが入っているのが見えた。あれは…?
私は、端のほうのまだ燃えてないマッチ箱を取って、開けてみた。奥に何か入っている。
(これは…そうか、そうだったんだ。今のは、幻。でも、たぶん現実のはなし…)
…
私の中で、何かが壊れた。
あたりを見回すと、ここは廃材置き場らしく木切れや油瓶等が乱雑に積んであった。
それを片っ端から火の中に投げ込む。パリン!油瓶が割れると、炎が辺りに広がる。
「あは…あはははは!」箱の中に入っていたものは、
私の最後の良心を奪ってしまったのかもしれない。―燃えてしまえばいい、何もかも。…燃え上がる炎は、怒り?憎しみ?
でも心裏腹に、私の目からはとめどなく涙があふれてきた。
(…そうよ、最初からわかってた。普通マッチは5万で売れないことも、怖い人が誰かも。
…ううん、知ってて知らないふりしてた。二人にとってイイ子でいたかったから。だから、
学校終わったら手伝いをしたり…嫌われたくなかった。でも…マッチを燃やしちゃったり、
こんな火遊びしたり…悪い子になっちゃったね、私)
(…でも、そうか、前と変わんないや。)
(
だって、今は■■■で、▲▲の手伝いをしてしまってるんだもの…)
私は、本格的にどうでもよくなって、地べたに寝転んだ。もう、このまま眠りたい…。
…夢の中で私は、いつもの優しいおじいちゃんとおばあちゃんに会っていた。
あったかいごちそうや、ケーキもある。…夢でもなんでもいい、このまま…。
-----------------------------------------------------------
【問題】☆1… 彼女は何売りの少女だったのでしょう?(○○に入る言葉、漢字)
☆2… ■■■に入る言葉は?
☆3… ▲▲に入る言葉は?
本解… 物語の主人公とは、どういうことでしょうか?(カタカナあるいは全角大文字英数字)☆4… 彼女は、
最後に残っていた良心を失い、
物語の主人公の資格を奪われてしまいました。
その
原因かつ結果となる、箱の中に入っていた物の名前を
≪具体的≫にお答え下さい。
☆5… もしイ○ポだったら、箱の中に入っていたものは何?問題4: 悲しい結末?そうかもしれません。ただ禁断の箱に最後に残っていたのは…(かってに君反応)
以降は、かってに君判定ではなく、みなさんの言葉でお答え下さい。問題1: なぜ、いつもの売り場は住宅街だったのでしょうか。
問題2: 彼女のいう2種類の「コワイ人」とは?
問題3: 彼女は結局、1個もマッチを売ることが出来ませんでした。それはなぜでしょう?
問題5: 少女が見た「幻」とは、どういうことだったのでしょうか。
挨拶・ヒントのあるコメント >>1 >>42 >>62 >>91 >>100 >>104 >>117 >>118
解答編 暗号部分 >>120 推理部分 >>121
エピローグ >>122
そうそう 2010/06/16 10:34
どうかもわかりませんが、まずはお付き合い頂きたいと思います。
「マッチはいりませんか、マッチを買ってくれませんか?」
街ゆく人に声をかけ続ける少女。だが誰も買おうとしない。
(どうしよう、こんなはずじゃ…)
籠に残ったマッチを抱え、少女は途方に暮れていた。
〜○○売りの少女〜
私には両親の記憶がない。私を育ててくれたのは、おじいちゃんとおばあちゃんだ。
おじいちゃんは優しい。「お前は大きくなったら美人になるぞ。将来が楽しみだなぁ」
いつも愛用のパイプを咥えながらそう言って、頭を撫でてくれる。
おばあちゃんはちょっと厳しいけど、放課後すぐに帰って家事の手伝いをしたりして、
一緒にいる時間はおばあちゃんのほうが多かった。
私が10歳の誕生日を迎えた日。
「お前ももう10歳か、ワシらの仕事を手伝ってもいい年頃だな」
私は喜んだ。大好きな二人の役に立てるのなら、こんなにうれしいことはない。
仕事はマッチを売ること。売り場は閑静な住宅街の裏通り。人通りは少ないし、
時間も短いから、売れても10数個。それでも二人は私をほめてくれた。
でも今日はクリスマス!用意したマッチはいつもの倍だし、おじいちゃんにも
「今日は全部売れるまでがんばろうな」って念を押された。
(大丈夫、すぐ売れちゃうわ。終わったら、みんなでパーティだ♪)
なのに、今日は予報にもなかった大雪。客は全然来ない。早い時間から立っているのに、
マッチはまだ一箱も売れていない。
(こ、凍えちゃうよぅ。それに、売れなかったらおうちに帰れない…。おじいちゃんとは連絡
とれないし…あぁ、私、浮かれすぎてた) この雪では、迎えにくるのも難しいだろう。
(ここじゃダメだわ…そうだ!街にいけば、もっと多くの人がいるはず。)
(いつもすぐ売れちゃうんだもん。街行く人に声をかければ、あっと言う間だわ!)
