ｸｲｽﾞ大陸

　オレは、Ｍ県警捜査一課の響久凪人だ。少しばかり厄介な事件が起きたので、知恵を借りたい。いいかな？

　ある日の夕方、富豪である島平栄一郎氏が、自宅の書斎で殺害されているのが発見された。
　鑑識によれば、遺体の状況から、何か硬いもので頭部を殴打された撲殺と推定されたが、屋敷中はおろか、付近一帯をくまなく捜索したにもかかわらず、凶器と思しきものは発見されなかった。

　手がかりは、容疑者である３人の使用人の証言と、書斎の机の上にあったであろうと思われる、床に落ちて壊れてしまったラップトップのキーボードに残っていた血痕しかない。
　まずは、証言からだ。

　証言１：江藤茂吉（庭師）
　私は朝から庭木の刈り込みをしておりました。もう一人の庭師が先日作業中に怪我をしたため、ここしばらくは私一人でこなしています。お屋敷の中に入ったのは、昼食をいただいた午後０時からの３０分のみで、あとはずっと庭におりました。栄一郎様の怒鳴る声が聞こえた気もしますが、なにぶん気難しい方でいらしたので、そういったことは日常茶飯事でして・・・

　証言２：高村与平（料理人）
　私は、栄一郎様の朝食の準備を済ませたあと、市場まで食材を調達に出かけておりました。帰ったのは午前１１時頃で、昼食の準備を済ませ、すぐに夕食のビーフシチューの準備にとりかかっておりました。その後は厨房を出てはいません。基本的に厨房には私しかいないので、鍋から目を離すわけにはいきませんし。怒鳴り声、ですか？　さぁ・・・厨房と書斎は階数が違いますし・・・

　証言３：山下佳代（チーフメイド、第一発見者）
　私は、朝食後から、先日新しく入ったメイドの研修をしておりました。栄一郎様には、朝食と昼食のお世話をした時間以外は会ってはいません。栄一郎様は書斎にてお一人で過ごされる事が多いのです。午後からは、メイドの仕事をチェックするために、お屋敷の中を回っていました。栄一郎様の怒鳴り声が聞こえた気がして、メイドが何かしたのでは、と思い書斎に行ってみたところ、床にうつぶせに倒れた栄一郎様を発見したのです。

　３人とも各々に、一人きりになった空白の時間があり、島平氏の普段の言動が激しかったことも推察されるので、動機も十分にある。
　こうなると、もう一つの手がかりであるキーボードの血痕で犯人を絞るしかなさそうだ。

　キーボードに残っていた血痕は３箇所、「Ｙ」、「Ｅ」そして「Ｖ」。
　犯人がやったのか、このラップトップは壊れてしまっていて、もう電源すら入らないので、文字の順番は解らない。だが、犯人が壊したとすれば、ダイイングメッセージに違いない。

　さぁ、この手がかりを元に、犯人と凶器の在り処を推理してくれ。