正解発表がされましたので、少し思ったことを書いてみたいと思います。
(一応私の立場は、漢字の専門家ではありませんが、時々その方面の仕事もすることがある…という程度で勘弁して下さい。詳しいことを公にしたくありませんので。)「知識問題」で何より重視すべきなのは、勿論その知識の正確性・妥当性です。
その意味では、先ず「一般論として」ですが、白川氏の漢字の字形解釈に関する説は、問題があると見なされている場合が多いので、慎重に扱うべきかと思います。
確かに白川氏は博士号を持ち、有名私大教授でもあった方で、長年にわたり研究を積み重ね、漢字や中国古代文学に関する研究を相当量発表しています。また篤実なお人柄のようで、その点で梅原氏のように「際物」とは、私も全く思っておりません。
ただ氏の説は独自色が強く、シンパはいますが、むしろ漢字分野以外、また学界外の人々であり、漢字研究の分野では顧みられることが少ない(専門家ではないので、断言はできませんが。)かと思います。私の恩師も「白川説ばかりが一般に広まるのは良くない。」と仰っておりました。
(ですから、恩師や私達が漢字に関する仕事をする際に、白川説を参考にすることはありません。)とはいっても結局、マスコミとしては、分かりやすく一般受けする解釈をどうしても紹介したくなるのでしょうし、また読者の方も、「(白川氏のような)解釈
もある」と書かれていたとしても、「これが
唯一の正しい解釈」と思いこんでしまうこともあるでしょう。
個人的に望ましいと考える出題方法は、やはり複数の漢和辞典で確認することです。
電子辞書をお持ちなら、採用されているのは多分「漢○源」(学研)だと思いますが、その他に図書館か本屋で「新○源」(角川)「漢○林」(大修館)「新選漢○」(小学館)あたりの該当箇所をざっと見てみると良いかと思います。漢字によっては、辞書によって全く違う解釈がなされている場合もあり、驚かれるかもしれません。
恐らく学校で習ったり、入試などで取り扱われる字形の解釈は、概ね定説が成立している漢字に限られるのではないかと思いますので、その点からも複数の辞書を見るというのが合理的と考えています。
どうしても白川説を紹介したいという場合は、「
そういう(ユニークな)解釈もある」という方向でいくのが妥当かな…と。
なお今回の字については、他の漢和辞典(大修館)でも似たような説を採用しているのがありました。長くなりましたので、これについては後ほど記します。
シーラ 2010/02/01 17:58
(一応私の立場は、漢字の専門家ではありませんが、時々その方面の仕事もすることがある…という程度で勘弁して下さい。詳しいことを公にしたくありませんので。)
「知識問題」で何より重視すべきなのは、勿論その知識の正確性・妥当性です。
その意味では、先ず「一般論として」ですが、白川氏の漢字の字形解釈に関する説は、問題があると見なされている場合が多いので、慎重に扱うべきかと思います。
確かに白川氏は博士号を持ち、有名私大教授でもあった方で、長年にわたり研究を積み重ね、漢字や中国古代文学に関する研究を相当量発表しています。また篤実なお人柄のようで、その点で梅原氏のように「際物」とは、私も全く思っておりません。
ただ氏の説は独自色が強く、シンパはいますが、むしろ漢字分野以外、また学界外の人々であり、漢字研究の分野では顧みられることが少ない(専門家ではないので、断言はできませんが。)かと思います。私の恩師も「白川説ばかりが一般に広まるのは良くない。」と仰っておりました。
(ですから、恩師や私達が漢字に関する仕事をする際に、白川説を参考にすることはありません。)
とはいっても結局、マスコミとしては、分かりやすく一般受けする解釈をどうしても紹介したくなるのでしょうし、また読者の方も、「(白川氏のような)解釈もある」と書かれていたとしても、「これが唯一の正しい解釈」と思いこんでしまうこともあるでしょう。
個人的に望ましいと考える出題方法は、やはり複数の漢和辞典で確認することです。
電子辞書をお持ちなら、採用されているのは多分「漢○源」(学研)だと思いますが、その他に図書館か本屋で「新○源」(角川)「漢○林」(大修館)「新選漢○」(小学館)あたりの該当箇所をざっと見てみると良いかと思います。漢字によっては、辞書によって全く違う解釈がなされている場合もあり、驚かれるかもしれません。
恐らく学校で習ったり、入試などで取り扱われる字形の解釈は、概ね定説が成立している漢字に限られるのではないかと思いますので、その点からも複数の辞書を見るというのが合理的と考えています。
どうしても白川説を紹介したいという場合は、「そういう(ユニークな)解釈もある」という方向でいくのが妥当かな…と。
なお今回の字については、他の漢和辞典(大修館)でも似たような説を採用しているのがありました。長くなりましたので、これについては後ほど記します。