クイズ大陸



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?シーラ 2010/02/03 13:18
りおさん、お気遣い下さってどうも有り難うございます。 (^_^)
確かにご返信をお待ちして……という気持ちと、長く書き込むには時間にゆとりがないと難しい、という状況があり、続きを書くのが遅くなってしまいました。申し訳ありません。

今回の「夭」については、私がざっと確認した範囲に於いてですが、
*白川氏・「漢○林」(大修館):人(若い巫女)が身をくねらせて舞う形にかたどる。
*「漢○源(学研)」:人間のしなやかな姿を描いたもの。
「新○源」(角川):もと首を曲げ、からだのなよなよした幼児の形にかたどり、「わかい」意を表す。
(小学館のは「夭」字の字形解釈はありませんでしたが、「笑」の解釈を見た限りでは、「巫女」とは解釈していませんでした。→なよなよとする、小さい。など。)

(漢和辞典には他に三省堂のがあり、漢文を読む上ではベストな辞書なのですが、これは字形解釈が中国の古辞書の説をそのまま載せるだけで、それはそれで一つの見識ですが、甲骨文字等の解釈を知るには役に立ちません。また旺文社のもあったと思いますが、残念ながら手元にありません。)

ということで、「夭」を「人の身体がなよなよとしている、しなやかである」という点は、おおよそ各社共通しているかと思います。
それをそこで留めておくか、さらに一歩踏み込んで「女性」とする(中国宋代の説に基づく?)か、さらに「巫女」とまでいうかは、執筆する方の見識になってきます。

ちょっと調べが甘いのですが、白川氏や大修館の辞書が「夭」を「若い巫女」と解釈しているのは、「笑」字の解釈が影響しており(「笑」字の解釈から逆算?)、しかもこの両者の「笑」字の解釈は、「笑」=「若」と置き換えて、「若」字の解釈(若い巫女)を援用していることが大きな特徴です。
ちなみに学研・角川・小学館(三省堂も)は、そのような解釈(「笑」=「若」)を採用していません。

筋道が逸れてしまいましたが、要点は、
・「夭」字についてはおおよその方向性は白川氏も含めて一致している。
・ただし、そこから先「巫女」とまで限定するかどうかは、辞書によって解釈が分かれる。

ということで、今回の白川氏の解釈は、あくまでも私個人の考えですが、
「方向性として絶対にあり得ないということはない(可能性はある)。ただ、そこまで限定することが、最適な解釈だろうかという疑問が残る」になります。
だから、No,29で記したように、「複数の漢和辞典で一致している部分を取り上げるのが望ましい」という結論になります。
白川氏に限らず、少数派の解釈を取り上げるのであれば、「〜という解釈もある」というのが良いのではないかと思います。

クイズとして出題する場合に、それでは面白くないという意見もあるでしょう。
でも、知識問題である以上、「楽しい」ということ以上に重要視すべきことがある筈だと強く思うのです。
楽しい・面白い事柄が必ずしも正確な、または妥当な事実ではない、ということは漢字に限らずあり得ることと思います。

思うところは取りあえず以上です。長々と失礼いたしました。(陳謝)

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