…そう思って街に辿り着いたのが1時間前。それからまったく買う人は現れない。
「マッチ!マッチはいりませんか!!」 私の声は、ほとんど悲鳴に近かった。
もっとも、今まで私に声をかける人がまったくいなかったわけでもない。
「お?ちょうど火ぃ切らしてたんや。嬢ちゃん、ひとつくれ。それキャバレーの広告?」
「え?ち、違います…普通の売り物です」 「そうなん?まぁいいや、なんぼ?」
「5万円になります。」 「…はあ!? ふざけとんのか! ったく…!」
男の人は吐き捨てるようにして去っていった。
入れ替りに、そのやりとりを見ていた黒服の二人組が近づいてきた。
「誰に許しもらってうちのシマで商売しとんや、ああ?!」
「あまり脅かしてやるな。…すまねぇな嬢ちゃん。そのマッチ見せてもらえるかな?」
こっちのおじさんは優しそうだけど、おじいちゃんの言っていた「コワイ人」に違いない。
私は後ずさると、きびすを返して逃げ出した。
「まて、このガキ!」当然、追いかけてこようとする黒服の男たち。だけど、そこへ…
『そこの二人、止まりなさい!』さらにその後ろから、黒いコートの人たちが声を上げた。
黒服の人より柄は悪くないけど、あれも「コワイ人」だ。私は構わず路地裏に逃げ込んだ。
はぁ、はぁ…。追いかけられる恐怖でいっぱいで、とにかく走った。
…ふと、扉の下に隙間のある建物を見つける。(私なら、この隙間から潜りこめるかも…)
這いつくばって隙間をくぐる。雪解けの水溜りで服が濡れるが、かまってはいられない。
どうにかくぐり抜け、ひざを抱えて息を潜める。
…どうやら、追ってこないようだ。外は静まり返っている。
私は震えていた。恐怖は収まったけど、汗や濡れた服が冷えて体温を奪う。
なにより、長時間外で風雪にさらされ、手足の先はもう感覚がなくなっていた。
(このままじゃ、凍え死んじゃう…!)
周りを見渡すが、暗くて何も見えない。見えるのは、自分の抱えているマッチだけ。
(…仕方ないよね。このままじゃ死んじゃうもの)
そう自分に言い聞かせながら、籠の中のマッチ箱に火をつけた。
…暖かい。でも大事な商品を燃やしてしまった後悔の念から、涙がにじんできた。
(おじいちゃん、おばあちゃん、ごめんなさい…)
ひざを抱えて火を眺めていると、誰かから急に声をかけられた。
「気にすることはないさ」 (えっ?)
涙で滲んだ視界の先に、ぼんやりと浮かび上がる優しそうな笑顔。
(…おじいちゃん、おばあちゃん…?どうしてここへ…?)
意識が朦朧としている。よくわからないまま、目の前の二人にすがった。
(私を許してくれるの…?) 「…本当に、そう思うのかい?」 (えっ?!)
「マッチ1箱も売れなかった上、商品に手を付け、しかも全部燃やしちまうなんて!
ろくでもない娘だよ、お前は」 (だって、寒くて…)
「なぜ、周りをもっと探さなかった?…マッチを燃やしたのは、私たちを試そうとした
からだろう?」 (!!ち、違…)
「ばあさんや、あまり責めてやるな」 (おじいちゃん…)
「こいつは将来美人になる。高く売れるんだから、大切に育てないとな!」 (!!!)
「…はっ!ハッ、ハッ…」 気付くと、やはりここには私しかいなかった。い、今のは…
ふと火を見ると、半分焼けたマッチ箱に、何かが入っているのが見えた。あれは…?
私は、端のほうのまだ燃えてないマッチ箱を取って、開けてみた。奥に何か入っている。
(これは…そうか、そうだったんだ。今のは、幻。でも、たぶん現実のはなし…)
…私の中で、何かが壊れた。
あたりを見回すと、ここは廃材置き場らしく木切れや油瓶等が乱雑に積んであった。
それを片っ端から火の中に投げ込む。パリン!油瓶が割れると、炎が辺りに広がる。
「あは…あはははは!」
箱の中に入っていたものは、私の最後の良心を奪ってしまったのかもしれない。
―燃えてしまえばいい、何もかも。…燃え上がる炎は、怒り?憎しみ?
でも心裏腹に、私の目からはとめどなく涙があふれてきた。
(…そうよ、最初からわかってた。普通マッチは5万で売れないことも、怖い人が誰かも。
…ううん、知ってて知らないふりしてた。二人にとってイイ子でいたかったから。だから、
学校終わったら手伝いをしたり…嫌われたくなかった。でも…マッチを燃やしちゃったり、
こんな火遊びしたり…悪い子になっちゃったね、私)
(…でも、そうか、前と変わんないや。)
(だって、今は■■■で、▲▲の手伝いをしてしまってるんだもの…)
私は、本格的にどうでもよくなって、地べたに寝転んだ。もう、このまま眠りたい…。
…夢の中で私は、いつもの優しいおじいちゃんとおばあちゃんに会っていた。
あったかいごちそうや、ケーキもある。…夢でもなんでもいい、このまま…。
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【問題】
☆1… 彼女は何売りの少女だったのでしょう?(○○に入る言葉、漢字)
☆2… ■■■に入る言葉は?
☆3… ▲▲に入る言葉は?
本解… 物語の主人公とは、どういうことでしょうか?(カタカナあるいは全角大文字英数字)
☆4… 彼女は、最後に残っていた良心を失い、物語の主人公の資格を奪われてしまいました。
その原因かつ結果となる、箱の中に入っていた物の名前を≪具体的≫にお答え下さい。
☆5… もしイ○ポだったら、箱の中に入っていたものは何?
問題4: 悲しい結末?そうかもしれません。ただ禁断の箱に最後に残っていたのは…(かってに君反応)
以降は、かってに君判定ではなく、みなさんの言葉でお答え下さい。
問題1: なぜ、いつもの売り場は住宅街だったのでしょうか。
問題2: 彼女のいう2種類の「コワイ人」とは?
問題3: 彼女は結局、1個もマッチを売ることが出来ませんでした。それはなぜでしょう?
問題5: 少女が見た「幻」とは、どういうことだったのでしょうか。