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■ pc ( No.86 )
日時: 2009/11/16 11:42
名前:

〜 エピローグ 〜

夏奈は窓を閉めて完治の方へ振り向いた。

「 それにしても、完治にしては上手に作った暗号だったね。」

「 おいおい。さりげなく一言多くないか?
まあ、この暗号は前から考えてたんだから当たり前と言えば当たり前なんだけどな。
その暗号を瞬殺されたんだから俺は到底夏奈様にはかないません。」

夏奈は笑いながら曇りガラスに指で文字をつづりはじめた。

KIHAKO NO RINGO

「 木箱をキバコと読まずにキハコと読ませて、それをローマ字で表すのよね?
三重唱はトリオ・・取り、オ。取りおーで「 取りO
ふふふ・・・なかなかローマンチックに決めたじゃん♪」

そう呟きながら指を動かす。

KIHAKN RING

と、新たに書きつづった。

「 リンゴがリングに変わったからピンッて来たの。
本当は私も完治からこれを貰いたかったって言うのも瞬殺の理由なんだけど・・
コ、コホンッ!
え、えーっと、後は初めの部分だけを並び替えれば・・・」

HAKKIN RING

「 白金リングの完成・・でも、あんまり聞きなれない言葉だよね、白金って。
プラチナリングって言うのが一般的だもん。たまたま私は知ってたんだけど。」

「 はい、夏奈様お見事でした。じゃあ夏奈からの暗号返しの解読編も
御披露させていただきましょうか?」

完治は冗談めかして言いながら机の上にあった開きっぱなしのパソコンに文字を打ち始めた。

「 暗号返しなんだから解法は同じ、と言う事はまずはローマ字で表す。」

EIGA HA ATAGO DESU

「 そして暗号の鍵となる部分のキスはおあずけ。
なんだか夏奈の本心が込められてる気がするけどな。」

完治がチラリと夏奈の表情をうかがうと、夏奈はわざとらしく完治から目線をそらした。

「 ま、取り合えずその辺には今は触れずに暗号の続きだな。
えーと、キスはAって表したりするよな?ちなみにBはあ・・・。」

言葉を続けようとする完治を夏奈が睨みつける。
慌てて完治は言葉を取り消した。

「 な、なんでもない、なんでもない。
・・だから暗号はキスのAをおあずけしてしまえば・・・。」

完治はさっき打ち込んだワードから「 」の文字だけ消していく。

EIGHT GO DESU

「 エイトゴーです。・・つまり指輪のサイズが8号ですって事だよな?」

「 はい、大正解♪私の右薬指のサイズは8号だからよろしくね。
あ、それからこの暗号には他にも意味があるんだよ?ちょっといい?」

夏奈は完治の横からキーボードに手をかける。

「 私の暗号に完治のトリオもあわせてOの字も消しちゃうの。そうすれば・・」

EIGHT G DESU

「 8Gです、になるでしょ?ほら、キーボードを見て?8Gは・・」

「 8はゆ、Gはき・・ゆ、き。雪?」

「 うん。メールにも書いたけど
完治と過ごすクリスマスもホワイトクリスマスでありますようにって願いを込めて
・・それまでキスはおあずけ。・・ね?」

「 それまで?それまでってクリスマスまでって事か?・・と言う事は!?」

「 ・・ふふふっ、どう言う意味でしょうか?」

夏奈はにっこりと微笑んで完治のホホに軽く唇を触れさせた。

「 キスはおあずけ。ただし、おあずけはホワイトクリスマスまでだよ。」

「 や、やったー!マジかよ・・。ん?8は蜂と考えて
蜂を英語にすると「 ビー 」だよな?だからBへGOです。ビーまでなら・・!? 」

バシッ!!

夏奈の平手がまさにさっきキスをした頬に直撃。

「 調子に乗らないっ完治、おあずけっ! 」

クリスマスに完治が夏奈から最高のプレゼントが貰えるかどうかは
クリスマスと夏奈のお天気次第のようである。

つづく