http://d.hatena.ne.jp/alchymia/20040325および元となるNature誌の要約部分を和訳した文章です。
(Nature vol.428 (6981), 412-414 , (25 Mar 2004))
コリシンは作用範囲の狭い狭域抗生物質で、大腸菌とその近縁種によって産生され、またこれらに対して抗菌作用を示す。コリシン産生株は、よく混合した培養内では感受性株や耐性株と共存できないが、これら3種の表現型はすべて自然個体群で採取される。最近のin vitroで得られた結果から、古典的な非推移的じゃんけん(RPS=rock,paper,scissors)モデルの場合と同様に、空間構造をもった非推移的な相互作用でコリシン産生によって菌株の多様性が促進されうるとする結論が出されている。RPSモデルのコリシン版では、コリシンを産生する(C)株が感受性(S)株を殺し、S株は耐性(R)株を打ち負かすが、R株はC株を打ち負かす。
これら3種の株をin vitroで1対1で競わせると、予測可能な順に帰着する(CはSに勝ち、SはRに勝ち、RはCに勝つ)が、3菌株のそろった系は動態の平衡を生み出すきっかけとなりうる。今回我々は、in vivoではコリシンをめぐる拮抗的な役割が存在することを結論づける証拠を提出し、コリシンは(またおそらく他のバクテリオシンも)環境中の微生物多様性を排除するよりはむしろ促進させる可能性があることを示す。
ボムボム 2009/07/09 00:28
および元となるNature誌の要約部分を和訳した文章です。
(Nature vol.428 (6981), 412-414 , (25 Mar 2004))
コリシンは作用範囲の狭い狭域抗生物質で、大腸菌とその近縁種によって産生され、またこれらに対して抗菌作用を示す。コリシン産生株は、よく混合した培養内では感受性株や耐性株と共存できないが、これら3種の表現型はすべて自然個体群で採取される。最近のin vitroで得られた結果から、古典的な非推移的じゃんけん(RPS=rock,paper,scissors)モデルの場合と同様に、空間構造をもった非推移的な相互作用でコリシン産生によって菌株の多様性が促進されうるとする結論が出されている。RPSモデルのコリシン版では、コリシンを産生する(C)株が感受性(S)株を殺し、S株は耐性(R)株を打ち負かすが、R株はC株を打ち負かす。これら3種の株をin vitroで1対1で競わせると、予測可能な順に帰着する(CはSに勝ち、SはRに勝ち、RはCに勝つ)が、3菌株のそろった系は動態の平衡を生み出すきっかけとなりうる。今回我々は、in vivoではコリシンをめぐる拮抗的な役割が存在することを結論づける証拠を提出し、コリシンは(またおそらく他のバクテリオシンも)環境中の微生物多様性を排除するよりはむしろ促進させる可能性があることを示す。