クイズ大陸



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過激な?容疑者たち ≫No. 1
?シーラ 2009/07/30 12:02囁き
ある日の山峰警察署にて……
昼食から戻り、席に着いた富井に、後輩の刑事が資料の束を手渡した。
「富井さん、これが例の事件の資料です。」
そこには、二日前に山峰市北部のマンションの駐車場で起こった日本語教師傷害事件についての詳細が記されていた。

「どれどれ、また物証も目撃者も皆無に近い事件か。被害者も事情聴取には応じられないほどの重体だし……。ということは今のところ彼女の身辺を洗うしかないわけだが、被害者の叶由美(かのう ゆみ)は山峰大で日本語教員をしていたと…」
「そうなんですよ。大学院修了後、三年ほどアメリカで日本語教員をしていた時期もあったとか……留学生の指導では、英語ができるせいか英語圏からの留学生には評判が良かったんですけど、今は中国や韓国からの学生が多いそうで、彼らには今一つ評判が良くなかったようです。おまけに、彼女の周辺にはトラブルの話が多く聞こえてくるんです。」
「成程ね…で、それをまとめたのがこれかな?いわば容疑者一覧?」
「そうです。」
「ふーむ……被害者がこの中の誰かについて、『ラディカル』と称していたと言うことだが…」
富井が見つめていた容疑者一覧には、次のように記されていた。

・叶 元基(かのう げんき)33歳:被害者の実兄。極右の政治団体に所属して活動しており、被害者や両親に頻繁に金の無心をしては疎まれていた。
・谷口 至(たにぐち いたる)28歳:被害者の高校時代の同級生。彼女にストーカー行為を働き、大学や自宅近辺でたびたび待ち伏せしていた。
・影村 広紀(かげむら ひろき)24歳:職業不詳。被害者のマンションの下の階の住人。クレーマーで被害者の立てる生活音に対して何度も怒鳴りこみ、トラブルになっていた。
・何 激仁(か げきじん)20歳:山峰大学工学部の留学生。被害者の日本語教授法に不満を持っており、大学側に苦情を申し入れていた。
・藤原 治(ふじわら おさむ)26歳:山峰大職員。オペラファンで、頻繁に彼女をオペラやクラシックのコンサートに誘っては相手にされず、彼女を恨んでいた。

「やはり犯人のことを『過激な言動の奴!』と罵っていたんでしょうかね?」
「……」
富井は無言のままその次のページを眺めていたが、ふと顔を上げ、
「被害者の友人に事情聴取をしたのは君だったね。ここにその模様が記してあるけれど、君の口から直接その時の様子を聞きたい。」と促した。
「分かりました……昨日のことですが、被害者の大学時代の友人である高見里子(たかみさとこ)の証言の中で、その言葉は出てきたんです。で、高見さんにはその時の会話…2週間ほど前のことだったそうです…をなるべく正確に思い出してしてもらったのですけど。」
後輩は取り出した手帳と資料を交互に見ながら、高見の話を忠実に再現していく。

***

「ねえ由美、やっぱり引っ越したほうがいいんじゃないの?だってストーカーやらクレーマーやら、おまけにお兄さんにだって居場所を知られているんでしょう?」
「嫌よそんなの。悪いのは向こうなんだから、どうしてこっちが逃げ隠れしなきゃいけないわけ?」
「でもそれにしたって、周りに危ないヤツが多すぎない?」
「まあそれは認めるけど。……一番要注意な『あいつのキャラクターがラディカル』だからね。……他のヤツと違って。」
「何それ?性格が過激、ってこと?……でも周り皆そうじゃない、特に誰について言っているの?」
「ふふふ……」由美は意味ありげな笑いを浮かべた。
「何よ、教えてくれないの?……あっ、もしかして、お得意の暗号?」
「まあね……でも暗号としては、些か反則かも?」

***

「『あいつのキャラクターがラディカル』か……あっ、もしや!」
富井は何かを思いついたかのように、パッと立ち上がった。

***

それでは問題です。
被害者が「キャラクターがラディカル」と称して、一番警戒していた人物は、容疑者一覧のうち誰のことだったと考えられるでしょうか?理由とともにお答え下さい。

なお、今回は本解を導く手がかりとしてのワードを二つ、それからお決まりのアレを、星に設定してあります。
いずれも平仮名で囁いて下さい。

☆1:まずこの点からアプローチ☆
☆2:これに気づけば正解はすぐそこに!
これらはあくまでも手がかりですので、手動判定でも銀メダルは出ませんが、ご了承下さいませ。

☆3:お約束♪
これは一部の常連さんはご存じのアレです。ある方が物語推理の犯人当て問題で解答された名(迷)文句(平仮名七文字)になります。
A・クリスティーの作品の有名なトリックですね。こちらは同じ意味の言葉であれば、手動で銀メダルの判定に致します。

*なお予めお断りしておきますと、被害者に「些か反則?」と語らせていることからお分かりのように、今回の暗号もどきは、現時点では反則気味の表現であります。後ほどその度合いが少ない形で再提示致しますので、場合によってはそちらをご覧になってからでも遅くはないかと…… (^^;) (勿論この表現でお分かりになる方もいらっしゃるでしょうが。)

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