エリート課長の村岡は部下の清水との不倫の関係を目撃したある何者かが、村岡に「お前と部下の関係を知っている。知られたくなかったら金を振り込め。」と脅迫され村岡は三回ほど計壱佰伍拾萬円振り込みました。電話の主は『吉田英作』とでたらめな名前で、しかも声はボイスチェンジャーで変えられていました。

その後、村岡は大阪へ出張。土曜日の午後に東京へ戻ってすぐに部下の轟の家にゆすられている事を相談するために訪ねました。轟はまだ起きたばかりで、タバコに買いに行くと言って外出しました。
村岡が一人になった時、時計のベルが鳴りました。
その音が脅してきた『吉田』の電話から聞こえてきた音と同じ事に気付き、まさかと思い机の引き出しを開けると、ボイスチェンジャーと『吉田英作」名義の口座通帳を見つけました。

その時、轟が帰ってきて、もみ合った末に灰皿で轟を殴り殺害しました。村岡は自分には土曜日の昼過ぎまでは大阪出張に行っていたというアリバイを持っている事を思い出し、轟が殺害されたのがあたかも金曜日の夜と見せかけるために、手袋をはめて轟が帰ってくるまでお茶を飲んでいた茶碗の自分の指紋を拭き取って食器棚にしまい、グラスを２つ出し少量の酒を注ぎ、デスクダイヤリーの日付けを昨日の日付けに戻して壊し、凶器の灰皿に着いていた血を拭き取り、カーテンを閉め、部屋の電気をつけ、轟の血が付いた今日の新聞、ボイスチェンジャー、口座通帳を持って部屋を後にし新聞店の新聞の自販機で新しい土曜日の新聞を購入し、轟ののへやの新聞受けに入れましたが、今日届いた郵便物が部屋にあったのに気づきもう一度部屋に入り、郵便物を持ち出し、血の付いた新聞、郵便物、ボイスチェンジャー、はめていた手袋は外し、消却処分して、完璧な偽装工作をしました。

しかし、現場を見ただけで中谷警部は一連のアリバイ工作の中でミスを発見しました。
さて、村岡の犯したアリバイ工作のミスとは？