クイズ大陸



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懐メロです3 ≫No. 1
?クリカラ 2008/09/30 20:20囁き
夕日に赤く染められた街並みが、視界の端を流れてゆきます。
わたしの乗った列車は、郊外にある彼のお母様の住む町へと向かっています。わたしは列車に揺られながら、これからのことをぼうっと考えていました。
「あんにゃろうめ、こんなにかわいいお嫁さんもらっておきながら、一体どういうつもりよ」
彼の浮気はもう何回目か、数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいです。
「絶対ぎゃふんって言わせてやるんだから」
とは言っても、人任せです。
わたしが何回怒ってみせても馬の耳になんとやらで全然いうことをきかない彼も、お義母様には弱いのです。
「でも、本気で別れるとか言い出したらどうしよう…」
そろそろ、彼がわたしを探し始めていることでしょう。
日も沈み周りはすっかり暗くなりました。彼がお風呂に入るのはこのくらいの時間です。
不安な気持ちも一緒に乗せて、列車は街から遠ざって行きました。

ピンポーンと呼び鈴を鳴らすと、直ぐにお義母様の優しげな声が聞こえました。
「はいはいどちら様ですか、いま出ますね」
「お義母様、ご無沙汰しています」
「あらまあ、ハナちゃんいらっしゃい、久しぶりね」
どうぞお上がりと、わたしを家の中へ招いてくれる。
「しばらくご厄介にならせていただいても、よろしいですか?」
「あらあら、それは構わないけど何かあったの?」
「はい、お宅のバカ息子がまた…」
「あらあらまあまあ、ウチのバカ息子がまた…」
最後まで言わなくても伝わったようで、お義母様はわたしに頭を下げた。
「本当に、これは申し訳ないことを致しました」
「止めてください、お義母様。悪いのは彼ですから。ただ、お義母様にお願いがあります」
あらあらまあまあ何かしらという顔でわたしに返す。
「彼をぎゃふんって言わせてください」
「任されました」
二人してにひっと笑った。

プルルルルル…
翌朝、私の自宅で電話が鳴る。
数回のコールの後、彼が出たようで
「はいもしもし、栗原です」
「お前の大事な女房は私が預かった、返して欲しくばこちらの要求を飲め」
「母さん、一体何の冗談だい?」
「お前からの質問には一切答えない、私からの返事は全てイエスと答えるように」
「…もしかして、そっちにリンカ行ってる?」
「返事はどうしたっ」
「…いえす」
「声が小さい!返事の後に『マム』をつけるのも忘れるな」
「イエス!イエス、マム!」
「ようし、要求を伝えるから心して聞け」
「イエス、マム!」
「ぎゃふん、と言え」
「…は?」
「『G・Y・A・H・U・N・ぎゃふん』だ、さっさと言わんか!」
「イエス、マム!ぎゃふん!ぎゃふん!ぎゃふん!」
「よろしい。あ、ついでに今付き合ってる女とも手をきっておけよ」
「…イエス、マム。わかりました」
お義母様は、電話を切って振り返りわたしに向かって
「こんな感じでどう?」
「バッチリです、お義母様」


問題

上の話はある歌のバックストーリーを、勝手に想像を膨らまして書いたものです。
歌のタイトルを囁くとかってに君が反応しますが、次回作の希望等ありましたら併せてお書き下さい。
採用された方には次回作の時「PCの前でニヤニヤする権利」を与えます。
なお、「リンカさんは俺の嫁」等の熱い想いはコメント欄にお願いします。


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