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金棒引きがいっぱい
難易度:★★★★  
?たっくん4 2015/06/12 12:31
運動会で「棒引き」って競技がありますよね。
複数(奇数)の棒が中央に置いてあり、過半の棒を取ったチームが勝ち、あるいは、取った棒の数が点数になる。
小学校ではそれぞれの子がどの棒を担当するかが予め決められている(均等に人数が振り割られる)ことが多いようですが、
高校生くらいになれば、人員配置も作戦のうちになります。
あの人員配置の「最適戦略」ってどんなんだろう、と考えて、以下の問題を思いつきました。

しかし、棒引きだと
 「どの棒に向かうかプレイヤーがその場で状況を見て修正できる」
 「棒を引き終わったプレイヤーが、その後別な棒に向かうことができる」
等、人員配置以外の不純物が入ってしまうので、
問題を純粋に戦略的な問題にするために、設定を「複数回の綱引き」に変えてみました。

*** ここから問題の条件の説明 ***

赤白に分かれて綱引き競技を行う。
・人数は両チームそれぞれ360人ずつ。1人が1回だけ綱引きに参加する。
・試行回数は9回。
・両チームは、人員の配置(1回目から9回目までのどの回に何人が綱を引くか)を決める。
 ・人員配置は赤白それぞれの組が自由に決める。
  ただし、一回目の綱引きの前に、全9回綱引きに関する人員配置を審判に届け出る。
  9回の綱引きに、4人ずつ振り当てるのも、ある1回に360人全てを投入するのも、その組の自由。
  ただし360人は必ず全員が参加する。(9回の綱引きの配置人数の総和は360人)

・各回の綱引きにおける勝率は、両チームの綱を引く人数の関数であり、下記の式に従うものとする
 なお、各回の綱引きに引き分けは存在しない。
 (1) 両チームの参加人数が1人以上の場合
    人数をX・Y(ただしX≧Y>0)であらわしたとき、、
  X人が参加したチームの勝率 =(X÷Y)×50% ただし最大100%
  Y人が参加したチームの勝率 =100% − X人が参加したチームの勝率
 (2) あるチームの参加人数が0人、対戦相手の参加人数が1人以上だった場合
   参加人数が0人のチームは負け(勝率0%)。対戦相手は勝ち(勝率100%)
 (3) 双方ともに参加人数が0人だった場合
   両者不戦敗。  

*** ここから問題 ***

得点配分A 「9回戦のうち、勝った回数×10点がそれぞれのチームに与えられる(合計90点)」とする。
  赤組の得点の期待値を最大にする配置およびその場合の得点の期待値を求めよ。
(1) 白組が毎回均等に40人ずつの配置を行うことが事前に判明していた場合
(2) 白組の配置が全く不明である場合

得点配分B 「9回戦のうち、過半を勝ったチームには総合勝利として100点が与えられ、そうでないチームは0点」とする。
  白組が毎回均等に40人ずつの配置を行うことが事前に判明しているとして、
  赤組の得点の期待値を最大にする配置およびその場合の得点の期待値を求めよ。

*** 問題ここまで ***
 
以上、純粋に数学の問題で、数式で解を導くことが可能です。
とはいえ、私の出題の例によって、感覚でこのへんに答えがあるはず、という大づかみの回答でも結構です(私がそう解いてから後から数式で実証しているので)。
 A(1)、Bについて、それぞれの得点の期待値の概算整数値ひとつを「99」のように
半角で囁くと、かってに君も反応します。
AnswerA: 赤組の得点の期待値=綱引き一回ごとの期待値の和である。
(1)白組が毎回均等に40人ずつの配置を行うことが事前に判明していた場合 
   綱引き一回ごとの期待値をその回に赤組が配置した人数Xの関数であらわすと、
    (1) X>80 のとき 10点 (100%勝利)
    (2) 80≧X≧40 のとき 1/8* X 点  
    (3) 40>X≧20 のとき 10- 200/X 点 
    (4) 20>X   のとき 0 点 

    1/8* X の直線が絶対優位な作戦となり、毎回 80≧X≧40 あるいは0人を配置することで、
赤組の得点の期待値 = 1/8*ΣX ΣX(配置人数の総和)=360より、
赤組の得点の期待値=白組の得点の期待値= 45 点 
  答:毎回の人数が 80≧X≧40 あるいは0人となるよう配置する。 

(2) 白組の配置が全く不明である場合
  答:毎回均等に40人ずつ配置する。赤組の得点の期待値=45点以上。
  (1)で、毎回均等に40人ずつ配置する白組に対して、45点以上取れる作戦を見出せなかったのだから、
   お互いに40人ずつの配置することがひとつのナッシュ均衡解※ である。
(※ナッシュ均衡解: 他のプレーヤーの戦略を所与とした場合、
   どのプレーヤーも自分の戦略を変更することではより高い利得を得ることができない戦略の組み合わせ)
   
   この問題の解としてはここまでで十分だが、
   毎回均等に40人ずつ配置が唯一の作戦で、他にナッシュ均衡解は存在しないことも証明可能。
   

B: Aより、毎回 80≧X≧40 あるいは0人を配置することで、勝てる回数の期待値は4.5となる。
   期待値をこれ以上に高める方法はないが、確率分布の形状分布を変えることで、
   平均値を固定した上で4.5を超える出現頻度を増やす余地がある。
   具体的には、歪度が負であるような、勝ち数の少ないほうにロングテールな分布を描けば良い。

   直感的にも、6勝以上の勝利は無駄なので、期待値を4.5勝で固定した上で、
   6勝以上の勝利の可能性を極力減らし、6敗以上の確率を極力上げる戦略が最適戦略。
    
   4つの棒を捨てることで、6勝以上の確率はゼロになる。
   他の5つの棒については、配置人数をXiとすると、当該棒についての勝率= 1/80* Xi
   5つすべて勝つ可能性はその5つの勝率の積。
   5つの数Xi の和が4.5で一定で、積を最大になるのは、Xiが すべて等しいときである。
 
 答:9回のうち5回の人数を72人、残る4回の人数が0人となるよう配置する。
   72人配置した回の勝率90%。5勝できる確率=0.9^5=約59.0% 得点の期待値59点
正解画像得点配分A(1) 正解! 45
正解画像得点配分B 正解! 59
正解画像「あんた、やる気無いでしょ」 0
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