ｸｲｽﾞ大陸

「…現場となったのは、ここ。市立図書館です。」
「ふーん…。来た事ないなぁ。」

捜査一課の犀熊（さいぐま）は、上司の浮雲（うきぐも）と共に現場に到着した。
浮雲はしげしげと図書館を眺めた後、館内に入る。
館内には、捜査員が忙しく走り回っている。
ロビーを通り抜け、本棚の間を通り抜け、2人はようやく現場に辿りついた。

現場には、かなりの量の血痕。
壁・絨毯・本棚と、あらゆる所に血が付着していた。

「…ずいぶん奥だね。」
「そうですね。」

佐井熊は、被害者が寄りかかっていた本棚を見る。
死体がもたれている所の丁度上に、本棚の識別記号がある。
『F-5』…F列はこの図書館の最後列だ。

「被害者の名前は、江柿 雅平（えがき がべい）
　この図書館勤務の司書です。
　死亡推定時刻は、午前3時ごろ。
　…腹部を銃で2発撃たれ、失血死です。」
「午前3時？ 司書って大変なんだねぇ。」
「いえ、どうやら被害者は誰かに呼び出された様です。
　被害者のパソコンにあった日記には、
『あいつから深夜3時に図書館に来いと言われた。』
　と遺してありました。」
「ふーん。」

「佐井熊君。君はこの事件、どう思う？」
「そうですね…。被害者は、誰かに呼び出され、銃を向けられた。
　被害者は、館内を逃げ回り、このF列の壁際に追い詰められた。
　そこで、被害者は撃たれ、死亡した。」
「うん。だいたいそんなもんだろう。
　…ところで、この…何かを引き摺ったような後は何だろう？」

浮雲が指差す所には、壁際から死体のある所まで続く血痕があった。
壁際には、死体のあった場所と同じ位血痕が残っている。

「被害者が、這って動いたんでしょうね。」
「どうして？」
「え？どうして…と言われましても。助けを求めて、とか。」
「その割には、本棚の前で休憩してる間に死んじゃってるけど。」
「うーん…血の量から見ると、撃たれた後、犯人が逃げてから動き出して…。」
佐井熊は、血痕を目で辿りつつ考える。
「この、本棚の横で休憩…と言うか、力尽きた。…って事になりますね。」
「ふーん。」

「犯人は、午前3時に図書館に入れる人物…。
　恐らく、被害者の同僚かと。
　同僚で動機がありそうなのは、この3人です。」

・多々美 水蓮（たたみ すいれん）
　被害者の同僚。恋人関係にあった。

・神上 檀平（かみうえ だんぺい）
　被害者の同僚。被害者の従兄弟。

・木城 空龍（きじょう くうろん）
　被害者の同僚。被害者の親友。

「ふーん。なるほどねぇ。」


「ところで佐井熊君。犯人はこの人だけど…何で捕まえないの？」
「え？」


-問-

さて、江柿を殺した犯人は誰だろう？
その人が犯人になる理由は？