たけ警部の恋愛物語 ≫No. 1
たけ
2010/05/14 21:19
大人気(?)シリーズ、「たけ警部の事件簿」シリーズのスピンオフと言いますか、番外編です。
今回、死人は出ないはずですので頭のリラックス程度に解いてみて下さい。
『警部、明日一緒にお昼に行きませんか?駅前のオープンテラスのカフェで待ってます。』
たけ警部は、昨日レイチェル刑事に言われたことを思い出した。
デスクの時計を見ると時間は既に12時半を過ぎていた。
「ヤバっ!!お昼誘われてたんだった!」
たけ警部は慌てて薄い背広に、薄い財布を無造作に突っ込んだ。
レイチェル刑事といえば、署内一の美人だ。そんな彼女との約束を忘れるなんて男の恥だ。
たけ警部はキャリアなので、警部というポストに置かれながらも、まだ30代前半である。
彼には妻子が居ないので、もちろんレイチェル刑事も「要チェック」リストに入っている。
そんな彼女との約束を忘れていたことを、走りながらずっと恥じていた。
走ること15分、着いてみるとそこはいかにも若い女性の好きそうな、洒落たカフェだった。
カランコローン♪
入り口のドアに付けられたベルが店内に響き渡る。
レ「あっ、警部!ここで〜す!」
レイチェル刑事は大きく手をふりながらこっちを見ている。
たけ警部は席に着いて、ウエイターを呼び、アイスコーヒーを注文した。
レ「相当、急いで来たんですね。」
た「どうして分かるんだ?」
レ「その顔と上がった息を見れば一目瞭然ですよ。」
確かに、彼の顔には汗が滝のように流れていた。
た「そんなことより、待たせてしまってごめんな。」
レ「いえいえ、全然気にしてませんから。」
カランコローン♪
「ふぅ〜。暑い暑い。」
そう言って、入ってきた男は鞄から飲みかけのペットボトルのお茶を出し、一気に飲み干した。
レ「あの人も走って来たみたいですね。」
た「え?汗もかいてないのに何で?」
レ「あのお茶を見て下さい。泡立ってますよね。歩いてきたなら鞄はお茶が泡立つほど揺れません。」
た「う〜ん…。なるほど。」
そう言いながら、彼女の前で嘘はつけないなと思っていた。
レ「どんな時でも小さな変化を見逃してはいけませんよ。」
た「そうか〜…。君の方が出世するの早そうだな…。」
これ以外に言える言葉が出てこなかった。
決してボキャブラリーが少ないわけではない。
レ「じゃあ、ちょっと練習してみましょうか。」
レ「テラスにいるあの女の人の職業、分かりますか?」
た「あの化粧を直してる人だよな。」
レ「ええ。」
た「バッグにはコンタクトの保存液が入ってる…。ということは、あの人は今コンタクトをしてるってことだよな…。」
た「でも普通、保存液だけ持ち歩くか〜?洗浄液も無きゃ意味ないじゃん。」
レ「最近は、洗浄も保存もあれ一つでできるんです!!」
た「ああ、今はそうなんだ。でも、コンタクトなんて、外さないんだし、あんな液持ち歩くのはやっぱりおかしいよな。」
レ「そうです。つまり彼女は仕事柄コンタクトを外さなければいけないんですよ。」
た「何だ〜??」
アイスコーヒーを啜りながら必死に考える。
ー15分後ー
レ「アイスコーヒーの氷、溶けちゃいましたね。分かりましたか?」
た「いや、もう少しで出るところなんだけど…。」
ーさらに10分後ー
レ「分かりました?」
た「いや、喉のところまで出てきてるんだが…。」
レ「お昼休み、終わっちゃいますよ…。」
レ「では、問題です。テラスにいるその女性の職業は何でしょうか?」
たけ 2010/05/14 21:19
今回、死人は出ないはずですので頭のリラックス程度に解いてみて下さい。
『警部、明日一緒にお昼に行きませんか?駅前のオープンテラスのカフェで待ってます。』
たけ警部は、昨日レイチェル刑事に言われたことを思い出した。
デスクの時計を見ると時間は既に12時半を過ぎていた。
「ヤバっ!!お昼誘われてたんだった!」
たけ警部は慌てて薄い背広に、薄い財布を無造作に突っ込んだ。
レイチェル刑事といえば、署内一の美人だ。そんな彼女との約束を忘れるなんて男の恥だ。
たけ警部はキャリアなので、警部というポストに置かれながらも、まだ30代前半である。
彼には妻子が居ないので、もちろんレイチェル刑事も「要チェック」リストに入っている。
そんな彼女との約束を忘れていたことを、走りながらずっと恥じていた。
走ること15分、着いてみるとそこはいかにも若い女性の好きそうな、洒落たカフェだった。
カランコローン♪
入り口のドアに付けられたベルが店内に響き渡る。
レ「あっ、警部!ここで〜す!」
レイチェル刑事は大きく手をふりながらこっちを見ている。
たけ警部は席に着いて、ウエイターを呼び、アイスコーヒーを注文した。
レ「相当、急いで来たんですね。」
た「どうして分かるんだ?」
レ「その顔と上がった息を見れば一目瞭然ですよ。」
確かに、彼の顔には汗が滝のように流れていた。
た「そんなことより、待たせてしまってごめんな。」
レ「いえいえ、全然気にしてませんから。」
カランコローン♪
「ふぅ〜。暑い暑い。」
そう言って、入ってきた男は鞄から飲みかけのペットボトルのお茶を出し、一気に飲み干した。
レ「あの人も走って来たみたいですね。」
た「え?汗もかいてないのに何で?」
レ「あのお茶を見て下さい。泡立ってますよね。歩いてきたなら鞄はお茶が泡立つほど揺れません。」
た「う〜ん…。なるほど。」
そう言いながら、彼女の前で嘘はつけないなと思っていた。
レ「どんな時でも小さな変化を見逃してはいけませんよ。」
た「そうか〜…。君の方が出世するの早そうだな…。」
これ以外に言える言葉が出てこなかった。
決してボキャブラリーが少ないわけではない。
レ「じゃあ、ちょっと練習してみましょうか。」
レ「テラスにいるあの女の人の職業、分かりますか?」
た「あの化粧を直してる人だよな。」
レ「ええ。」
た「バッグにはコンタクトの保存液が入ってる…。ということは、あの人は今コンタクトをしてるってことだよな…。」
た「でも普通、保存液だけ持ち歩くか〜?洗浄液も無きゃ意味ないじゃん。」
レ「最近は、洗浄も保存もあれ一つでできるんです!!」
た「ああ、今はそうなんだ。でも、コンタクトなんて、外さないんだし、あんな液持ち歩くのはやっぱりおかしいよな。」
レ「そうです。つまり彼女は仕事柄コンタクトを外さなければいけないんですよ。」
た「何だ〜??」
アイスコーヒーを啜りながら必死に考える。
ー15分後ー
レ「アイスコーヒーの氷、溶けちゃいましたね。分かりましたか?」
た「いや、もう少しで出るところなんだけど…。」
ーさらに10分後ー
レ「分かりました?」
た「いや、喉のところまで出てきてるんだが…。」
レ「お昼休み、終わっちゃいますよ…。」
レ「では、問題です。テラスにいるその女性の職業は何でしょうか?」