九月某日

築100年になろうかという純和風造りの名家。
今日は親戚一同が集まり僕の祖父の追善法要が行われている。

僕は由緒あるこの家の跡継ぎとして、幼い頃から家庭教師ベッタリの勉強漬けの毎日。
世間に出てから恥ずかしくないようにと、礼儀作法のいろはもみっちり叩き込まれた。
そして父のあとを継ぎすべてにおいてトップとなるのだと、言われ続けて生きてきたんだ。

そんな僕だから、当然のように成績も常に学年トップのはずなんだ。
しかし、人生はそんなに上手く行かないもの。
常にトップを取るのは僕のいとこのあいつ。
ろくに勉強もせず遊んでばかりいるガサツなあいつ。
どうやっても僕はあいつだけにはかなわない。
でもでもでも!!あいつさえいなければ僕はトップになれるんだ!!

読経も終わり、漆塗りの和膳が人数分運び込まれ、そのまま仏間での会食の準備が整えられた。

慎ましやかに進む会食中に唯一響き渡る僕の隣に座るあいつのガサツな笑い声。
この年にもなって箸の持ち方もなっていないのか…。
和膳の上には食べこぼしがあちこちに散らばり、見るに耐えない状態。
他の親戚達も俺と同様に礼儀作法に厳しいもの達ばかり。
その中での彼はまさに異端児だった。

そんな事はお構いなしにコーラをガブガブ飲んでいたせいなのか、あいつは度々トイレに向かうために席を立っていた。

ドカドカドカ・・!!
襖の外から聞こえる足音。
バシッ！
襖が柱にたたき付けられた音とともにあいつが和室へ踏み込んできた。

「・・ギャッ！？」

そんな時、あいつは突然大きな呻き声をあげる。
そしてその場にドタッと倒れ込み、苦しそうに悶えながら息絶えた。

俺は彼に駆け寄り身体を抱きかかえ、「しっかりしろ」と心配そうな素振りを見せながら心の中で喜びの雄叫びをあげたんだ。

殺害方法は毒殺。
ひとつ言っておくけど、膳の中に毒を混入させるなんてそんな単純な事はしていない。
今回の法要に集まっていた親戚は数十人。

『その親戚達に被害が及ばない毒殺方法で、無差別殺人に見せかけたアイツだけを狙った俺の計画殺人』なんだ。

それにしても長かった。
数回目のこの会食でやっと成功したのだから…。

【問題】
今回の毒を仕込んだ場所お答えください。今回の本解の場所は２パターン存在します。

※それら以外にも別解多数だと思いますが、こちらが用意した答えとの一致のみ正解判定と致しますのでご了承ください。

☆１)正解１
☆２)正解２